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あ
花森さんは以前より朗らかに、軽く接してくるようになった。私はやはりぼーっとしていたが、チャイムが鳴るとすぐに玄関に出た。花森さんは一人で暮らしているそうだ。私と話す時間もずいぶんと長くなった気がする。
「それであなたは何か思い出しました?」
「花森さんと会う前ですか?そうですね、特に何もありませんよ。」
「じゃあ昨日のことは?」
「えっとね、花森さんは私と話しました。」
「そうですね、他には?」
「えー、掃除をしてもらいました。」
「ええ、それと昼ご飯は?」
「えっと、食べてません。」
「まさか、私が作ったんですよ。」
「あっえっそうですか。すみません。」
「いいえ、いいんです。」
私はとぼけたように笑うと花森さんも微笑む。
外はさっきから雨が降っている。
「雨の時会ったんでしたね。」
「そうですね。」
外の空は真っ黒に一面を覆っている。




