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この世の中で  作者: ib
68/71

第68話(1対5)


小鳥が(さえず)る気持ちのいい朝。


包丁の軽快な野菜を刻む音とお湯が沸く音を聞きながら目覚め……られるわけがない。


聞こえてきたのは罵詈雑言(ばりぞうごん)とその喧嘩を止めようとする声だった。



黒峰「……騒がしいな。」


浅蜊「蓮太おはよう!」


黒峰「何事だ?」


いつも通り挨拶は聞き流し状況を尋ねる。


浅蜊「俺もよくわかんないんだよね〜。朝散歩して帰ってきたら、美鈴ちゃんとモルテちゃんがこんなことに……。」


相川「この嘘つき!」


白雪「なんのことよ!」


相川「黒峰君と会っていたじゃない!」


白雪「あなたに報告する義務なんてないでしょ!!」


相川「私は黒峰君の彼女なんだから報告される義務があるの!」


白雪「え。」


黒峰「誰が彼女だって?」


相川「黒峰君おはよ!」


黒峰「おはよ!じゃない。付き合った覚えはないんだが。」


白雪「この嘘つき!」


相川「お互い様よ!!」



傍で呆れている紅に話を聞くと、かれこれ一時間はこうしているようだった。


黒峰「いい加減やめたらどうだ?」


相川白雪「「ぐぬぬ……。」」


黒峰「俺が朝ごはんを作る。」


相川「もう終わりにしましょう!」


白雪「はい!」



扱いやすい連中だ。


紅と白雪のシェアハウスには泊まる者、通うもの様々だが大体八時~九時くらいに集まるのが恒例になっていた。


朝ごはんはその日によって作り手が変わり、週1くらいで作る黒峰の朝ごはんは一番人気だ。


彼目当ての者も何人かいるようだが、単純に一番クオリティが高い。いい夫になることだろう。



黒峰「さて。今日が最終日らしい。」


紅「そう言ってたわね。誰を1位にするつもり?武道?美鈴?相川?」


黒峰「誰でも構わないだろう。三人で相談して決めてくれ。」


武道「承知した。二人はどうしたいのだ?」


白雪「私なりたい!」


相川「譲る気はないわ。」


武道「とりあえず俺はやめておこう。」


黒峰「また喧嘩になったら敵わん。ジャンケンでいいか?」


白雪「やだ!」


相川「普通に闘ってもいいでしょ?」


黒峰「……決着は寸止めでやめておけよ。」


白雪相川「「ありがとう!」」


仲がいいんだか悪いんだか。


黒峰「武道はこの二人以外を倒してくれ。」


武道「承知した。」



運命の時間がやってくる。



転送の時間です。本日が最終日になりますので心してかかってくださいね。


機械音と共に三人の姿は消えていった。




武道「ここは……いつもの決闘場所か。」


相川「見えるところに私を入れて八人。もしかして?」



ピンポンパンポーン♪


やーっとここまで来たね!楽しみだったんだぁ。


今日はバトルロイヤルだよ!最後の一人になるまで戦い抜いてね!


もちろん棄権はできるから命惜しく諦める人は試合途中でも棄権してくださーい。


それではスタート!




ピリッとした空気がその場に漂う。


それもそのはず、残っているメンバーが豪華すぎる。


『氷結』白雪美鈴、『愛の死神』相川モルテ、『災害』嵐山羅刹、『???』零、『成長期』武道信玄、『不死身』牙王、『豪運』???、『予知』???。



誰が勝ってもおかしくない。


相川「白雪さん。まずは二人になるまで共闘といきましょうか。」


白雪「そうね。誰からいくの?」


武道「俺も力を貸そう。」


三人が集まった時既に試合は始まっていた。



嵐山「お前ら!!まずは1位を全員で潰さないか?」


牙王「言われなくてもそのつもりだ。」


七人中こうして1位に向かったのは五人。



一つ、咲いて綺麗に氷の華よ


被害中規模 暴風雨(ストーム)


何事も基礎から。右中段突き!


あの人に愛を、あなたに死を。



技を繰り出す四人と先頭で壁になる不死身の男。


絶望級一人でも恐ろしいのに五人が一人に寄ってたかる。



……だが少女は傷一つ付かなかった。



相川「……。」


白雪「手応えあったのに。」


嵐山「化け物かよ。」


零「お姉ちゃん……。どこ?」


武道「攻撃されていることすら気がついていなさそうだ。」


???「あの子も唯一(ユニーク)?それとも……。」


???「私見てるだけでも良さそうだなぁ。日光浴でもしようかなぁ。」



残り二人は1-5の戦いをただ眺めていた。

『豪運』はこういうところにも働いているようだ。



嵐山「手加減なしで行くぜ。」


白雪「うん。」


相川「仕方なしね。」


武道「承知した。」


牙王「さっさと片付けるぞ。」


再び一斉に攻撃を仕掛ける。



被害甚大 地震クウェイク


二つ、夢見るほどに美しく。


あの人に愛を、あの人に幸せを!


応用型。観空大(かんくうだい)



手加減なしだけあり先程よりなお逃げ場がないように見えた。


嵐山「せめて能力の片鱗だけでも見せろぉ?」


してやったり顔で笑う彼の顔は三秒後凍りついた。



爆風で見えなかった視界がクリアになった時『不死身』だった男の姿が消えていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


???「早くランキング表を!」


???「わかっています!ただ……」


???「なんだ?」


???「参加者が増えていて大きく変動してしまいそうです。」


???「そんなのはわかってる。わかってるんだ……。」


???「これ直したら絶望級の定義変わってしまいますが……。」


???「いいんだ。仕方がないんだ……。奴が言っていた分け方のほうが今後はわかりやすいかもしれない。」


???「分け方?」


???「能力には種類があった。」


???「……?それはみんな違うから見たら分かりますよ。」


???「そうじゃないんだ。みんな違うわけじゃ無かったんだ。」


???「……?同じ能力があるんですか?」


???「ある。あるし上位互換のようなものも存在する。」


???「それはモニターで見ていました。紅兄妹とかそうでしたよね。まったく同じ能力もあったとは。」


???「上位互換のような能力は最初からある訳じゃなかったんだ。」


???「何が言いたいんです?」


???「例えば炎を操る能力は最初炎を操る能力だった。紅兄も炎を操る能力から始まっているんだ。」


???「はい……?」


???「要するにその人の努力や才能で能力は伸びる。通常(ノーマル)スキルが希少(レア)スキルになるんだ。」


???「ふむふむ。」


???「今絶望級の『氷結』なんかもその分類に当たる。」


???「じゃあ『不死身』や『不信』などもそうなるんですか?」


???「『不死身』はそれに当たるが、『不信』は……。また別になる。」


???「と言いますと?」


???「通常(ノーマル)希少(レア)ではなく唯一(ユニーク)スキルと呼ぶことにする。全世界で一人しか持っていないスキルだ。」


???「それってやばくないですか?」


???「分類できないものは全て唯一(ユニーク)になる。効果もとてつもなく強い。」


???「じゃあ唯一(ユニーク)だったら1位になれると。」


???「そうなるとゲームが面白く無くなるだろう?だからこのランキングの修正の時にデメリットを強すぎる能力には付けることにした。」


???「不満出ませんかねぇ。」


???「出ても僕は見つからない。せいぜい頑張って貰うさ。」


???「酷いですねぇ。」


???「これで努力をすれば誰でも1位になれる。今回の修正に伴って死んだ人間も……。」


???「まさか。」


???「それは伏せておくけどな。1位決定戦が終わり次第ランキング公開できるようにな。」


???「はい!」


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ランキング表


修正中

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