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俺Tueeeは蜜の味

胸糞展開です。

 なんだろう、一目惚れするってこういうことなんだろうか。

 目を合わせた瞬間から動悸が止まらない。

 今すぐにでもものにしたくなる。

 しかし初対面で嫌われるわけにはいかない。

 能力を使うことも考えたが、まだ自分の能力がどのようなものかはっきりしていない以上初っ端から危険なことをするのは良くないだろう。

 とりあえず無難にいこう。

 勇者補正もあることだし最初からそれなりの好感度はあるだろう。


「初めまして、僕のことは優太と呼んでください。」


「分かりました優太。では私のこともルミナと呼んでくださいね。」


 そう言ってルミナは微笑む。

 ああ可愛すぎかよ。

 あ、そういえば修行しているって言ってたな。

 これは勇者パーティに入ってくれるフラグでは?


「分かった。ルミナ、武術をたしなんで修行しているって君は強いのかい?」


「いえ、それなりに腕に自信はありますが邪神を討伐できるかと聞かれればさすがにそこまでは…」


 うーん、そう上手くはいかないか。

 でも普通だと話の展開的に一緒に旅をする仲になるはずだよな。

 王様もそのつもりで紹介したと思うんだが、どうしたものか。

 あ、そうか。


「でも基本は身についているんだよね?じゃあ僕が基本を身に着けるまでの間一緒に修行してくれないかい?」


「ええ、それは構いませんがさっきお父様との話で近衛騎士団と修行すると言ってませんでしたか?」


「もちろんするさ、その近衛騎士団との修行に一緒に付き合ってほしいんだ。もし見込みのありそうな人がいればその後の邪神討伐の時に協力してもらいたいし。」


「そうですか、わかいました。そういうことなら修行に参加させていただきます。」


 よっしゃ、これでルミナとお近づきになれるチャンスができたぞ。

 後はさっそく能力がどんな風に使えるか試してみたいところなんだが。

 いきなり怪しまれかねない状況で試すのはやめておこう。

 手ごろに試せる人がいればいいのだが。


「よし、勇者殿も娘に興味を持っていただけたようだな!では勇者殿、今日はもうゆっくり休まれると良い。明日から修行の方は都合をつけておこう。」


 王様のその言葉でその場は解散となった。

 侍女に用意された部屋まで案内される。


「それでは勇者様、何かありましたらお呼びください。」


 そういって下がろうとする侍女を目にしてふと思いつき、呼び止める。


「ちょっと待って、君にいろいろ聞きたいことがあるんだ。」


「はい、どうされましたか?」


「君って僕のこと好き?」


 そう言いつつ能力を発動させる。

 どうやら目を合わせることが発動条件みたいだな。

 はたから見たらヤバイような言葉をかけて内心ビクビクしていたが上手くかかったようだ。


「はい、お慕いしています。」


 よし、成功だ!

 しかし、この能力を邪神相手に一体どう使えと言うんだろうか。

 好意を持たせて油断させ、倒すとかそういうことだろうか。

 それよりまずこの能力にかかった侍女をどうしよう。

 少し抑えていた欲望が鎌首をもたげる。

 ルミナのことはもちろん好きだが、この侍女も中々に良い容姿をしている。

 せっかく異世界に来たのだしピッタリな能力も手に入れた以上、ハーレムを楽しんでもいいのではないだろうか。


「ならこっちに来て僕に奉仕してくれないかい?」


「はい、分かりました。喜んで奉仕させていただきます。」


 こうして初めて異世界に来た夜、僕は一線を越えた。





 ハロー皆さん、ご機嫌いかが?僕、いや俺はすこぶる調子が良いよ。

 いやーいいね!世界が輝いて見えるね!もうなんて言うかさ、生きてるって感じがするよね!

 どうも、大人の階段を上った勇者です。

 それでは隣で寝ている侍女とのモーニングピロートークを楽しみましょう…っていないっ!?


