第70話(考察)
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。
細かいお知らせにつきましては別作品「あの夏の日」の第6話にてお話させて頂いておりますので、宜しければそちらをご覧下さい。
驚きが大半の者に走り、その場は沈黙に包まれた。
五分ほどだろうか?重たい空気の中グループのムードメーカーが声をあげる。
浅蜊「い、いろいろツッコミたいところはあると思うけど、一人一人に注目していこっか。」
紅「……そうね。」
浅蜊「まずは美佳ちゃんから。」
紅美佳 23500位
『炎を操る者』通常スキル。『灯火』からの派生スキル。上位スキルに成長可能。
浅蜊「これってどういうことだと思う?」
紅「物凄い投げやりね……まあいいわ。客観的に見てスキルには何種類かの基礎があるんじゃないかしら。」
雷電「基礎?」
紅「何種類かの基礎から成長して通常だったものが希少になる。そして希少がなんらかの変化で唯一になる。そう仮定して考えてみてはどうかしら。」
花蓮「それには同意。私も同じ考え。」
黒峰「紅もこれから希少になる可能性があるという訳か。」
紅「上位スキルに成長可能って書いてあるしそういうことだと思うわ。そして何になるのかも予測がつく。」
浅蜊「成長先がわかるの?」
紅「雷電のを見てみましょう。」
雷電電二 12位
『雷神』唯一スキル。『弱電』からの超進化スキル。
デメリット→???
本人が言いたがらなかった。
浅蜊「電二のを見て何がわかるの?」
紅「あなた本当に鈍いわね……。」
花蓮「似てると思わない?」
浅蜊「……?」
紅「『弱電』が電気系統の基礎スキルだとすれば『灯火』は炎系統の基礎スキルだと思わないかしら?」
浅蜊「……あ!確かに!」
黒峰「だから『雷神』に対して『炎神』の可能性が高いと。」
紅「ええ。唯一スキルだから先を越されないのを祈りたいわね。」
雷電「俺の見ただけでそんなことまでわかるのかよ〜。すげぇな!」
紅「ところでデメリットって何かしら?あなたの端末見せてもらったけれど、デメリットまでしか見えないのよね。」
花蓮「本人にしか見えないのかも。」
雷電「デメリットはある。でも言えねぇな。ごめん。」
黒峰「言いたくないことは言わなくていい。」
雷電「ありが……」
浅蜊「12位ってやっぱり唯一スキルすげー!」
雷電「健にだけは言われたくねぇな、、。あとタイミングよ!?」
浅蜊「俺のは後回し!次行くよん!」
服部「せっかくだけど俺のは言わなくていいからな!何もかも微妙なのは飛ばしてくれ!」
舞花「同感。」
浅蜊「わ、わかったよ。じゃあ……。」
雷電「俺の終わり方……まあいっか。」
影切千歳 5000位
『影使い』唯一スキル。上位スキルに成長可能。
浅蜊「千歳ちゃんかな!」
影切「私……?!」
黒峰「唯一スキルだしな。雷電のようなデメリットは無いのか?」
影切「端末見せてもいいけど……何も書いてないです。」
黒峰「本当だ。デメリットという文字すらないな。」
浅蜊「だから順位も控えめなのかなぁ……?」
紅「そうかもしれないわね。これから時間をかけて検証していけばいいわ。」
影切「……はい。」
浅蜊「次は……この人!」
白雪美鈴 30000位、???位
『氷結』通常スキル。上位スキルに成長可能。『???』???。
???の部分は文字化けしていて読めなかった。
浅蜊「美鈴ちゃん!流石にツッコませて!何があったの?!」
紅「さすがに順位が下がりすぎよ。おかしいわ。」
白雪「……私の端末見て欲しいの。変だから。」
花蓮「何かおかしいところ……?特にないけれど。」
紅「スキルと成長可能としか書いてないわね。」
白雪「見えないの……?私にも文字化けしていて読めないけどちゃんと何かが書いてあるの!」
浅蜊「何かぼんやり……気のせいかな。」
黒峰「……。」
相川「今までの順位が間違ってたんでしょ。あなた弱すぎるもの。」
白雪「そんな……。」
紅「気を落としちゃダメよ!上位スキル目指して一緒に頑張ろ?」
白雪「……うん。」
他の者には上の段しか見えていないようだ。
見えていたのは……。
浅蜊「次行っちゃうよん!」
相川モルテ 25位
『愛の死神』希少スキル。『殺意』からの派生スキル。上位スキルに成長可能。
デメリット→愛がない状態で能力を使うと……。
浅蜊「モルテちゃんだ!」
相川「不服でしかない。なんで25位なの?」
浅蜊「俺に聞かれても?!」
黒峰「デメリットはそのままなのか?」
相川「うん!」
紅「デメリット?」
相川「黒峰君だけ知ってればいいの。」
花蓮「端末を見てもデメリットまでしか私たちには読めないもの。追求はしないわ。」
絶望級だった人達がなぜここまで順位が下がる?
