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冒険姫リーベ 英雄の娘はみんなの希望になるため冒険者活動をがんばります!  作者: 森丘どんぐり
第3章 新天地へ

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162 賑やかな昼食

 先の尋問により、ダンクが飼い主のいない間に外出していたことが明らかになった。

 そして彼は今回、ボニーをデートに誘っていたのだ。


 外には危険が多く、飼い主と同行しなければならないのだが、彼はそれを承知の上で外出していたのである。故にリーベは制裁として、彼を『もふもふタイムの刑』に処すこととなった。

 そうして刑は執行され、最後に注意をする。


『いい? お外はダンクが思っている以上に危険がいっぱいなんだから。わたしと一緒じゃなきゃだめだよ?』

『きゅうん……』


 彼は大きな頭を項垂れる――楽しみが禁じられて残念に思っているのだ。


 その仕草には反省の意思が表れており、リーベはむしろ、自分が彼をいじめている様な気がしてきて堪らなくなった。


『ぐ、うう……と、とにかく! 勝手に外出しちゃダメだからね?』

『きゃうん……』


「――ベちゃん……!」


『ん? 今何か聞こえたような……』


「リーベちゃん……! 起きて……!」


 切羽詰まったその声にいつの間にか眠ってしまっていたリーベが目を覚ますと、そこには青い顔をしたフロイデがいた。


「あ、フロイデさん。どうしたんですか? 顔が真っ青ですよ?」


 目を擦りながら尋ねると彼は嘔吐きながら答える。


「お昼、リーベちゃん、寝てるから、フェアが料理、したの……それで、夕飯もフェアが作る、て……」

「うへえ……それはちょっと…………」

「『ウジ虫入りチーズのカルボナーラ』を作るって……」

「うひゃあ! そんなの、堪りませんよ!」


 彼女は飛び起きると一階に駆け下りる。


「フェアさん!」


 厨房にはフェアさんがいて、まさにこの時、恐るべきゲテモノが生成されようとしていたのだ。


「おや、お目覚めですか?」


 彼の微笑はとても恐ろしいものに思えた。


「は、はい! あの、夕食はわたしが作りますので……」

「いえ。リーベさんもお疲れなのですから、私が作るべきかと」

「か、勘が鈍っちゃうので! わ、わたしが作らせていただきます!」


 必死に訴えると彼は渋々と言った様子で調理場を退いた。そのことにフロイデ共々ほっとため息をついた。


「ふう……ところで、おじさんは?」

「裏庭で空気、吸ってる」

「そう、ですか……」


 リーベは寝過ごしてしまったことを申し訳なく思いつつ、夕食の支度に取り掛かる。


 フェアが具材を用意していた為、今日はこのまま、カルボナーラを作ることにした。


 無論、チーズは普通の物を使ってだ。






(平打ち麺にソースを絡めて完成っと)


「出来ましたよ~!」


 上階に呼び掛けるとヴァールとフロイデがそれぞれ飛び出してくる。一方、食卓で縫い物をしていたフェアさんは道具を付近の棚へ避け、ふきんでテーブルを拭き始める。


「ふふ。今日のは自信作なんだ」


 配膳しながら言うとフロイデが満面の笑みを浮かべて言う。


「カルボナーラ……!」


 卵とチーズ、そして牛乳をベースに据えたこのメニューは彼の琴線(きんせん)に触れたようで、着席した彼はフォークを両手に、指定席に腰を据える。


「ふふ、はい。どうぞ」


 配膳するや否や、「いただきます……!」とパスタに食らいつく。そんな様子を微笑ましく思いつつ、リーベは自分の分の配膳を終え、食事を始める。


「いただきます」


 そうして一口頬張る。


 カルボナーラといえば、卵とチーズと牛乳とが織りなす濃厚な風味が最大の武器であり、その特徴を損なうことなく取り入れた本品は非情に美味だった。


「ふふ、美味し♪」


 自分の料理に満足しながら面々の様子を盗み見ると、当初調理しようとしていたフェアを含め、皆が頬を綻ばせていた。


(口に合って良かった)


 食堂の娘として、皆にに料理を楽しんでもらえるのは幸福なものだった。

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