「おはようございます勇者様。朝食の支度が出来ております。」


 あ、そうか侍女だから仕事があるのは当たり前か。

 いかんいかん、頭の回転の速いことが売りなのにどうやら寝ぼけて調子に乗っていたようだ。

 平常心平常心☆


「おはようハニー。朝食は君が良いな。」


 うぉい!何言ってんだ俺は!平常心はどこ行った!


「かしこまりました。でも、ちゃんと後で朝食も召し上がってくださいね?」


 そうだった能力は解かないかぎりかかり続けるんだ。

 でもここは耐えないといけないぞ俺!ルミナとの訓練が待っている!

 でも少しくらい遅れても…


 結局欲望には勝てませんでした。





 そんなこんなで遅めの朝食をとった後、騎士団の修練所へ向かい、修行を始めた。

 騎士団に混ざって基本的な剣術を学んでいく。

 思った通りルミナはずば抜けて強く、騎士団長と互角に打ち合っていた。


「さすが勇者様、少し学んだだけですぐに体に定着しますね。体の造りも全く違いますし、これならすぐに基本は抑えられそうです。それでは少し試合をしてみましょう。」


 そう言われ騎士達と打ち合いをしていく。

 ふと思いつき能力を使ってみると急に勝てるようになった。

 一瞬だけ「好きな相手に斬りかかるのをためらう」感情を付与させ、動揺した隙をつくことをしてみたのだ。


「どうしたお前たち!剣に迷いが見えるぞ!お前たちも鍛え直しされたいようだな!」


 そのせいで騎士たちが騎士団長に何やら怒られていたが仕方がないだろう。


「すいません、うちの者たちが何やら浮ついているようで。これでは練習相手にならないので私はこいつらを鍛え直してきます。その間ルミナ様と一緒に試合してみてはいかがでしょう?」


 よし!願ってもないところでルミナと試合できることになった。


「ふふ、皆さん勇者と一緒に修行できることで張り切りすぎてしまったようですね。それでは優太、よろしくお願いします。」


「ああ、こちらこそよろしく。」


 そう言うとお互い距離を取り、構えた。

 そして一瞬の膠着の後、一気に距離を詰めてお互い剣を振り下ろす。

 そのタイミングで俺は能力を使用した。

 思惑通り彼女に一瞬の逡巡が見え、俺は剣を首に突き付けた。


「…参りました。すいません、私も集中を乱していたようです。これでは勇者様の訓練になりませんね。」


 そう彼女は苦笑した。

 ああ、可愛いな。

 …待てよ?ルミナにも能力を使えばものにできるんじゃないか?


「問題ないさ、俺のことが好きだからためらったんだろ?」


 普通に言えば頭の調子を疑われそうなセリフを吐きながら能力を使う。

 さあ、上手くいってくれ…!


「はい、実を言うと出会った時から一目惚れでした。」


 うぉおおい!まじか!あんな侍女で初めてを捨てる意味なかったじゃねえか!

 でも能力がかかったからそう思ったのかどうかが気になるとこだな。

 何にせよこれでルミナを手に入れれそうだ。


「そうだったのか。俺も君のことが好きなんだ。どうだい、今夜俺の部屋に来てくれないか?」


「…はい!」


 よっしゃ!上手くいったぞ。

 能力もちゃんとかかっているようだ。

 今夜はたっぷり楽しんでやる!

 そう思いながら身に入らない修行を続けた。





 夜が更け、入浴を終えてベッドに腰かけて待っているとドアがノックされた。


「優太、入りますよ?」


 ネグリジェを来たルミナがドアを開けて入ってきた。手に何やら瓶を持っている。


「お父様の秘蔵の酒を持ってきちゃいました。一杯いかがですか?」


 そんな風にはみかにながら言われ、ルミナはテーブルのグラスに注ぐ。

 こっちの世界では未成年は酒を飲んではいけないなんてルールはないんだろう。

 これからのことを想像しニヤニヤしながら注がれたグラスを受け取り飲むとルミナは急に真顔になり口を開いた。


「あなたがクズすぎて思ったよりも早くはめれました。こんな奴と一夜を過ごさなければいけなかったかもしれないと思うと虫唾が走りますね。」


 え?と言葉が出ることもなく俺は床に崩れ落ちた。

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