わからない。このシステムの仕組みが、、。
浅蜊「さあ次!」
武道信玄 36位
『成長期』基本スキル。通常スキルを習得可能。
浅蜊「あのー。通常スキルを習得可能って何?」
武道「知らんな。」
紅「もしかしてこの『成長期』からいろんな通常スキルの基礎へと派生するんじゃないかしら?」
浅蜊「子供の頃みんなに来ていた成長期と同じってこと?」
花蓮「それが今この格闘馬鹿に来ているわけね。」
黒峰「……。」
白雪「黒峰……君?」
黒峰「なんでもない。」
成長期は全員が来たことある。身長が伸び、筋力が付き身体は成長していく。
成長期がスキルだとすると……この世の中になる前から俺たちはスキルを持っていたことにならないか?
考えすぎだろうか。
浅蜊「蓮太ってどうせ隠すよね?」
黒峰「よくわかってるじゃないか。」
浅蜊「やっぱし……。7位なのは流石!ラストは俺!」
浅蜊健 3位
『反発』???スキル。
デメリット→なし。
浅蜊「なんで3位になってるの?」
紅「全員が聞きたいわよ。何スキルなのかしら?」
浅蜊「それがさー。読めないんだよね〜。」
花蓮「デメリットは?」
浅蜊「なしって書いてあるよ。」
花蓮「じゃあ唯一ではない……?結論を出すのは早いかもしれない。」
黒峰「端末見せてくれないか?」
浅蜊「もちろん構わないけど……蓮太?」
黒峰「……。なるほど。」
浅蜊「何かわかったの?」
黒峰「さっぱりだ。返す。」
浅蜊「お、おお。俺の能力が超絶アップデートでも貰ったのかな!!ちょっと信玄外で模擬試合しようぜ!」
武道「構わない。では。」
一分後~
浅蜊「ぜ……ぜ、全然強くなってなかった。」
彼の完敗だったようだ。
勝手に浅蜊が締めに持っていったが、あと二人触れなければいけない人物がいる。
一人目は俺の妹?黒峰麗羽。
端末を見るという行為すら誰も行わない。それがさぞ当たり前のように。
俺が話しかけると麗羽は目を丸くしていた。
ふしんじゃないの?と言っていたがなぜ分かっていることを聞くんだろうか。
端末を見せてもらうとランキング参加不可とだけ書かれていた。能力は不明。
二人目は坂本輪廻。
こいつに至っては存在そのものが無かったことにされている。
坂本はいつも通りそこにいて、いつも通り会話に混ざっている。なのに誰も返事をしない。
無視しているのかとも思ったが、坂本がどれだけ騒いでも肩を叩いたりイタズラしたりしても無反応だ。
どれだけ全員が無視しようとも目や身体の一部分は反応してしまうのが人間の性だ。
こうして結論付けたのが存在そのものが無い。
俺には見えているし普通に話すこともおそらくできる。
だが今はやめておこう。周りに人がいる限りほかの者を危険に晒すかもしれないからだ。
これが俺達に対する攻撃なのかもしれない以上様子を見るしかない。坂本には後で二人きりで話をしよう。
敵は麗羽なのか?それとも他の……。
浅蜊「これにて終了!ランキング上位目指してまた頑張ろー!」
麗羽「ちょっといい?」
浅蜊「どーしたの妹ちゃん?」
麗羽「連れてきた人がいるの。」
紅「どこに……?」
見渡しても見慣れた顔ぶれしかない。
麗羽「紹介するね。」
彼女が言葉を発してすぐ何もなかった場所から見覚えのある人物が現れた。




