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  作者: 師走
11/15

1日目。私は平然を装って花森さんのアルバイト先に風邪なので休みますと言った。恥ずかしながら夫と伝えておいた。

2日目。少しそわそわしだす。

まだ風邪だと伝える。

3日目。警察に行こうかどうか迷う。

風邪は長引いていると。

4日目。土曜日。どうしようもなくなって外に出る。花森さんは帰って来ず。よもや逃げることもあるまいね。


ああ、どういうことだ。危ない目にでも合ってるのかなあ。考えながらうちの近くの小さな山に登る。てっぺんの草っ原で、空に「おーい。」と叫んだとき、空中から急に花森さんが出てきて抱きついてきた。私は訳が分からず後ろ向きに倒れる。花森さんはけらけら笑っている。

「ど、どうしたんですか。」

「あ、ごめんなさい。」

「探したんですよ!!」

「だからごめんなさいって。」

「何があったんですか。」

花森さんは記憶の世界で遊んでいると、どこがどこやら分からなくなって、迷子になってしまった。すると、そこはすべての記憶が存在していて、ごちゃごちゃもしていなく、整理されているものがずらっと並んでいた。花森さんはそこで遊んで、私の記憶の中から休みである日の土曜日で最良のタイミングを選んで飛び出したのだ。

「ちょっと待って、ってことはあなたは時空を超えたの?」

「そうよ。」

「え、もしかして私の人生はもう流れが決まっているの?」

「いいえ、あなたのたくさんの人生が確定していってるから。」

「どういうこと?」

「あなたのたくさんの記憶はもう出来上がっているわ。でもどの記憶を生きるかはあなた次第なの。それは私がいないこととか、そのことをどう思うのかで変わってくる。だから、過去は辿ってきたものだから一本道。一通りの記憶ってこと。でも、未来は無数の道。あなたが石につまづくかつまづかないかでも大きく変わってくるものなの。それが良いか悪いかなんて問題じゃないわ。そんな低次元の話じゃない。善悪も優劣もないところ。でも、一番変なところが現在。その瞬間瞬間に記憶が一つに固まり、また無数にある場所でもある。私が記憶の世界に行ったことも、現在に大きな影響を与えているわ。」

「… 、すごいね。」

「すごいことでしょう?」

私は感動でわなわな震えた。知らず識らずのうちに涙が溢れてきた。なのに笑みさえこぼれてくる。そうして何かが弾け飛び、悲痛に顔を歪めながら笑った。明るく泣いた。花森さんは横で大きく深呼吸をした。


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