表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この世の中で  作者: ib
40/71

第40話(本物)

昨日の話が初めて100アクセスを超えました!本当に見ている皆様ありがとうございます。


これからも頑張ってたくさんの方に見られるよう頑張ります。

「なあ!お前って同じものばかり作ってて楽しいの?」


そう声をかけられたのは小学三年の頃だっただろうか。この少年宮本伏瀬は少し変わっていた。


新しいゲームやおもちゃが出ると、「○○君は持ってるんだよ!うちも買ってよー!」というのがごく普通である。


そして家庭によっては買ってもらえたり、「よそはよそ、うちはうち。」で片付いてしまうこともある。


しかし、伏瀬は新しいゲームが出てもおもちゃが出ても決してそれを欲しがらなかった。


家庭が貧しかった訳でも親に頼めなかった訳でもないのにだ。


理由は至ってシンプルであった。伏瀬は新しいものより、既に持っているものをまた欲しがったからである。


「伏瀬あんたねぇ…同じおもちゃやゲームはもういらないでしょ?少しは新しいもの欲しがってもいいのよ?」


「ううん!僕は同じものが大好きなんだ!一人ぼっちは寂しそうだもん…同じ子がいたら幸せそうに見えるからね!」


「そ、そう…。」


親は心配して病院で検査をしてもらったが特に異常はなく、ただ単に価値観が違うという結果だった。



それから時が経ち中学生になった伏瀬はとあるものに興味を惹かれた。


なんだこれ?元々あるものを同じように書いてる…写してるのか……模写というのか。


「君模写に興味あるのかい?」


そう尋ねて来たのは美術教師であった。


「とても素敵ですね!是非模写をやってみたいです!」


「なら美術部に入りなよ!模写って本来は作者の作風や意図を感じ取るためのものなんだよね。でも私は模写も立派な作品だと思ってる。模写は簡単にできることではないし、技術も必要だ。君のいずれ作るであろうオリジナル作品に良い影響を与えてくれると願っているよ。」


それからというもの伏瀬は毎日美術室で模写をし続けた。何枚描いても飽きることはなく、むしろどんどんハマっていった。


美術部員とはほとんど会話をしなかったが、彼にとっては人間関係なんてどうでもよかった。


陰で模写の何が楽しいの?などと言われていたが特に気にも留めなかった。



それから二年後中学三年になった時のこと。とある有名な美術作品を模写していた。


教師は毎日模写しかしていない伏瀬の指導は必要ないとし、しばらくの間見ていなかった。


もちろん彼がオリジナル作品を生み出したい!と言い出した時には指導に当たろうと思っていた。


たまたま、本当にたまたま彼の模写の完成品を見てしまった。時折書いている作品の途中は見ていたが、完成品は一年以上見ていなかった。


「なんだこれは…?!」


そこには本物の作品と全く同じ作品が完成していた。

資料を見ながら描いていたものが『似ている』ではなく『同じ』だったのだ。


「伏瀬!お前これどうやって…」


「あ、先生。まだまだですよね…俺にはまだ同じ作品は作れません。」


「何を言っている?!これが世に出れば本物と区別がつかず騒ぎになるレベルだぞ!!」


「そうなんですか?俺にはまだ別の作品に見えますけどね…。」


「今後伏瀬、模写はやめろ。続けると言うなら美術部は辞めてもらう。」


「……わかりました。今までお世話になりました。」



そして彼は高校は進学していった。あの才能を悪用すれば金儲けは容易(たやす)かったことだろう。


だが、なにより私はあの生徒が恐ろしかった。そのうち人間としてやってはいけないものまで創り出すのではないかと。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


