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私立探偵は異世界を嫌う  作者: 藤木智
24/25

権力

「オーイ!ニーレー!」

 

 上空から声が聞こえ、楡木は振り向く。案の定、エーデルワイスに乗ったリーデルの登場だった。


「上に居る竜騎士から聞いたよ!ついに始まったんだね!」


「人が死んだのに随分嬉しそうだな」

 

 空気を読まないハイテンションっぷりに悪態をつくが、リーデルは全く気にせず、興奮気味に捲し立てる。


「妾は毎日が楽しいけど、ニレは嬉しくないの?タンテイは人が死んで事件が起こると嬉しくなるってヴェロニカ言ってたよ」


「アイツの言う事は一々鵜呑みにしない方が良いぞ」


聞き入れそうにない無駄な警告を一応口にして楡木は嘆息した。


「それにしてもお前今まで何所に居たんだ?」


「あそこ」


 リーデルは城の方向を指す。


「執務室に閉じ込められて書類の山と戦っていたんだけど、隙を着いて逃げてきた。それでお空の散歩をしていたら」


「騒ぎを聞きつけ、ここに来たって事か……」


「ニレって天才?」


「バカにしてるのか」


 それともリーデルがバカなのか……


「それで?お前は何しに来たんだ?言って置くけど、お前等に構ってる程俺は暇じゃ無いからな」


「何するの?」


「仕事だ」


「仕事って何?」


「爺さんを殺した犯人探し」


 楡木は一瞬、その為に連れて来られたことを、リーデルは忘れているのではないかと心配になった。しかし楡木の心配をよそにリーデルは質問を被せてくる。


「それどうやって探すの?」


「怪しい奴を数人絞って、手がかりや情報を照らし合わせて行くんだよ」


「どうやって絞るの?手掛りや情報って何?」


 質問を次から次へと吹っかけてくるリーデルにいい加減苛ついて来た。


「手がかりは今ヴェロニカ達が調べてる。怪しい奴は俺が今から訊き出す」


「上手く行くの?」


「それは……」


即答できず、楡木は言い淀んでしまう。


事情聴取において大切な事。それは情報の真偽を見極める事だが、それ以前に情報を聞き出す状況を作り出す事の方がはるかに重要だと言える。


警察官なら国家権力を。


捕虜を尋問する尋問官なら、待遇や拷問と言う手段を使う。


しかし今の楡木には回答者が饒舌になってくれる餌(主に金)も、ましてや相手を脅す力もそれらを振りかざす度胸も持ち合わせていなかった。


しかし手段はなくともやらざるを得ないし成し遂げなければならない。楡木には他の選択肢など無いのだから。


「……何とかして情報は訊き出す」


「何なら妾が手伝ってあげるよ!退屈していたし」


「いらな……」


 苛付きで善意を跳ねそうになるが、楡木は踏み止まる。


 リーデルは一見アホな小娘ではあるが、仮にも皇帝。すなわち国で最も大きな権力を持つ者だ。


 そんな権力者が、相手に嘘偽りなく情報を話せと言えば相手はどうなるか。


 無論、大抵の人間は正直に答える。


「リーデル!一緒に来てくれ」


「良いよ!面白い冒険が始まる予感がする!」


 合理性を重視した結果、楡木はリーデルを助手として傍に置いて置く事にした。


 情報収集がスムーズに行くという期待と、それ以上にトラブルを引き起こしてしまうのではないかと言う不安を抱えながら。


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