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隣のとなりの朝水さん  作者: 一季 巡


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4/4

教え方が独特な少女

俺には、毎日のように顔を合わせている同年代の女性がいる。

だが、残念ながら恋人ではない。

そう、家が近くの幼馴染というやつだ。

そして、そいつが幼少期、俺にこんな事を言った事がある。

「たかくんは頭が良いんだね!」

断じてその言葉を引きずっているものではないが、しかし、俺は今でも授業の予習復習を欠かさず、成績上位をキープしている。

そして今。

「わっかんねー・・・。」

図書室で自習していた俺は、苦手の数学で止まってしまった。

どうにもベクトルというやつが分かりにくい。

始点と終点が一緒ならどこ経由しても一緒?何だそれ。

教科書を読み返していると、隣に誰か座ってきた。

振り返ると、朝水が居た。

(どうしたんだ、こんなとこで。)

正直、数学が得意な朝水の前で勉強して苦手がバレるのが嫌だ。

しかし、朝水は俺の教科書を指さして、こてんと首を傾げた。

可愛い。

じゃなかった、バレてた。

教科書の端に、いつのまにかこんな文字が書かれていた。

(分かんないんでしょ)

「・・・人の教科書に落書きすんな。」

目線をなるべく合わせない様に小声で言うと、右肩をポコポコと叩かれた。全然痛くない。

「まぁ、でもっ・・・教えてくれると助かるなー、なんて・・・。」

ここは朝水の顔を立てておこう。

一瞬で機嫌の良い顔になった朝水はノートを取り出し、

(私たち)

と書いて丸で囲んだ。

それから、こ、と書きかけて慌てて消してから

(友達)

と少し離れたところに書いて丸で囲んだ。

その間に

(ゲーム)

(漫画の貸し借り)

(おしゃべり)

と書いていって、線で繋ぐ。

(私たちが始点、友達が終点。その間をどう経由しても、友達になれるでしょ?)

何だか、分かったような、分からないような。

「まぁ、確かにな。」

朝水は満足げな顔をした後、腕時計を見てそそくさと帰っていった。

「独特な教え方だな、あれは・・・。」

まぁ、久々に同じ教科書を二人で覗き込むのも悪くはなかったと、俺は思った。

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