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この世界のどこかで誰かは生きている  作者: 黒炎ジャーナリスト
第1章 黒炎
10/15

意見

目が覚めて隣を見ると三葉がスヤスヤと眠っていた。

朝日が昇って明るくなり始めており、チュンチュンとスズメが鳴いている。

俺は起き上がり、外に出た。

俺は軽く伸びをして清流で顔を洗う。

冷たい水に触れると目がより一層覚める。

その後、俺は畑に行き野菜を収穫する。

キュウリ、トマト、ナスなどの野菜は色鮮やかで美しい。

俺はそれをバケツに入れて清流で汚れを落とす。

すると、より一層綺麗になる。

そのまま水につけたまま家に帰り、竃のあるキッチンまで来た。

先程のバケツに入れた水を鍋に移し替えて、野菜を取り出す。

そして、俺は三葉のところへ行き、

「おい、起きろ。」

と肩を揺らして声をかける。すると、

「質素でも楽しかったらいいのよー。ムニャムニャ。」

「悪いな質素で。」

そう俺が言うと三葉は、

「本当は、もっと贅沢したい。」

「おい。いい加減起きろ!」

俺は三葉の頬を抓る。

「いったい!何?何が起きたの?」

「本当はもっと贅沢したいのに質素なのはお前が1日中ぐーたら過ごしているからだよ!」

「ど、どうしたの、そんな急に怒って。って大変だったんだからね昨日は!お兄ちゃん帰ってきてすぐ倒れて起きなかったんだからね。私と弥恵でなんとかお兄ちゃんの部屋まで連れていったのに感謝の1つもないわけ?」

「じゃあ聞くが、お前はどうして俺の布団で寝ていたんだ。」

「あ、あれは部屋に戻ろうとしたけど急に眠たくなっちゃって。」

「なんだ。そういうことか。ゴメンな迷惑をかけてしまって。よし、じゃあ朝ごはん食べよっか。」

「もう、朝ごはん作ったの?」

「いいや、面倒だったから野菜を取ってきて水で洗っただけ。」

「面倒なのはお兄ちゃんもなのね。」

「うっさい。疲れてるんだ。」

「ふーん。じゃあ私は弥恵を呼んでくる。」


その後、俺たちは朝食を食べ終えて俺は自治会館へ持っていくものを準備していると、

「ごめんくださいー。」

玄関からそう聞こえた。

「悪いが三葉出てくれないか?」

「えっー、面倒。」

「じゃあお前が自治会館に行ってこいよ。最近なにかと物騒だがな。」

「しょうがないなー、わかったよー。」

三葉は玄関に向かい、俺は自治会館へ行く用意の準備を再開してすぐ、

「お兄ちゃん?あの人お兄ちゃんに用事だって。」

そう言われて俺が玄関に行くと、

「俊一郎さん。」

そこにいたのは俊一郎さんだった。

「すまんなぁ、わざわざ呼び出してしもうて。」

「いいよ。全然大したことしてないし。」

「おぉそうかい。じゃあ言わせてもらうがおりのことでちょっと話したいことがあるんじゃよ。だから自治会館に来てくれないかのぅ。」

「わかった。だけどその前に自治会館でついでに交換したいものもあるしちょっと待ってくれ。」

「わかった。」

俺は部屋に戻ると、三葉が、

「どこかに行くの?」

「うん、まぁ。」

「そう。気をつけてね。」

「今まで一度も言ったことないのに急にどうした?」

「わかるでしょ、あんなことがあったんだから。とにかく気をつけて。」

そして俺はリュックを背負い

「お待たせ俊一郎さん。じゃあ行こう。」

俺たちは自治会館へと向かった。


普段は1階で色々物々交換をして2階はあまり使われない。主に会議などをするときに使い、今日がその会議をする日なのだろう。

「今回は昨日あった檻のことについて話し合いたいと思っておるがどうすればいいと思う?何か意見があれば行って欲しいのじゃが。」

俊一郎さんが司会で俺と俊一郎さんを含めて10人の人が話し合う会議らしい。

「檻を殺して慶三に犯行声明文を送るのはどうじゃ?」

中々、物騒なことを言う爺さんもいれば、

「今がいい機会だから、慶三からとっとと逃げましょうよ。」

と、まともな意見を言う婆さんもいる。

そして、俊一郎さんが、

「何か業も意見はないかのぅ?」

そう言われたので、

「俺?そうだな、檻を殺そうが逃がそうがいずれこの村に慶三の軍隊が送られてくるって檻や弥恵が言ってたから、その前に逃げるか、罠を仕掛けて軍隊を殲滅させた方がいいような気がする。」

すると、

「確かにそうじゃなー。」

「どの道この村は慶三にマーキングされてしまうと思うからなー。今のうちに逃げるか先手必勝で攻撃を仕掛けるか。

どちらもリスクがあるのぅー。

逃げるならそれなりの老人の介護が必要になるし、逆に戦うのであれば人手不足でもあり、そもそもこの村には武器と言えるものがないからなぁ。」

「弥恵が言うには軍隊が来るまでに最低でも3ヶ月はかかるって言ってたから今月で方針を決めて来月と再来月で準備するのはどうだ?」

すると俊一郎さんが、

「確かにそうじゃのぅ。確かにこのまま行くと慶三との戦いは避けられないからのぅ。」

「じゃあ犯行声明文を送るか?」

「何言ってんのよ!今からでも遠くに逃げる方が絶対にいいわよ。」

「あんたは馬鹿か遠くに逃げてどうするんだよ。また1からやり直しだぞ。お前にそんな体力は残ってないだろ。」

物騒な爺さんとまともな婆さんの口論が始まってしまった。

「落ち着け、2人とも。ここで争っても意味がないぞ。」

俊一郎さんが宥めようとするが、意味がない。

「あぁーー、収集がつかんわい!今日はこれでおしまいじゃ。」

そう言うと2人の口論はぴたっと止まり「「お疲れ様でしたー。」」と言って会議室を出て行った。

「はぁ、普段は仲のいい夫婦なのに意見が食い違うといつもあんな風になる。」

「家庭の環境は人それぞれだな。」

「全くその通りじゃわい。」

「じゃあ俺も物々交換して帰るわ。じゃあまた俊一郎さん。」

「あぁ。またの業。」


3ヶ月って長いような気がしますが、情報の伝達技術の低下と人手が足りないというこの世界では、普通なんですよ。

まぁ本当にそんな世界があるわけではないので推測に過ぎませんが。


次回は、この会議の1ヶ月後です。


それでは読んで下さりありがとうございました。

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