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この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
3/15

成長

今日も弥恵は畑仕事に行く。

いつもいつも銀色のスコップを持って土をいじったり、野菜の成長を見届けて頃合いが来たら収穫する。

俺たちはそれについていく。

近くの清流で水を汲み家まで運ぶ。

それがいつもの日課。

そして、畑仕事が終わると朝ごはんを食べる。

ご飯はその時の時期や収穫した野菜などから弥恵は浅漬けにしてくれたりする。

俺はその野菜が大好物だ。

そして、お昼にはまた清流へ行き水を汲み家の浴槽に入れる。

そして家の裏に回り、暇な時に伐採しておいた木材を釜の中に入れ火打ち石で火を起こす。

そして、しばらくそれは置いておく。

弱火にしておいたら入る時にはちょうどいい湯加減になっている。

そのあと俺たちは、小さな建物へと出かける。

そこは昔自治会館で

そこでは、ここらのあたりの人達が集まって物々交換をしている。

そこで弥恵は畑で作った野菜と鶏肉を交換する。

弥恵はこれこそが共存共栄だと言っていた。

夜になると、夕食の準備をする。

そこでは、俺も三葉も弥恵の手伝いをする。

「さぁさぁ2人ともお風呂に入っておいで。」

そう弥恵に言われて俺たちはドタドタ廊下を走り脱衣所へやってくる。

そこで俺たちは服を脱ぎお風呂へ入る。

「おにーちゃん。おけわすれてる。」

言葉を覚えたばかりの三葉はまだ何を言っているのかがわかりにくい。

でもわかると俺は桶を持って来た。

「よし。じゃあ三葉湯加減どう?」

「うーん、いいかんじ。」

「そうか。」

三葉は3歳で俺が5歳の時だ。


時が流れるに連れて弥恵も他の地域住人も気力を失っていく。

活気溢れていた自治会館も今は廃れており人がいないわけではないが、建物全体が風化し始めていた。

それは俺たちの家も同じだ。

シロアリが住み着き始めて、家が脆くなってきている。

この辺りには大工と言う人がいないため自分たちでなんとかしなければならないが、なんとかなっていないから今の状況があるんだろう。

対策なんてほとんどない。

大きな木を切り倒して家の倒壊を防ぎなんとか今日も生きてこられたというので精一杯。

この時で三葉が10歳で俺が12歳だ。

そしてこの時から弥恵は時々お話をしてくれるようになった。

どんなお話なのか。

それは、俺たちの両親の話だ。


元々両親はこの辺りに住んでいた。こんな世界になる前から。

そして学校で同級生だった俺たち両親は、幼馴染だったが、いつしか恋仲になっており、結婚を迎えた。

その1年後俺が生まれて2年後に三葉が生まれたと言っている。

また弥恵のおじさんの話も聞かされた。

弥恵は元々昔でいう東京に住んでおり中学3年生の修学旅行の時に行った九州で、おじさんと出会った。

弥恵とおじさんは一目惚れで好きになったが、その時は何もできず弥恵は東京へ帰ってしまった。

そして、OLになった弥恵は東京で仕事をしていたが、その職場で偶然にもおじさんと再会。そして、結婚に至った。

だとか。


ちなみに弥恵は俺たちの祖母ではない。

それは、今から10年前俺たちの両親が俺たちを弥恵に託してどこかへ去った。

弥恵はそこから先を教えてくれない。

一体俺たちの両親が今どこで何をしているのかさっぱりわからない。


そして今、俺は15歳になり三葉は13歳だ。

弥恵はとても衰えてお昼はほとんど寝ている。

俺たちが畑仕事をしたり、料理を作っている。

だけどそんな生活が長く続くとは限らない。


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