表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
13/15

発生

喘息になるにはいくつかの方法がある。

1つは親の遺伝子が齎すもの。

2つはあまりにも空気が汚れている。

などの原因で喘息が発生する。

この知識は、少しずつ弥恵の喘息について調べていた時に聞いた話だ。

そこである病気があったことを教えてもらった。

三日市みっかいちぜんそく』

“石油コンビナート”とかいう謎の機械が放ったその気体が空気を汚し近隣住民がその病気になったそうだ。

石油というのは地下に埋まる骨などが長い年月をかけて生成した液体と聞いた。

骨から生成される“炭素”が“窒素”や“酸素”などと“化合”するらしい。

何を言っているのか全くわからないがそういうことらしい。

因みにその石油は、前の日本の文明の発達に大きく貢献しておりハイブリットEXOエクゾの発明はこの石油が大きく関わっているようだ。

________________________________________


「おい、本当にここから解放してくれるのか?」

「あぁ。ここから解放してやるよ。」

檻はこの話に食いついている。

ここまでは作戦通りだ。

「確か1週間後だったよな。なんで1週間後なんだ。」

「お前が反省したかどうか見極めるためだ。だから1週間大人しくしとけよ。」

「あ、あぁ。任しとけ、楽勝だ。」

「じゃあ、また1週間後。」

俺はそう言い家に帰った。


もう辺りは暗い。

梅雨の時期になる前に農作物を収穫しないといけないな。

俺は家の前の畑を見ながら、呑気なことを考えていた。

ついでにと思い近くにあったバケツに清流から水を汲む。そしてそれを運び家の扉を開ける。

「ただいまー。」

俺はそう言い水の入ったバケツを調理場の近くの水甕みずがめに溜めておく。

その作業をしている間に三葉が襖の向こうから覗いている。

『おかえり。』は無いのか。

そう思いながらバケツの水を水甕に入れ終えると、三葉の方へ行く。

なんというか三葉の表情は心配している顔だった。

「どうした?そんな顔をして。」

「どうもこうも、どうして鉱山になんか言っちゃうの?」

「お前、どこからその情報を手に入れるんだ?」

そう。誰にも話していないはずなんだが。

もしかすると、俊一郎さんや犯行声明文爺さんが言ったのか?

「で、行くの?」

「あぁ、行くつもりだが。」

「••••••••」

「それだけか?なら俺は夕飯の支度をするから、ちょっと退いてくれ。」

そう言うと大人しく三葉は退いてくれた。

なんだよ。何がしたいんだ?

疑問は残るものの俺は夕飯の支度を始めた。

そこから、三葉の元気はなかった。

弥恵が心配そうに三葉の調子を伺うが機嫌が直ることはなかった。


1週間後。

『ガチャ』

俺は鎖の南京錠を外した。手枷は外してはいないが。

「あぁー、やっと自由だ。」

「手枷はそのままだけどな。」

「それでもいいんだ。身動き取れないよりはマシだ。」

「業、本当にそいつを連れて行くのか?」

犯行声明文爺さんがそう聞いた。

「もちろん。こいつは必要な人材だ。」

「まさか、俺を働かせる気か?」

「それもあるかも。だがまだその時じゃ無い。」

「それじゃあ、出発するぞー。」

俊一郎さんはヨボヨボの声を張り上げて先頭を歩き出した。

この村は四方八方森に囲まれている。

唯一の出口は古いトンネルを向けること。

そこからこうなる前からあった道路に繋がる。

鉱山はそれと反対方向に位置している。山側に鉱山はある。

村の外れにまでやってきた俺たちは山を見る。

春という季節だから周りにはピンクの色をした花、満開の桜が幾つもあった。

「この山道を登れば、山茂鉱山じゃ。あともう少し頑張るのじゃ。」

そして、俺たちは鉱山に続く山道を歩いた。

山道を歩いている途中に、石造りの建物が現れた。

「そうじゃ、これが精錬所じゃ。」

犯行声明文爺さんがそう指差す。

地面にはトロッコのレールが敷かれており幾つもの分岐があるものの最終的には一本のレールに繋がっていた。

「この、レールを辿れば鉱山に着くぞ。」

俺はそう言いみんなを導いた。


暫く歩くと断崖絶壁が現れた。

だがその崖を真っ直ぐに掘っていった跡のある。これが山茂鉱山だ。

トロッコのレールはその中へと続いている。

「これが、山茂鉱山じゃのぅ。」

ここまでの道のりは、俊一郎さんや犯行声明文爺さんにとってはハードだったとは思うがなんとか終えれたみたいだ。

「じゃあ早速、中に入ってみようではないか。」

犯行声明文爺さんが鉱山の中に入ろうとした時、

「待て。」

俺は呼び止めた。

「どうしたんじゃ業。」

「まずは檻に入ってもらう。」

「は?何言ってんだお前。」

檻は抵抗しようとするができなかった。

「大丈夫だ。心配ない。中が安全かどうか確かめるだけだから。」

「テメェー。•••わーったよ。入ればいいんだろ。」

一瞬檻は考えたようだが、背に腹はかえられないらしい。

俺は家から持ってきたランタンを檻に渡す。

火は火打ち石をしてロウに灯をともす。

「30分以内には帰ってこいよ。」

そう言い、俺は作業場の修繕に取り掛かった。

そして、檻も出発した。

だが檻は、30分以内に戻ってくることはなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