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  作者: 師走
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今日は、最悪な日だ、と思った。

なぜなら朝から雨だからだ。雨の日は気分が狂うから嫌いだ。

でも、水たまりに自分の姿が映った時、その気分は拭い去られた。

綺麗だな。そう感じて、晴れ晴れした気持ちになったのだ。

必ず、良いことがある。

そうして歩いて行くと、「あの、傘いりませんか?」と言われた。

振り返ると、女の人が立っている。

「どういうことですか。」ときくと「あ、気にしていないのならいいんです。すみませんでした。」と早口で言う。なんのことかと思って考えるうち自分が傘をさしていないことに気がついた。「あ、傘要ります。」と返すときょとんとしているので「傘欲しいです。」ともう少し丁寧にいうと「そ、そうですか、どうぞ。」というので入った。

「よくびしょ濡れで平気ですね。」

「あ、気づかなければ案外平気なもんだよ。」

「そうですか…あ、でも、寒くありませんか。今冬だし…それに気持ちが悪くありませんか。」

「いや、気づかなければね。」

「そうですか…」

しばらく歩いて行くと、この女の人はどうしてずっとついてくるのだろうと思った。

「家はここら辺なのですか。」

「ええ。」

「だからついてこられるんですね。」

「どういうことですか。」

「普通だったら途中からわかれるでしょう。」

そういうと女の人は吹き出しました。

「何かおかしいこと言いましたか。」

「いえ。ただ、その…」

「なんでしょう。」

「あの…びしょ濡れの人をほっとくわけにいかないじゃないですか。」

「そうですか。それでは家まで送ってくれるんですか。」

「ええ、もちろんです。あの…あなたはなんで外を歩いていたのですか?」

「散歩です。」

「散歩!?この雨の中を?」

「すみません、気づかないものでして」

「さすがに気づくでしょう?」

「あ、雨には気付いたかもしれません、ただ、ただ、傘をさすことがわからなかったんです。」

「そうなんですか。」

そうやっている間に家に着いた。

「ありがとうございました。さようなら。」というと、「あの、良かったら、名前教えてください。私、花森 舞っていいます。」

「私ですか。私は…ちょっと覚えてないですね。」

「本当に?」

「本当にです。」

それではまた、と言ってドアを閉めた。濡れているのに、どこかぽかぽかしていた。


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