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いつかアイタスで朝食を

ようやっとウィズロード(主人公)視点です。今回は家族紹介回。もうちょっとコンスタントに上げたい…

 「ウィズ様、起床のお時間でございます。」


 メイドの声によって目が覚める。

 すでに外は明るく夏の日差しが差し込んでくる。

 冷気を部屋に送る魔道具がなければさぞかし部屋の中は暑かったことだろう。


 「おはよう。みんなはもう起きてる?」


 「はい、みなさま朝の支度をされてそろそろ食堂へ向かわれる頃かと。」


 「分かった。すぐ支度して向かうよ。」


 支度を終え、食堂に向かう。

 既に家族全員が食卓に着いていた。


 「お待たせしました。おはようございます。」


 「「「「「おはようウィズ。」」」」」


 挨拶をして席に着く。

 同時に朝食が運ばれてきてそれぞれ食べ始めた。


 「ウィズ、昨日もやけに遅くまで仕事をしていたそうだな。体は壊さないようにしろよ。」


 そう言って話しかけてきたのはマギウス父様だ。

 アイタス侯爵家の主である父様は王城での仕事のためしばらく侯爵領を空けて王都にきている。


 「そうよ。あまり無理したらすぐ体を壊すんだから。」

 

 ドゥリ―デ母様も一緒になって心配して言ってくる。

 父様に着いて母様も王都にやってきている。


 「ええ、昨日気になるデータが取れたのでちょっと根詰めてやっていただけです。ただでさえ引きこもりになる職業なので気を付けるようにしていますよ。」


 心配してくれる両親に苦笑しつつ返事をすると、長男のマレ兄様が口をはさんできた。


 「ウィズ、そのデータはもしかして例の邪神に関係することかい?」


 マレ兄様は国の魔法師団に所属している。

 アイタス家の子供の中でも断トツの出世頭で参謀と一つの隊長を兼任する兄様は仕事柄、僕の研究周りのことに積極的に質問してくる。

 今回は邪神がらみのことなので自分の仕事に直結してくるので聞くのは当然だろう。


 「おそらくね。採取している魔素が邪神に侵された地域のものだったからほとんど邪神に由来するものだと考えていいと思うよ。」


 僕の返答に兄様は顔を顰める。

 魔素に異変が起き魔法が上手く使えないとなると魔法師団は機能しなくなるのは目に見えている。

 軍を預かるものとして見過ごせないのだろう。


 「まだ正式発表しているわけじゃないだろうからうかつなことは言えないけど一応可能性として報告しなくちゃいけないな…」


 可能性として頭に入れているだけでも全然違うから参謀の中では共有しとかなければならない情報だな。

 

 「魔素が変わってくるのか?だとしたら俺の仕事に響いてくるな…」


 そう言いつつぼやきだしたのはデウィ兄様。

 魔道具管理局で働く兄様は魔道具の生産ラインの管理を行っているため魔素が邪神によって変わるかもという話は魔道具生産や流通に大きく関わってくる話だと認識したのだろう。

 

 「そうかもしれないわね。結構邪神のいる位置も近いみたいだし。私も嫁ぎ先を探しているとこでこうなると保留したほうが良いかもしれないわね…」


 ソーサ姉様にも影響があるようだ。

 そりゃ結婚したはいいけど魔素の影響があって急に嫁ぎ先の勢力が衰えるなんてことがあったらたまったもんじゃないだろうな。

 

 「お前たち、そのことで話がある。」


 そう言って父様が再び発言する。


 「これは国の上層部だけに伝えられている話なんだが、どうやらウィズの言ってることに関わってくるだろう。あ、マレはまだ軍には言うなよ?上官達は理解しているはずだからな。神殿から女神様が勇者を召喚する準備をせよとお達しがあったとの連絡があった。その中の情報に邪神にはこちらの魔素に基づく攻撃が効かないというものがあったからおそらく魔素に何かあるのは間違いない。」


 なるほど。女神様が言うなら見つけたデータが誤りではないことはほとんど証明されたわけだ。後はこちらで裏付けを取るだけ。それにしても勇者か…


 「勇者を呼ぶということはおそらく本格的な戦いをするということだろう。この前派遣した軍が大敗したのは魔素の変化で片付けられるとしても向こうもそれなりの力を有してるはずだ。ここまで被害が出てくることは容易に考えられる。そこで我々上層部が全力を尽くせるように家族を非難させておけることが認められた。ソーサは婿選びは保留にしてドゥリーと一緒に帰りなさい。マレは無理だとしてもデウィやウィズが休暇を取っていったん領地に帰ることは認められるがどうする?」


 「俺は帰るかなあ。生産できなくなるんじゃどうしようもないし、今できる仕事をまとめて対策とったら発つかねえ…」


 デウィ兄様は領地にいったん戻るみたいだ。魔道具の生産規模が縮小するんじゃ働き手もそんなにいらないだろうし。


 「ウィズはどうする?」


 「僕は残ることにします。貴族の子息が多いので人手が減って足らなくなるでしょうし何より僕の場合大発見のチャンスでもあるので。」


 そう、魔素の変化が起きているということは比較することによって元の構造も解明することができるチャンスなのだ。

 研究者としてこれは見逃すわけにはいかない。

 なによりせっかく自分が手がかりを見つけて研究所を挙げての研究になっているのにここで自分が他の人に手柄を譲るわけにはいかないのだ。


 「そうか。ではマレ、ウィズと私が王都に残って他は準備でき次第領地に戻ることしよう。私も仕事がひと段落着いたら領地に戻ることにしよう。マレとウィズも見極めだけはしっかりするんだぞ。」


 その父様の一言でその場は解散となった。

 さて僕も研究所へ向かうか。

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