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陰陽師の名家のイケメンなのに霊力ゼロな俺。全部マネージャーの女が祓ってるけど、アイツ全然可愛くない  作者: かにえR
【第1章 この2人、相性最悪】

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第一話 破ァッ


「奥さん、右肩に……霊が憑いています」


『チッ』


「(おい、舌打ちしてんじゃねぇよ)」


『集中してください。憑いているのは左肩です』


――イヤホン越しの女、菅原(かんばら)ひかり。


「すがわら」と呼ぶと、「かんばらです」と秒で否定してくる女。

そして俺は、御影紫門(みかげしもん)

千年続く陰陽師の名家に生まれた、待望の跡継ぎ。

女児が続いて後継問題が深刻化する中、名のある神社の娘との間に生まれた、待望の男児。それが俺だ。


「では、奥さん、祓いますよ」


「お願いします……♡」


「破ァッ!」


『菅原、祓いました。霊、消滅済みです』


「奥さん、無事に祓えました。もう、大丈夫ですよ(ニッコリ)」


「ありがとうございます♡ なんだか、肩が、軽くなったわ♡ 先生……♡ また、何かあったら、お願いしてもいいでしょうか?」


「先生、なんてとんでもない。私のことは、紫門とお呼びください。また、何かありましたら、いつでも……」


『チッ』


◇ ◇ ◇


菅原が運転する車の、後部座席に乗り込む。


「おい、二回も舌打ちしやがって。舐めてんのか、すがわらぁ」


「かんばらです。あの、『破ァッ!』って言うの、やめてもらえませんか?」


「はぁ? なんか言わねぇと祓ってる感出ねぇだろ」


「いや、うーん……なんか少し、ダサいというか……」


「ダサい? 顔が良ければなんだって許されるんだよ。見たか? あの依頼者の顔。語尾に♡まで付けて。

先生……♡って。『破ァッ!』だろうと何だろうと、俺なら許されるんだよ」


「そうですね。面倒くさいんで、そのままでいいです。存分に『破ァッ!』と唱えてください」


「煽ってんのか、おい」


「……」


こんなマネージャー、今すぐクビにしてやりたい。

だが、できない。

俺には霊的な力が一ミリもないからだ。ゼロ。まったくのゼロ。

祓っているのは、こいつ――菅原ひかり。

いつまで経っても霊力が顕現しない俺に焦った両親が考えた苦肉の策。

今のところバレていない。知っているのは霊力のある父と、うちの母だけだ。

生まれた時から一族の期待を背負ってきた。それなのに霊力は一向に現れない。

親族に隠すため、中学卒業後は海外留学させられた。

“グローバルな陰陽師を育てる”という名目で。皆も信じた。

しかし、俺は勉強もせず、友達と遊んでばかり。

身についた英語は日常会話程度。

そこで両親もようやく、俺がポンコツだと理解したらしい。

……まぁ、顔はいいけど。


「次の予定まで時間がありますが、どうしますか?」


「は? あぁ。どれくらい?」


「二時間ほどです」


「二時間……ちょっと、女と遊んで来ようかな〜」


「二時間しかありませんが」


「十分だろ。顔出しとかないと怒ってSNSで晒されるからなぁ。イケメンってのは、生きづらいよ」


「またお父様に怒られますよ。陰陽師というのは清らかであるべきと」


「清らか、ねぇ。みんなに嘘ついてる時点で、もう清らかじゃないんじゃないの〜?」


「そうですね。清らかではありませんね。こちらとしても仕事に支障が出るのは困るので、問題のない程度にお遊びください」


「はいはい、じゃあこの住所までよろしく〜。あ、もしもし? 今から行くから。二時間だけだって。ごめんね〜俺、忙しいからさぁ〜」


「二時間後に必ず戻ってきてください。戻らなかった場合、インターホンを連打します。それでも出なかったら強行突破いたします」


「強行突破はウケるな。ドアでも突き破る気? 面白いね、すがわら」


「かんばらです。ホームセンターでバールのようなものを購入してきます」


「ははは、冗談でしょ。……まぁ、努力しまーす」


◇ ◇ ◇


「は〜めんどくさ。なんなんだよ、あの女。すがわらだかかんばらだか知らねぇけど。陰気臭くて、こっちまで陰になるわ。陽でありたいよ。陰陽師だけに。あははは」


「ねぇ、何の話? 意味わかんないんだけど〜。せっかく来たのに他の女の話? もう、何人ストックしてるわけ? ほんとイヤ〜笑」


「ストック? 何の話だかわからないけど……まぁ、ちょっと疲れたから眠らせてよ。君ん家のソファ、昼寝にちょうどいいんだよね」


「えー! 寝に来ただけ? マジでひどいんだけど。でも……こんな隙間時間に来るってことは、少しは愛されてるのかもね。って、もう寝てるし……本当、顔だけは最高……」


カシャ。


「……」


「……しもんくん! 紫門くん!! 起きて!! 起きて!!」


「……なんだよ!! 急にデカい声出すなよ。起きちまっただろ! 今めちゃくちゃいい夢見てたんだぞ!

あと少しで俺、空飛べたのに……」


「さっきからエントランスでインターホン連打してる女がいて、無視してたら今度は玄関のドア叩いてるの!!!」


「……は? あー……やべ、今何時? ……やばいやばい、三十分オーバー」

ドンドンドン!!!


「やばいって! カメラ見てよ! この女なんか持ってる!!」


「大丈夫、大丈夫。俺のマネージャーだから。じゃ、帰るわ。またね〜」


ガチャ。


「悪い悪い。ちょっと遅れちゃった。バールのようなものの出番はなかったね」


「はい。そうですね。では行きましょう」


「怒らないんだ?」


「想定内です。急ぎましょう」


「怒ってもいいんだよ? ほら、得意の舌打ちとか」


「……」


「得意の無視か」


「……」


「は〜もっと愛想よくしたら? モテないよ? そんなんじゃさぁ」


「……」


まじで、なんなんだよこの女。

陰気臭ぇ。


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