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【4/1~リメイク版投稿予定】冒険姫リーベ 〜食堂の看板娘だけど、みんなの希望になるために冒険者になることにしました〜  作者: 丘引みみず
第4章 新たな出会いと、さらなる冒険

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182 お魚天国

 一同が会する食卓。そこには何時にも増して豪勢な食事が並んでいた。


 主菜にコイのクリーム煮とフナのフライ。副菜にグリルコイのほぐし身サラダ。と、今晩は魚づくしだ。これに1番よろこんだのはもちろん、魚好きのフロイデで、彼はナイフとフォークを手に目を輝かせている。


「沢山ありますから、遠慮しないでどんどん食べてくださいね?」

「うん!」


 無邪気に返事するなりフライに飛びついた。


 一方、ヴァールは『言質(げんち)を取った!』とばかりに不敵に笑むと、舌なめずりをした。


「おじさんは少しくらい遠慮してよね!」

「がはは! なあに、こんだけありゃ、お前らが食う分も少しは残るだろうよ!」


 言うが早いか丸パンを頬張り、クリーム煮を掻き込んでいく。


「もお、少しは味わってよね?」


 溜め息をつくとフェアが言う。


「しかし、この豊富なレパートリーはさすが、食堂の娘ですね」

「ふふ、ありがとうございます。沢山釣れたので、頑張っちゃいました! ああでも、お母さんならあと5品は出せたと――」

「おかわりっ!」「おかわり……!」


 大小2人がスープ皿を手に、席を蹴って立ち上がる。

 先に鍋の前に立ったのはヴァールで、零れそうな程にクリーム煮をよそっていく。


「よそりすぎ……!」


 フロイデが抗議するも、ニヤリと笑って聞き入れない。


「へへ、俺はデカいんだから食わねえとな」


 挑戦的な言葉に対し、フロイデは不満を滲ませる。


「ぼくだって、これから大きくなるんだから」

「ほんとうかあ~?」

「むう……!」


 2人がにらみ合う様を眺めているとリーベの腹が鳴った。


「あ、わたしたちも早く食べないと!」


 恥ずかしくって声が上擦る。


 ヴァールに聞かれなくて良かったと安堵していると、その隣でフェアが笑った。


「ふふ。せっかくのお料理が冷めてしまってはいけませんし、いただきましょうか」

「そ、そうですね――じゃあ、いただきます」


 我ながら会心の出来だ、とリーベは思った。

 冒険者になって一月半。

 料理が下手になっていないかと不安だったが、杞憂だった。








「ふう……ごちそうさまでしたっと」


 リーベは満腹で、さすがに作り過ぎちゃったかなと思いながら周囲を見回す。


 フェアは優雅に口下を拭っていて、ヴァールはシーシーいいながら楊子で歯を掃除している。

 そしてフロイデはというと、名残惜しそうにスープ皿にパンを擦りつけていた。


 どうやらこの量でちょうどと言った具合らしい。


(さすが冒険者……いや、わたしもか)


「さてと、片付けちゃうんで食器重ねといてください」


 腰を浮かせるとフェアに制される。


「片付けくらい私がやりますので、リーベさんはどうぞ休んでいてください」

「いいんですか?」


 ラッキーと思いつつ、やはり自分がやらねばという気持ちがあった。


 親戚の集まりみたいなこのクランだが、序列で言えば彼女が最下位にいるのだから。


 だがフェアの申し出を無下に断るのも、それはそれで失礼というものだろう。


 逡巡(しゅんじゅん)の末、任せることにした。


「じゃあ、お願いしてもいいですか?」

「もちろん」


 彼は席を立ち、食器を集め始めた。


 その傍ら、リーベはふと疑問に思ったことをヴァールに問い掛ける。


「そうだ。ねえおじさん。魚の魔物っていないの?」

「さかな……!」


 フロイデと一緒になってヴァールを見やる。すると彼は楊枝を咥えながら返答する。


「いるにはいるが、海にしかいないな」

「え、そうなの?」

「ああ。川や沼なんて魔物には狭すぎるだろ?」

「確かに……」

「そう、かも?」


 フロイデ共々納得させられる中、ヴァールは思い出して言う。


「そうだ。魚はいねえがカニとかならいるぞ?」

「ほんとう?」

「ああ」


 そうだ、と手を打ち鳴らす。


「次はカニかなんかを倒しに行こうぜ」


 なあ、と相方であるフェアに呼び掛ける。


「……確かに、そろそろ甲殻類を相手にしてもいいかもしれませんね」


 フェアの言葉にリーベは若干の不安を抱く。


「その言い方……甲殻類って強いんですか?」

「ええ。固い甲殻で守られていますからね」

「へえ……大丈夫かな?」


 不安を零すとフロイデがリーベの肩を叩く。


「その分、遅いから大丈夫……!」

「そ、そうなんですね」


 弱点があると知った途端、なんとかなるだろうという気にさせられた。


(……わたしって単純なのかな?)


 ともあれ、次なる依頼に対し、今のうちから気を引き締めていこう。


 そう胸に言い聞かせるとリーベは次なる任務に想いを馳せた。



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