Backup of "2046 Octorber 27, from 6 : 00 : 00 to 18 : 00 : 00" in Atlantis
こちらでは先端科学技術都市『アトランティス』で起こった主要な事件・物語のあらすじを記させていただいております
都市の全ての事件をまかなっているわけではなく、演算によって『今後都市に大きな影響を及ぼす可能性の高い事象』のみに視点を当てており、また、端的かつ短い記述となっておりますゆえ、あらかじめご了承ください
※※※最後にご主人様にあらすじの感想を書いていただくことになっております。予めご了承くださいませ※※※
本日10月27日正午過ぎ、安堵友介がアトランティス入りした。クラスメイトである四宮凛や土御門字音と冗談を交えながらも、心の弾む日常を謳歌する。
一応春日井・H・アリアの監視という任務も存在しているものの、そちらは主に彼の仲間である風代カルラ、草加草次、痣波蜜希、川上千矢の四人が担っており、安堵友介は基本的に修学旅行を楽しんでいるようである。
四宮凛がこれまで友介の見えないところで戦い続け、土御門字音が好意を大っぴらに口にしながら友介にすり寄り、さらには四宮凛と並んでクラスの中心人物である新谷蹴人が、冗談を交えながら二人が友誼を結んだことをアピールする。
「駄目ですぅー! あたしはこの修学旅行で友介のいいところをみんなに教えるんだし!」
「友介くんが参加しないと、大和撫子として学年人気の高い私も参加できなくて、クラスの男の子たちの楽しみを半減させちゃうよ。それでいいの?」
「それじゃあ、友介くん。そんな所にいないで一緒に遊ぼう」
彼を大切に思うクラスメイト達――いいや、確かに絆を結んだ友達のおかげで、安堵友介は徐々にだがクラスの輪の中に入り始めていた。
加え、最愛の家族であり、生涯をかけて守り慈しみ愛すると誓った少女――風代カルラにも、『この修学旅行を楽しみなさい』と約束させられる。
そうした様々な要因があってか、彼はこの修学旅行に満足な気持ちを抱いていた。
しかし、一つ問題が発生していた。
それは監視対象であり、近いうちに牢へ入れられる手筈となっている春日井・H・アリアが心を閉ざしてしまっていることである。
このまま春日井・H・アリアを牢屋へ入れても、少女が反省することはなく、これから先の人生に光はない。
「あのふざけた無貌を絶望に染め上げるために、道具に徹してやるよ」
未来を閉ざしたその少女に苛立つ安堵友介は、少女の心にもう一度感情の炎を灯し、そして己の侵した罪業を必ず後悔させてやると決意を抱いたのだった。
ほぼ同時刻。離れたところでは、安堵友介の恋人である空夜唯可もまた、このアトランティスで活動していた。
彼女たちはデモニア・ブリージアから得た『アトランティスに聖遺物と呼ばれる危険物が持ち込まれる』という情報を頼りに、この島に足を踏み入れる。
聖遺物とは、使い方次第で法則戦争を収束せしめるほどの威力の兵器になると言われており、これがどちらの手に渡ったとしても虐殺が始まり、多くの命が失われることは想像に難くない。
空夜唯可とその従者ナタリー=サーカスは、この虐殺を未然に防ぐためにアトランティスの裏側を探りまわる。途中、薬物中毒者やマフィアの下っ端などに襲われながらも、現状は無傷で捜索を続けているようだった。
「私さ、この人たちには何もできなかったよ」
「だからこそ、なんです。姫」
手に届いたかもしれない人を救えなかった――その自責に押し潰されそうになる少女を、従者の少女が優しく諭す。
「姫、〝聖遺物〟を見つけるんです。そして、大きな戦争を止めるんです」
だからこそ、今は未曽有の大虐殺を止めるためにも、目の前にある聖遺物を回収し、闇に葬らなければならないのだ。
しかし、未だ聖遺物に関する情報は何一つ掴めておらず捜索は難航。
加えて、二人にはもう一つの懸念があった。
それはすなわち、気の狂った芸術家と言われる『花園の豊饒姫』ことアモルシア・プランターレのことである。
魔術圏統合同盟『九界の調停局』。その軍事担当機関である『美麗賛歌』の機関長を務めるアモルシア・プランターレが彼女の直属の部下『三権人』を連れ、安堵友介の修学旅行と同じタイミングで科学圏の先端都市に来ていることに一抹の不安を覚えているのである。
しかし現状、唯可はそちらに手を回す余裕がなく、放置している状態だ。
そのアモルシア・プランターレと接触したのは、その唯可に今回聖遺物の話を語ったデモニア・ブリージア。
彼はアモルシアに聖遺物の情報を流し、彼女が『争奪戦』に参加するよう誘導した。そこにどんな思惑があるのかは、今はまだ誰にもわからない。
また、安堵友介と同じ学領内にいる土御門狩真は、仕事仲間であるアノニマスや妹の土御門愛花とともにアトランティスの海やショッピングセンターではしゃいでいた。
街中で殺人鬼が当たり前のように遊んでいるという危険な状態だが、彼に頓着する様子はない。安倍涼太の心労は増すばかりであるが、狂った兄妹にそれを慮る様子は欠片もなく、好き勝手に叫び遊び騒いでいた。
しかし純粋に楽しむ愛花とは対照的に、兄である土御門狩真の心はささくれ立っていた。
苛立ち、怒り、恨み、殺意……この少年にしては珍しく――というよりも、本来ありえないことである――他者に負の感情を抱きながら、無理をして軽薄な笑いを取り繕っていた。
必ずこのガキを殺す――どす黒い感情を不快にも自覚しながら、彼は殺意の刃を研いでいく。
「ねえ、お兄ちゃん。
お願いがあるんだぁ。
私を殺したら。
私のことを――――」
意識の隙間にするりと滑り込んでくる妹の言葉を、狩真は煩わしそうに聞き流そうと務めるのだった。
そして――
「近い」
全てを組み上げたその男は、生気の抜けた不能の瞳に覚悟を宿す。
「開け、開け――狂騒しろ、理想都市」
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※※※本日10月27日6時00分から18時00分までの主要な事件のあらすじは以上で終了です
此度の物語についてのご主人様のご感想をお聞かせください。
解答は下の空欄にお願いいたします※※※
――――――
Answer
――――――
糞尿にも劣る下らない茶番だった。鼻が曲がるほどに臭く、胸糞の悪い醜悪な悲劇である。
これからもまたこんな塵を見せられるかと思うと、怒りと憎しみで今にもこの都市を海に沈めてしまいたくなってくる。
明日からはもう少しマシなものを――少なくとも見られるほどのものを見せてほしいものである。