二章 キャラ紹介 《イフリート》
と、いうわけで二章で活躍した各クラスのキャラ達を紹介するコーナーです。
何故小分けするのかと言われると、ただの話数稼ぎです。←
あと、最後にちょっとしたおまけを付け加えたからです。それぞれのクラスの日常をちょっとだけ書き足しました。本編に深く関係はしないので、あくまでおまけ程度です。
《イフリート》
レオン=バーミリアン
属性:火
アーク:ブレイズ(剣)
序列:一位
好きなもの:仲間
火属性の貴族の中でも五本の指に入るほどの名門、バーミリアン家の一人息子。性格も良く、全く非の打ち所がない。まるで主人公のようだと周囲の人間に言われる。幼少から剣術を学び、学問も優秀。更に貴族学校を首席で卒業した。アスカとは幼馴染み。
アスカ=バレンシア
属性:火
アーク:篝火(二本太刀)
序列:二位
好きなもの:勝利
火属性の貴族の中でも五本の指に入るほどの名門、バレンシア家の才女。とても勝ち気な性格をしており、何でも一番でないと気が済まない。
だが、その一番を幼馴染みのレオンに取られ続けているのでライバル意識を持っている。ツンデレツインテール。
メイラン=アプリコット
属性:火
アーク:エンテイル(尻尾型の鞭)
序列:三位
好きなもの:大盛りのご飯
魔術師ではない両親の間に産まれたため、属性に対する対抗意識が他より低い。今時珍しい性格の持ち主。お気楽でノリが良く、面倒見も良い。が、問題を一人で抱え込む癖がある。
人一倍の量の料理を食べ、髪の毛が獣の耳みたいな形をしていることから「緋色の野獣」と密かに呼ばれている。
ゴーギャン=バグダッド
属性:火
アーク:ギガナックル(パンチンググローブ)
序列:四位
好きなもの:辛いもの
下級貴族出身で、次男坊。学問はからきし駄目だが、努力家で戦闘訓練はいつも真面目に受ける。クラスで自分より強い三人を尊敬している所があるが、いつか全員倒してやりたいと熱意を燃やしている。
シエナ=ソレイユ
属性:火
アーク:グランカノン(大砲)
所属:ミスリル魔法学院 兼 《シリウス》
二つ名:《火憐砲台》
好きなもの:グレイ、子供
最強の魔術師団《シリウス》の南方支部副隊長にして、現在ミスリル魔法学院の《イフリート》クラスの代表講師も務めている。シリウス流無差別戦闘術や読心術を習得しており、完全記憶能力も持つ紛れもない天才。
グレイのことを溺愛しており、グレイのためなら暴走することをいとわない。
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おまけ『《イフリート》のとある日常』
「ぬあああああっ!! もう嫌ッスぅぅぅぅっ!」
「うっさいわよゴーギャン! 一体何事よ!?」
ここは《イフリート》の教室。今は放課後。アスカは一人机に向かって自習をしていた。
そんな時、突然ゴーギャンが頭を掻きむしり叫びながら立ち上がった。
「すまんアスカ。ほら、大人しく謝って座り直せ」
「嫌ッス……。もう、嫌ッス……」
ゴーギャンの隣にはレオンの姿もあり、アスカに謝罪してからゴーギャンを再度座らせる。が、そのゴーギャンの頭からは煙が噴き出していた、ように見えた。その目からは生気も感じられない。
アスカは自習する手を一度止め、二人の元へと近付く。見ると、ゴーギャンの手元には教科書とノートが広げられていた。
「何よ。ただ勉強してるだけなんじゃない。それで一々叫ばないでよ」
「頭の良いアスカにはわかんないんスよ! オイラみたいな馬鹿の気持ちはっ!」
「ええ。わからないわね」
「バッサリ切られたッス!?」
アスカの辛辣な一言を浴び、今度は机に倒れ伏す。
隣に座るレオンもそれには苦笑するしかなかった。
話を聞くと、ゴーギャンは前回のテストの成績が良くなかったらしく、今回もヤバイ成績を出せば色々と単位が危ういらしかった。
「自業自得じゃない」
「辛辣ッス! 優しくないッス!」
「辛辣結構よ。ていうか、まだ基礎中の基礎くらいしか勉強進んでないでしょ?」
「ゴーギャンはその基礎で躓いてるんだ……」
「真性の馬鹿だわ」
「酷いッスぅぅ……」
ノートを涙で濡らすゴーギャンを見て若干引くアスカは興味も尽きたのでそろそろ自習しに戻ろうかと振り返った。
「アスカぁぁぁぁっ!!」
「ちょっ!? きゃああっ!?」
その直後、いきなりアスカに飛び掛かってきたのは半泣き状態のメイランだった。
「うぅ、ボク、もう駄目かもしれない……」
「いったいわね、もう……。てか何が駄目なのよ?」
アスカは打ち付けた頭を擦りながら自分の胸元ですすり泣くメイランを見る。
「べ、勉強なんて……うぅ……」
その一言だけでだいたい予想は着いた。つまり、このクラスにもう一人馬鹿がいたということだった。
「アスカ。勉強教えてぇぇ~!」
「何でよめんどくさい。アタシだって自分の勉強しないといけないのよ」
「でもでもアスカ、このクラスで二番目に頭良いじゃん。ちょっとくらい教えてよぉ~。二番目でしょ~」
