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冒険姫リーベ 英雄の娘はみんなの希望になるため冒険者活動をがんばります!  作者: 森丘どんぐり
第3章 新天地へ

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163 多頭飼い始めました

夕食を終えると、フェアとフロイデが食器洗いを申した。リーベはそれに甘えつつ、楊枝で歯を掃除していたヴァールに感想を問う。


「美味しかった?」

「ああ。シェーンにも負けて無かったぞ」

「ふふ、ありがと♪」


 そんなやり取りをしていると、両親がどんな暮らしをしているか気になった。


「……お父さんとお母さん、心配してないかな?」


(手紙には安心したって書いてあったけど、ほんとうかな……?)


「安心しろ。俺たちがついてるんだから」

「……うん。そうだね」


 ヴァールの言葉に納得すると、一応の不安を飲み込んだ。


 それからしばらく、会話が一段落すると彼は「あ、そうだ」と切り出す。


「もうあの人形で遊んだのか?」


 そう尋ねられると、リーベは先の出来事を話したく堪らなくなった。


「そうそう聞いてよ! ダンクったらわたしたちがいない間、こっそりお家から抜け出してたんだよ?」

「はは! そりゃ悪いやつだな!」

「でしょ? それにね、ダンクってば、今度はボニーを連れて2人だけで遊びに行こうとしてたの!」

「罰はやったんか?」

「もちろん。もふもふタイムの刑に処したよ!」


 そんなやり取りを交わしていると、洗い物を終えたフェアがやって来る。


「ふふ。素敵な時間をお過ごしのようで何よりです」

「はい! フェアさん、ボニーを買ってくれてありがとうございます」


 礼を述べると彼は微笑で受け止めた。

 一方、フロイデさんが羨ましそうに呟く。


「ぬいぐるみ……」

「フロイデさんはペットを飼ったりしないんですか?」

「だ、だって……ぬいぐるみって、女の子のもの、だから」


 少年らしい恥じらいに満ちたその回答にリーベはほっこりさせられた。


「ふふ、そんなことありませんよ。ねえ?」


 呼び掛けるとヴァールは苦笑し、フェアさんは微笑んだ。


「まあ、アリなんじゃねえの?」

「ええ。嗜好(しこう)は性別で縛れない営みですから」


 2人が言うとフロイデさんは「そっか……!」と目を輝かせる。


「なんだ? 欲しいヤツでもいんのか?」

「白猫……!」

「猫ですか……フロイデさんらしいですね」

「ふふ。すぐに買って差し上げられる訳ではありませんが、金銭に余裕が出来たらお迎えしましょうか」

「いいの?」


 フロイデが希望を満面に浮かべて問い掛けるとフェアは「ええ」と頷く。その傍らではヴァールが「こりゃ、出費がかさむな」と笑っていた。


「それよか、風呂入りにいこうぜ」


 ヴァールの言葉を受け、リーベとフェアはすくと立ち上がるが、フロイデは渋々と言った様子だった。しかし、ぬいぐるみの話の直後だった為に、いつもよりかはご機嫌だった。







 日課を終えるとリーベ自室に下がり、ダンクとボニーを胸に、眠りに就く。






 悠々と広がる草原には温かな風が吹き渡り、それが彼女の髪と愛犬の体毛を微かに揺らした。その心地よさに伸びをしつつ、愛犬たちに呼び掛ける。


『んーっ! 今日も良い天気だね!』

『きゃん!』


 ボニーが元気になく一方、ダンクは緊張リーベの脚の陰に隠れようとする。


『ダンクったら、まだ緊張してるの?』

『きゅうん……』


(こうなったら飼い主として、2人を打ち解けさせてあげなきゃ!)


 そう決めるや彼女はこぶし大のボールを取り出す。

 すると先ほどまで恥じらっていたダンクが嬉しそうに尻尾を振り出す。


『ふふ、行くよ? それ!』


 ボールは放物線を描き十数メートル先に飛んでいく。


 ダンクは身を翻すとそれを追いかけ、地面に着くより先に咥えてキャッチした。


『すごいすごい! ――見てたよねボニー? ボールはこうやって遊ぶんだ』

『きゃん!』


 理解を得られたところでボールを受け取り、第二投!


『いくよ、それ!』


ボールが彼女の手を離れた瞬間、2人は同時に駆けだした。その俊足っぷりは猟犬さながらであった。


(さあ、どちらが勝つか……ダンクが勝った!)


『きゃんきゃーん!』

『はは! 2人とも凄いよ!』

『きゃん!』


 ダンクが得意げにボールを差し出す一方、ボニーは少し悔しげだった。


『ふふ、まだまだこれからだよ。それ!』


 三投目もダンクが取った。四回目も、五回目も、ダンクが取った。すると……


『きゅうん……』


 ボニーがつまらなそうに野花を鼻先で突く。そんな様子を見て、リーベはダンクに注意した。


『いい? ダンクは駆けっこが得意なんだから。少しは加減してあげなきゃだめだよ?』

『きゃうん?』


 理解できないとばかりに首を傾げる。


 今までダンクは何事にも全力だった。それを思えば加減というものを理解できないのに合点がいく。しかし、今やリーベは多頭飼いする身であって、犬同士の協調性というのも養わねばならないのだ。


 リーベはダンクの顔を両手で挟んで自らの方へ向ける。そしてくりくりの目を見据えて言う。


『いい? みんなで遊ぶためには、みんなが楽しめるようにしなきゃいけないの。だからダンクは少し遅れて駆け出すの。いいね?』

『きゅうん?』


 ダンクは不思議そうにするが、しかし根が素直な彼はとりあえず受け入れてくれた。


『ふふ。それじゃ、次はみんなで楽しく行こう! それ!』


 リーベが第六投を投げると同時にボニーが駆け出す。

 一方でダンクは数秒の間を置いて駆け出す。その結果、両者は鼻先を並べる接戦を演じたが、ギリギリのところでボニーがボールに食らいついた。


『きゃいいんっ!』


 釣り上げられた池の主の如き壮大な跳び上がりは、リーベの目に印象強く焼き付いた。


『きゃん!』


 ボールを持ち帰ってくるとボニーは得意げに、ダンクは楽しげに鳴いた。

 リーベはそんな2人が愛おしくて、思わず両腕を広げた。すると2人が胸に飛び込んでくる。


『わはは! くすぐったいよ!』


 2人にチロチロと頬をなめられてリーベは悶えるのだった。



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