伏瀬「対戦相手は誰だろうか。」


今回は助っ人がいない。寂しいわけではないが静かになりすぎていたから独り言を言ってみた。

もちろん返事はない。


少しして対戦相手が到着した。二人のようだ。


???「これはどうもどうも。私はあなたの対戦相手の四辻(しつじ)と申します。そして助っ人に来ているのが我が主。牙王(がおう)様です。」


伏瀬「わざわざすまない。俺は二対一でも負けるつもりはないからさっさと始めよう。」


四辻「それで構いません。始めましょう。」



まずは先手必勝だな。

二体のクローンを作り出しそれぞれに攻撃命令を出す。


四辻が対戦相手なら奴の順位は低い。牙王があとはどれだけ強いのか見ておきたい。


(おおむ)ね伏瀬の計画通りのことが起きた。

四辻が下がり、牙王が前に戦う体勢を取る。


やはりな…戦えない四辻の助っ人というので間違いない………なっ?!


ここからが予想外であった。

二体のクローンと戦闘を始めた牙王は一分ともたずクローンに敗北した。


クローンには敵にしたものは迷わず殺すよう指示しているため能力を見るまもなく牙王は死んだ。


伏瀬「主も弱かったのか。あんたは戦うのか?死にたくなかったら降参したほうが身のためだぜ。」


四辻「私は戦いませんよ。」


伏瀬「じゃあ決まりだな。さっさと降参……」


四辻「戦うのは牙王様です。」


伏瀬「あんたの主人はさっき死ん……?!」


確かに死んだはずの牙王が起き上がった。一分前だろうか?確かに死んだことを確認させたが…


伏瀬「クローン達よ、もう一度奴を殺せ。」


たまにはミスすることもあるだろう。自分のクローンなのだからな。そう思いもう一度二体のクローンで牙王を攻撃する。


牙王は先程と特に変わった様子はなかった。だが……。


伏瀬「特に能力は使っていないはずだ……なのになぜ?なぜクローンが負けている?!」


牙王「どんどん来い。来ないなら殺すぞ。」


伏瀬「言われなくてもやってやるよ!」


今度は十体のクローンを作り攻撃を仕掛ける。


二分ほど戦った後二体のクローンが倒されたが、今度こそ牙王は死んだ。

伏瀬自ら近づき、心臓が止まっていることを確認したから間違いない。


しかし、四辻は特に焦っている様子もなかった。


伏瀬「今度は間違いじゃないぜ。あんたも殺していいんだよな?」


質問に答えず四辻は距離を取る。腕時計を見ているが時間になんの意味が……?


四辻「すみませんね。逃げたりして。でもそろそろ一分経ちますよ?」


伏瀬「なんの話しをして……は?」


牙王は再び立ち上がった。そしてクローンを一瞬で全て消滅させる。


牙王「次だ。」


訳が分からない…牙王は死んでいた。それは間違いないはずだ。まるで蘇ったような……蘇った?

まさか…。伏瀬はとある仮説を立てる。


クローンを今出せる最大の数八十六体を作り総攻撃を仕掛ける。


思っていた通りクローンが圧勝した。問題はここからだ。四辻が腕時計を見ているのもさっきと同じか。


一分経った時牙王は起き上がった。

やはりか…だとすれば……っ!


嫌な予感は当たりクローンは全て消滅させられた。


牙王「次だ。」


伏瀬「牙王あんたの能力がわかったよ。」


四辻「ほう?少しは優秀のようですね。死ぬ前に聞いてあげましょう。」


伏瀬「死んだ一分後に蘇られる。そしてその(たび)に強くなるんだろう?」


四辻「凄いですね貴方は。そこまで明確に当てられたのは初めてですよ。」


牙王「お前が話すことでもないだろう。」


四辻「失礼致しました。」


牙王「続きだ。」


伏瀬「待ってくれ!俺は棄権するよ。俺じゃああんた達には勝てない。棄権だ!」


アナウンスは流れない。


伏瀬「なぜだ!?負けを認めれば転移が始まるはず……。」


四辻「貴方は一つだけわかっていないことがありますよね。頭が少しはいいようなので考えてみては?」


見落としていること……。まさかっ?!


