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この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
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毒?

「んー•••やっぱりかー。」

「どうしたんじゃ業。」

俊一郎さんがノコギリで何かを切っていた手を止めて聞いてくる。

「この鉱山って古くからあるだろ。」

「あぁ、確か300年以上くらい前かのぅー。」

「そこが問題なんだよ。300年以上もの時間が経てば、老朽化も進行するだろうし何より有毒ガスが噴出している可能性もある。」

「どうして、有毒ガスなんてものが発生するんだ?」

「鉱物資源が長い間空気に晒されたり何かと化合すると有毒ガスが発生する可能性があるんだ。

例えば鉄と硫黄つまり硫化鉄だな。それと塩酸があの鉱山にあれば硫化水素になって毒ガスになる。」

「そ、そんなものが。」

「だから、檻を最初に入らせたんだ。その結果がこれだな。」

「どうにかならないものなのか?」

「確か、強アルカリ性成分の物質で中和されるか硫化水素を抑制できるかも。いや、待て。まだ硫化水素と決まったわけじゃない。だが、空気よりも比重が大きいとするならば鉱山は下に伸びているから中は既に毒ガスの濃度は半端じゃない。」

「どういうことだ?」

「例え硫化水素じゃなくてもここで毒ガスの兆しがないということは確実に空気よりも重いことになる。つまり毒ガスの濃さが300年以上もの時間が経てばどんどん濃くなっていく。だから鉱山の中に入ると即倒れて死ぬ可能性もある。」

「中に入ると即死だと言うのか?」

「その可能性はある。だけどなんとも言えない。檻がどうなっかわからない状況で毒ガスがあるとは限らない。」

不安が募っていく。

檻が心配なわけではない。

ここが使えなければ、慶三に対抗する手段を失ってしまう。

そうなればどちらにしろ終わりなんだ。

『ベチャ、ベチャ、』

鉱山から奇妙な音がした。

すると鉱山の入り口から真っ黒の人型の何かが出てきた。

「うわっ!」「じゃわいっ!」

全身真っ黒のその正体は、

「はぁ?なんだよ。ほら行ってきたぞ。これで解放してくれんのか?」

檻だった。

なんでこんなにも全身真っ黒なんだよ。

「どうしたんだよ。それ。」

それとは全身真っ黒のことについてなんだが、

「はぁ?それって何だよ。あぁ、ランタンのことか?すまん置いてきちまった。」

「そんなことじゃない。どうして全身真っ黒なんだよ。」

「はぁ?」

そう言って、檻は自分の体を見る。

檻の体は服も肌も黒一色だ。目の白眼以外は。

「うわっ!なんだこれ?」

「お前もわかってないのかよ。どうしてこうなったか心当たりはあるか?」

「知るわけないだろ。あっ、水辺に入った時か?」

「鉱山の中にそんな色した水があるのかよ。」

「知らねーよ。コウモリにビビってランタン壊してから手探りで前に進んだんだよ。そしたら水辺みたいなところに着いて、そのまま泳いで行ったんだよ。その先も進んだけど真っ暗で何も見えなくて、ほぼ遭難してたんだよ。運良く陽の光が見えてホッとしたぜ。」

「お前、ランタン壊れたなら戻ってこいよ。」

「そしたら、どうせ怒ってただろ。」

俺の信用のなさが物語ってるな。

こいつに信用されても意味ないが。

とにかく、鉱山の中には毒ガスが蔓延しているってことはなさそうだな。

「で、鉱物か何かは見つけたのか?」

「おう。ランタン壊す前に黄色い石やオレンジ色の石を見つけたぞ。」

「それが多分鉱石だな。よし、これで鉱山内の安全は確保されたな。お前、これで体拭け。」

俺は布を檻に差し出す。

「おう、ありがとよ。」

意外と礼儀正しい?

こいつの考えてることが何1つ読めない。

だってこんなことをして解放されるはずもないのに。もしかして、バカなのか?まぁ檻が何言おうが強制的に連れて行っていたが。

「なんじゃ?檻はこんなにも肌がスベスベだったか?」

犯行声明文爺さんが檻の顔をにペタペタ触って確かめている。

「おい、やめておいたほうがいいぞ。一応こいつは敵だからな。」

「そうなんじゃが、やけに若返ったかのような風貌じゃ。」

言われてみればその通りだ。シミが薄くなっている気がする。

「兎に角、中は安全とわかっただけで今日は終わりじゃ。みんな!下山するぞっ。」

俊一郎さんは再び檻に手枷をして手枷に付いているロープを持ち檻を引っ張っていく。

他の人たちはそれについていく。俺もそれについていった。


檻は公民館の裏の大木ではなく公民館の2階に縛られた。

外よりはずっとマシなのだが、下で交換している村人は大丈夫なのだろうか?

俺も帰宅する。

「ただいま。」

「お帰りお兄ちゃん。」

今日はすぐに飛び出してきた。

昨日はあんなにも元気がなかったのに。

「お兄ちゃん!鉱山どうだった?」

どうやら鉱山のことが気になるらしい。

「檻が中に入ったけど黒い水か何かで濡れた以外はなんの問題もなかったみたい。」

「ん?お兄ちゃんは洞窟の中に入っていないの?」

「そうだけど。ずっと精錬所の修繕をしてた。」

すると、

「なーんだ。よかったー!」

「どういう意味だよ。」

「お兄ちゃんが危険な目に合わなくてよかった。」

「なんか照れるな。」

「照れんなー。」

「意味わかんねーよ。それとその口調なんだよ。」

「昔流行ってたらしいよ。弥恵が教えてくれたの。“タメ口”っていうらしい。」

「流行るってそんなものが?」

「そうらしいよ。まぁ昔のことだからね。」

「そうだな。」

「お帰りー。業。」

弥恵が奥から顔を出してきた。

「ただいま。弥恵。」

「お風呂湧いているから、先に入りなさい。」

「わかった。おい、いい加減離れろ。三葉。」

「ご、ごめん。」

そして、お風呂に入り、夕飯を作り、3人で食べて、雑談をして寝た。


硫化水素は卵の腐った臭いがするそうですよ。

どうでもいい豆知識ですね。


それでは読んで頂きありがとうございました。

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