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冒険姫リーベ 〜食堂の看板娘だけど、みんなの希望になるために冒険者になることにしました〜  作者: 森丘どんぐり
第4章 新たな出会いと、さらなる冒険

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175 フロイデのペット

 それから料理を(こしら)えると、リーベたちは夕食となった。


 今晩の献立は川魚の香草焼きにポテトサラダ。それに野菜スープだ。


(今日のはお店に出しても良いくらい改心の出来だから、みんなの反応が楽しみだな) 


 そんなことを考えていると、ヴァールが香草焼きを頬張りながら言う。


「なあリーベ」

「なに?」

「お前の飯は美味いんだけどよ、魚、多くねえか?」

「あー、言われてみればそうかも」


 だが、そうなってしまうのも無理はない。なぜなら――


「もっもっ……!」


 リーベの視線の先には、頬をリスのように膨らませるフロイデの姿があった。

 その瞳からは幸福感が溢れ出ていて、見ている彼女までもが幸せな気分になれた。


「ふふ、あんな幸せそうに食べてくれるんだもん。魚が多くなっちゃうよ」


 素直に言うとヴァールは唸る。


「ううむ……俺もこれから肉が出たとき、あんな風に食ってみるかな」

「ヴァール。あなたが真似しても見苦しいだけですよ?」

「フェア、お前……」


 辛辣な寸評にリーベは思わず吹き出してしまう。


「ふふ、確かにそうだね!」

「リーベ、お前まで……」


 リーベにまでそう言われて彼は割と真剣に落ち込んだ。


「ああ! 今度お肉料理作ってあげるから、そんなに落ち込まないで!」

「……ああ」


 そんな年甲斐もない姿に笑いがこみ上げてくるが、どうにか堪える。


「……ね、ねえ。おじさん、フェアさん。ちょっと相談したいことがあるんだけど」

(やぶ)から棒だな」

「なんでしょうか」


 興味津々と彼女を見る2人とは裏腹に、リーベは横目でフロイデを見ていた。そして脳裏に先ほどのやりとりを思い起こしていた。


「あのね。ギガマンティス退治で貰ったお金なんだけど、それでフロイデさんにぬいぐるみを買ってもいい?」


 その問い掛けに一座は一瞬、固まった。それから数秒の間を開け、フェアが口を開く。


「アレはリーベさんが1人で稼いできたお金ですので、私たちが口を挟むものではありません」

「ああ。だがよ、お前はそれで良いんか?」


 ヴァールの言葉にフロイデは期待を満面に浮かべつつも、うんうんと(しき)りに頷く。


「うん。だって、キックホッパー退治の時だってみんなで行ったでしょ? なのにわたしだけご褒美を貰っちゃうのはおかしいよ」

「リーベちゃん……」

「フェア、どうするよ?」

「私の意見に変わりはありません。リーベさんがそれで良いとおっしゃるのであれば、ご随意に」

「ほ、ほんとにいい、の……?」


 フロイデは心配そうに問うが、その瞳はキラキラとしていた。


「はい。フロイデさんにもペットを飼う喜びを知ってほしいんです」

「リーベちゃん……ありがと……!」


 彼はぬいぐるみの事を思い浮かべ、幸福感にため息をついた。そんな姿にリーベもまた、幸せな気持ちになるのだった。








 そうして迎えた翌日。リーベたちはボニーを買ったあのぬいぐるみ屋にやって来ていた。ここには犬猫に限らず、鳥やクマ、亀などと言った様々な動物を取り扱っていて、まさに動物王国だ。


「わあ……!」


 ここに来るのは3度目であるが、感動が薄らぐことはなかった。


「やあお嬢ちゃん。また修繕に来たのかい?」

「こんにちは、おじいさん。今日は治療じゃなくて、フロイデさんの猫を買いに来たんです」

「ほお、坊やのかい。さて、どの子が目当てかな?」

「アレ……!」


 フロイデが示す先――棚の高いところには白猫がいて、そのたたずまいから気高さが伝わってくる。


「きれい……」

「ヴァール、取って……!」


 フロイデがピョンピョンとしながら頼む、ヴァールは苦笑しつつも腕を伸ばす。


「ほら、コイツで良いんだろ?」

「うん……!」


 その子は昨日、彼が語っていた通り、左目が青、右目が黄色のオッドアイだった。


「もふもふ……!」


 フロイデが「むふーっ!」と鼻息を吐き出す中、フェアは店主に問うた。


「おいくらでしょうか?」

「ああ、あの子はたしか――」


 フェアがリーベから預かっていた金で支払いを済ませている中、ヴァールがフロイデに問う。


「名前とかは決めてんのか?」

「う、うん……」


 彼は気恥ずかしそうに白猫を抱いて俯いた。


「ア――」

「あ? 聞こえねえぞ?」


 すると彼は僅かに顔を持ち上げて、愛猫の名を呟く。


「……カティア…………」

「カティア……ということは女の子なんですね?」

「う、うん。白猫だから……」


『白猫だから』とは何なのか気になったものの、彼の愛らしい仕草を前に疑問は流れていった。


「随分と賑わっていますね?」


 支払いを終えたフェアがやって来る。


「ああ。名前の発表会をしてたんだよ」

「おや。一つ私にも聞かせてください」


 ヴァールがニタニタと笑う中、フロイデは年頃の少年らしい恥じらいをもってその名を告げた。するとフェア何か引っ掛かるものがあったようで、とてもこの場にふさわしくない、悲しそうな目をして彼を見た。


「カティア……ですか……」


 彼が小さくため息をつく一方、フロイデは幸福感たっぷりにリーベを見る。


「リーベちゃん、ありがと……!」


 リーベはこの時、ダンクを彼女の元へ連れてきたエルガーの心情を理解した

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