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あ
何もなかったように過ごせるのだから、不思議だ。
花森さんの休みはなかったことになっている。
記憶の世界はすべての時間軸さえ揃えてあるので可能なのだ。
そして土曜日。
「何をしますか。」
「そうですねえ、桃源郷を作りましょう。」
「桃源郷?」
「そうです。」
私は導かれるままに記憶の世界に入る。
そして記憶が一本決まっていく。その記憶は私と花森さんだけの世界。
「すべて夢なの。」花森さんは説明する。
「どうしようもなくつまらないことかもしれないけど、面白いかもしれないでしょ。」
そこの記憶は自分の意思でどんなものにでもなった。
木がこんもり生えた森にもできたし、荒涼とした砂漠にもできた。私はすっかり楽しくなった。