「二番二番言うなっ! ならその一番様に頼めば良いでしょうが! ほら、今そこであんたと同レベルの奴の面倒見てるからっ!」
そう言ってアスカはレオンを指差した。
アスカの言う通り、《イフリート》の中ではレオンが一番成績が良い。勉強も実技も一番で、アスカはそれが非常に面白くないのである。
「アタシは今度こそレオンを倒して一番になるのよ。だから邪魔しないでよね」
「ぶ~。ケチ~」
「何とでもいいなさい」
「万年二位ぃ~」
「なんですってこらぁ~!!」
一番の禁句を言われたアスカはメイランの襟を掴んでブンブンと振り回す。
そのやりとりを苦笑いで見守っていたレオンが二人の間に入り込む。
「落ち着けってアスカ。メイランも。俺が勉強教えるから、な?」
「ふんっ。余裕ねレオン。あんたはせいぜい馬鹿二人の面倒を見てることね。これで今度こそアタシが一番になるんだから」
レオンははいはい、と言ってアスカをなだめる。アスカは「何よ、バカにしてんの?!」と突っ掛かるが、レオンは慣れているのかそれすらも容易く受け流していた。
その隙にメイランがゴーギャンに小さな声で話しかける。
「アスカ、そんなんで勝ってうれしいのかな?」
「へ? どういう意味ッスか?」
「ええっと、つまりさ。アスカはボクやゴーギャンを代表に押し付けて、自分は勉強して、それで一番になるつもりなのかな、って」
「ああっ。つまりハンデってことッスね。レオンは自分の勉強時間を割いてオイラ達に勉強を教えてくれるけど、アスカは自分のためだけに勉強する。そんなハンデを貰ってまで一番になりたいのか? ってことッスね!」
「ちょっ!? 声大き──」
「へぇぇぇ~。面白いこと言うのね~」
ビクッと肩を震わせるメイラン。ゴーギャンは自分が爆弾発言したことにまだ気付いていない。
ギ、ギ、ギ、と音がしそうなほどゆっくりと首を回して後ろを見ると、そこには怒りのオーラを纏ったアスカが仁王立ちしていた。
「ハンデ……。そうね確かにあんた達はハンデ以外の何者でもないわね。いいわ、メイ。あんたがそこまで言うならアタシが勉強教えてあげるわ」
「い、いえいえ! お構い無く! ボク、代表に教えて貰うからっ」
メイランは両手を振ってお断りする。
「なら、ゴーギャン。代わりにあんたに勉強教えてあげるわ」
「へっ?! い、いや大丈夫ッスよ!? オイラはレオンに教えてもらうッスから」
そしてようやくゴーギャンもアスカの異変に気付き、メイランと同じようにアスカの提案を断った。
するとアスカは名案を思い付いたような顔をし、レオンの方を見る。
「レオン」
「な、なんだ?」
「アタシがあの馬鹿二人の面倒を見るから、あんたは自分の勉強に集中しなさい」
「「「…………えっ!?」」」
一体どういう風の吹き回しなのかと思っていると、アスカは聞いてもいないのに話し出した。
「アタシ思ったのよ。今回あんたにこの二人のどっちかに勉強を教えることに集中してたら結局のところ、本気のあんたに勝つことが出来ないって。それにもし、何の制限も無しに勝負してアタシが勝ったとしても、周りは「たまたま今回レオンの調子が悪かっただけ」って捉えるわ。それだと真の勝利とは言えないわ」
いや、そんなこと思う人はそうそういないと思うけど、と思う三人だったが、アスカの話はまだ続く。
「そこでこのハンデよ。アタシがこの二人のハンデを背負いながら、全力のあんたに勝つ。そしたら全員にアタシが勝者だと言わしめることが出来るのよ!」
そこまで馬鹿と言われると流石にちょっと傷付くなぁ、と思うメイランとゴーギャンだったが、アスカの話はまだ続く。
「だから、あんたはさっさと寮に戻って勉強してなさい。勿論全力でよ。わかった?」
「え、えと……。いや、俺、ゴーギャンに教える約束──」
「あぁっ?!」
「わかった任せた! あとは頑張れよ二人とも!」
「代表っ!?」
「レオンっ!?」
まさかの裏切りにあったメイランとゴーギャンの頭に、アスカの手が置かれた。その手にはかなり力が籠められていた。
「さあ、あんた達。テストが終わるまでゆっくり寝れると思うんじゃないわよ……?」
「「い、いやぁぁぁあっ!!」」
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次の日。
「あ、あのぅ……メイランさんとゴーギャン君。何だか死にそうな顔してるけど、大丈夫?」
「大丈夫じゃ……」
「ないッス……」
シエナは昨日とはまるで別人のようにやつれていた二人がとても心配になるのであった。そしてもう一人。
「あと、アスカさん。魔法、使ってないよね? 何故か背景が燃えてるように見えるんだけど、先生の目の錯覚かな?」
アスカはシエナの質問に答えることなく、すごい形相でレオンを睨み付けていた。
なので代わりにレオンが「気にしないであげてください」と答え、シエナは苦笑いしながら授業を再開させた。
口は災いの元。それを痛感したメイランとゴーギャンはテストが終わるまで毎日地獄を見ることとなったのだが、それはまた別のお話。




