18 美波の日記
亜麻とケンカした。
だって亜麻はあたしのスマホ、自分のものみたいに使おうとするんだもん。
ううん‥‥。
違うな‥‥。
ケンカというより、あたしが意地悪しちゃったんだ。
亜麻はなんにも悪くない。
あたしがイヤな女、ってだけだ。
「なんでも自分のものだと思ってんの!?」
そんなこと、亜麻が思ってるわけないのに‥‥。
今はわかってる。
あたし、自分がなんであんなこと言ったか。
‥‥‥‥‥‥
亜麻は成長が早いんだ。
生まれてまだ3ヶ月ちょっとなのに、もう、あたしと同じ中学生くらいの格好になってきてて‥‥。
ほんでもって‥‥、胸なんかあたしより大きいんだよ?
それで‥‥美人で。
少し巻き毛のロングヘアーは、亜麻色で、すごくきれいで‥‥。
あの水着だけの格好で‥‥
毎日、マスターとおんなじ屋根の下にいるんだよ?
そりゃあ、人魚と人間なんだから‥‥別種の生物なんだから‥‥結ばれるわけなんかなくって‥‥。
もしそんなことしたりしたら、マスターは本格的にヘンタイ‥‥
うあああああああ!
何考えてんだ? あたし!
う〜〜〜〜〜〜。
ヤな女だ。あたし‥‥。
ヘンタイは、あたしだ。
わかってる。
あたし‥‥、亜麻に嫉妬してるんだ。
あの、愛らしい姿に‥‥。
たぶん、そうだ。
ヤな女だ。
醜い心だ。‥‥‥‥もう!
亜麻のこと大好きなのに。
すごく大事な、かわいい妹なのに‥‥。
なんで、こんな気持ちになっちゃうんだろ?
‥‥‥‥‥‥
明日‥‥。亜麻に謝ろう。
悪いのはあたしだもん。
許してくれるかな? 亜麻‥‥。
ごめんね。
ここで言ってもしょうがないか。




