生徒会の庶務の俺
俺は、俺の通う東生高校の玄関の前に立っている。
岩足貴夫。その4文字が、躍動感溢れる感じで書かれている。
俺の学校指定のジャージに。
「貴夫!似合ってんなそれ!」
「ふざけんな。」
親友の國村に言い返しながらも表情は崩さない。
「おはようございます!」
「おはよう」
「おはようございます!」
「・・・」
「おはようございます!!!」
「お、おはよう・・・。」
いつの間にか國村が横に立ってた。
「お前、何で挨拶してんの?」
今し方登校して来た生徒たちへ挨拶を終えて振り向く。次に生徒たちが固まって登校して来るのは多分8:00台だ。後10分程は暇だろう。
「何故、と言われても、俺は生徒会庶務として当然の事をしているまでだが?」
「生徒会の奴がジャージに落書きして良いのか?」
「これは人にやられたんだ。」
「へぇ。そいつは誰だい?」
「國村という男だ。」
「へぇ。そいつは随分と愉快な奴だね。」
沈黙。しかし奴に悪びれた様子はない。
「・・・何故こんな事をした。」
「逆に何でされたと思う?」
「さあな。興味ない。さっさとこれを消せ。」
「じゃあ教えてやるよ。」
8:00のチャイムが鳴る。
國村は校門に向かって歩いてくる生徒たちの方へ、大声で叫んだ。
「来たる9月24日の生徒会選挙、この真面目が取り柄の岩足貴夫に清き一票をお願い致します!」
そうだった。
「この真面目が取り柄の、私、岩足貴夫に清き一票をお願い致します!」
それから登校時間ギリギリまで二人で交互に叫んだ。
チャイムと同時に校内に入る。
「助かった。ありがとう國村。」
「そうか。じゃあそんなに感謝してくれるならお前のクラス今日授業変更で2時間目体育になったって言っても許してくれる?」
・・・
奴が無言で自分のジャージを渡してきた。
「ありがとう。2限で借りた後落書きをしてから返してやる。」
「待て!水性で頼むぞ!いや違う俺4限に体育だった!落書きは勘弁してくれ!」
俺は黙って自分のクラスに入った。




