プロローグII
「よろしくお願いします。」
「本当にそれでいいのかい?」
「ええ。私たちは、旅に出る。それがこの子達を安全に過ごせる唯一の方法だから。」
「そうだ。弥恵これが1番の方法なんだ。」
「わかったよ。あんた達の言うことを聞くよ。」
「ありがとう。弥恵さん。」
「ありがとう弥恵。」
「オギャーオギャー•••」
「オギャーオギャー•••」
「この子の顔を見るといつでも勇気が湧き出てくるわ!さぁ行こうあなた。」
「うん。じゃあさようなら。弥恵と•••」
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私は、弥恵。もう63歳。
昔の名前は、松田 弥恵でも今その名前を使うと、大変なことになる。
その昔、天皇がこの名前をくれた。
だけど、もう10年ほど前に天皇はどこかへ逃げて、昔で言う姓を使うと天皇に仕える愚か者として、罰が下される。
罰を下すのはこの地域を統治されている、慶三で、自警団のようなものができている。
この地域は、昔は埼玉県と呼ばれる場所だった。
埼玉の山奥で今はこの土地を慶と呼ばれている。
慶三の統治する地域は、昔の埼玉ほどではないが広い。そして、その統治する地域を慶と三で分けている。
でも他の地域もこんなことをしているのかは知らない。
昔と違って、便利な世の中ではないから通信手段がない。
だから、噂として耳にするだけ。
その噂も信用できないのであまり意味がない。
今日も私は畑仕事に出かける。
あの2人を連れて。
畑に着くと、小さな小屋の扉を開ける。
小さな小屋には、今は亡き夫の残した農機具が収納されている。
その中から、鉄製の園芸用のスコップを持って、畑の様子を見る。
特に、荒らされているわけでもないが、酸性の土にはやはり作物は育たない。
私はこうなる前までは、研究者だった。
研究者といっても作物の品種改良だけど。
まぁそのおかげで今はこうしてなんとか過ごすことが出来ている。
「ばぁちゃん、お腹すいた。」
「私もー。」
そう、私に話しかけてくる。
「はいはい。じゃあ一度お家に帰って、ご飯食べよっか。」
「「うん。」」
元気のある声だ。
この子達が成長するまでは、生き抜こう。
私は、そう決意して、
業と三葉を家に連れて帰った。
プロローグがいつまでも続きそうな気がしますが、多分、次回か今回で終わりです。
ちなみに主人公は弥恵ではなくあの子供2人ですから。
そして、もうこの時点で伏線を山ほど張り巡らせておきました。
まぁいつかは回収されるものなので、超気長に待っていてください。
それでは読んで頂きありがとうございした。