伏瀬「四辻の能力なのか…?」


四辻「ご名答。私の能力は指定した空間からの移動を禁止するものでしてね。私を殺すか、私が能力を解除しない限りはここから出られないんですよ。」


伏瀬「俺にもう戦う意思はない!頼むここから出してくれ!」


四辻「だそうですよ牙王様。」


牙王「ダメだ。俺は人を殺すためにこの大会に出ている。殺されたくなければ俺を殺せ。」


伏瀬「どうしてもダメか…ならやってやるよ!」


先程と同じく出せる最大限のクローンを作り出す…が。

たくさんの血飛沫(ちしぶき)が飛びクローンは一瞬で消されてしまった。


やはりもう勝てない…もっと早く気づいていれば四辻を先に倒していたのに…!


伏瀬「冥土の土産に聞かせてくれ。牙王あんたは何位なんだ?」


四辻「代わりに私が答えましょう。牙王様は5位!そう!絶望級なのです!」


牙王「お前が話すことでもないだろう。何回言わせる気だ。」


四辻「申し訳ございません。」


伏瀬「ありがとよ。」


これをみんなに…特に花蓮、武道、剣舞に伝えなくては……。あいつらは初めて俺に居場所をくれた。


同じものを好み続ける俺にそのままでいい。伏瀬はそのほうが生き生きしていると笑って言ってくれた。

クローンの中に混ざっていてもあいつらだけは見抜いてくれた。


オリジナリティがない俺だったけどあいつらのおかげで……本物(リアル)複製(クローン)


あいつらにさえ見せたことなかったけど、オリジナリティあるものは完成してたんだ。


牙王「もう攻撃はしてこないのか。死ぬがいい。」


瞬きする間もなく距離を詰められ一撃で腹に穴が空く。助からないと悟るには充分の攻撃だった。


メモ用紙しかなくて困ってたがこれなら書けるな…ありがたい……。


5位には誰も勝てない。逃げろ。…………



これでいいだろう。牙王がトドメを指しに来ているな…みんなさよならだ…。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


花蓮「武道、剣舞あなた達には言わなきゃいけないことがあるの。あの馬鹿のメモだけど私達にはもう一つメッセージがあったわ。」



「5位には誰も勝てない。逃げろ。楽しかった。」



花蓮「あの馬鹿らしいわね。これからは三人…いや他の仲間達と伏瀬の分も生きましょう。」


武道・剣舞「ああ。」




┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

ランキング表

1位 ???(→)

2位 ???(→)

3位 相川モルテ(→)???

4位 白雪美鈴(→)氷結

5位 牙王(→)死んだ一分後に蘇り身体能力向上

6位 風柳風太(→)風を操る。

7位 轟剣舞(→)剣の達人

8位 岸島海斗(→)解体

9位 ???(→)

10位 ???(→)

11位 椋呂京谷(→)コピー

12位 武道信玄(→)能力未だ発現せず。


18位 紅神威(→)実体そのものが炎


21位 雷電電二(→)実体そのものが雷


57位高橋正(→)???


235位 影切千歳(→)影を奪って能力も奪う


530位 服部圭太(→)重力を操る


990位 浅蜊健(→)反発


6515位 紅美佳(→)炎を操る。自らも燃えてしまうが青い炎も出せる。




10500位 伊藤研二(→)触れた敵からダメージを受けた時…


11000位 宮本伏瀬(死亡)複製


102万位 雨水花蓮(→)索敵


239万位 葵(→)全身から針を出せる


312万位 佐々木知優(→)一日三回まで全回復

313万位 黄泉雫(→)死者蘇生


800万位 ???(→)調査


参加人数860万人


戦わないものはサポーターになれる。


現在のTOP10の居場所

1位 新潟県

2位 北海道

3位 東京都

4位 沖縄県

5位 東京都

6位 沖縄県

7位 東京都

8位 青森県

9位 静岡県

10位 東京都


1から10は絶望級

11から100は怪物級

101から1000は化け物級

1001から10000は超人級



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