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ダンジョンマスターの贈り物  作者: 穂村満月
2-1章.18-15歳
462/463

461.建国記念祭

 レイラーニは魔法使いと子どもたちを連れて南のダンジョンに帰宅した。そのうち別の部屋を用意するが、今日のところはアデルバードの部屋を使ってとレイラーニが魔法使いに言うと、師匠が怒り出した。

「未婚女性が男と暮らすなんて、とんでもないことです。養父は私が引き取りますから、お構いなく。私は結局、使用人部屋と客間しか使っておりませんので、王の住居スペースは空いておりますから、そちらを養父の住まいにします」

「どこに住まおうと、魔法があればゼロ距離だ。どちらでも構わないが、俺の家がセレンディの家になることは忘れるな」

「そうだよね。今までずっと一緒にいたのに、今更だよ。師匠さんたち、セレちゃんの部屋を作って。あと、ミンディたちの寝る場所も作って」

 レイラーニは、また新たにモンスター師匠を5体作った。召喚されたモンスター師匠は、魔法使いの姿にギョッとするも、隣の部屋に移って作業を始めた。師匠のストックから勝手にベビーベッドを引っ張り出し、組み立てて、寝室に並べる。

 魔法使いも、モンスター師匠が大量に現れて、微妙な顔をした。自分はシャルルは1人いれば充分だと思っていたが、レイラーニにとって師匠は5人いても足りないほどに愛しているのかと思ったのだ。

「コハク以外に、コピーはいるのか?」

「うん。お兄ちゃんと、テッド、、、弟と、妹に似てることになってる子がいるよ。そのうち紹介するね」

「ああ。今日は帰るとしよう。バカ息子。お前の家の座標を教えろ」

 魔法使いは不機嫌顔で、師匠の襟首をつかむと魔法で消えた。



 レイラーニは大好きな人に囲まれて、楽しく育児をして過ごしていると、年が明けた。クルートを焼いて仮装して配りまくり、新年のイベントがひと段落すると、フェーリシティ建国記念祭が行われる。英雄様誕生日祭と実行委員メンバーはほぼ同じなので、面倒臭いからやらなくていいよとレイラーニは抵抗したのだが、女王の誕生日祭を建国記念祭に変えさせる程度しか、意見は通らなかった。

「女王陛下のご誕生のお祝いをするよりも、建国記念日が陛下のお誕生日であると印象付ける方が、より神聖な方だと周知できます」

 グラントたちはそう言って、決めてしまったのである。グラントは絶対服従を誓っている割に、こういうところはガンとして譲らないから、もう諦めるしかない。

「そうですね。建国記念であれば、最悪、陛下が失踪していても誤魔化しがきくのではないですか。パット宰相やヴァーノン将軍の晴れ舞台を用意すれば良いのですから。実際に、お子様を誰かに預ける気がないようですから、拘束時間はいくらも作れません。そちらがよろしいでしょう」

 カーティスも同意した。拘束時間が少ないと言われれば、レイラーニも、承諾するしかない。

 なんだかんだと出産は耐えられずに、いろいろと端折った。可愛い我が子の成長過程は極力見逃したくないのだ。お世話の手伝い係はいらないほどいるから、三つ子の育児に大変なことは何もない。だから、休憩も気晴らしもいらない。そんなものには、極力参加したくないのだから、子育てを優先させるに決まっている。



 レイラーニが役場のバルコニーから顔を出すと、沢山の歓声が上がった。建国記念祭の出し物の1つ、女王の演説が始まるのだ。それを一目見ようと、観客が集まっていた。護衛代わりに先行して出た師匠や魔法使いの時も大きな声が上がっていたが、それ以上である。レイラーニはびっくりして、一緒に出てきたカイレンの背中に隠れた。

「女王が隠れてはいけません。堂々と姿を現し、お手振りをする予定ですよ」

 師匠が苦言を呈しても、レイラーニは出て来ない。隠れ蓑にしているカイレンこそ恐怖の対象なのだから、安心感などまるでなく、まったく心は休まらない。レイラーニも必死だ。

「女王になりたいなんて、言ってないし。この国を造ったのは師匠さんなんだから、師匠さんが王様になればいいのに」

 レイラーニはぶつくさ言うだけで、出てくる気配がないので、グラントが「静まれ! 神のお言葉が聞こえないではないか!!」と叫ぶと、恐ろしいくらいの静寂が訪れた。レイラーニは、数少ない女王業務もグラントに委託しようかなと考えながら、そーっと顔を半分覗かせた。今度は何も起こらない。皆レイラーニが怯えているのを察して、歓声を上げるのを我慢している。それを確認して、一歩前に出た。

 役場前広場には、たくさんの人がいた。知らない顔もチラホラいるが、見知った顔も多い。現在進行形で裏方を任せられている者以外のパドマの部下は全員いそうだし、きのこ信徒や釣書をくれた人もいる。唄う黄熊亭の立ち飲み客も見つけた。ダンジョンの3階層で一緒にお菓子を食べた仲間もいるし、ハーイェク惣菜店でお手伝いをした時のお客様も沢山いた。パドマはヴァーノンの後ろに隠れていることしかできなかったのに、随分と世界が広がったものだと思った。アーデルバード街民もフェーリシティ国民も、レイラーニの知らない怖い人ではなく、一緒に生きていく仲間なのだと思って、レイラーニは満面の笑顔を浮かべた。

「今日は集まってくれて、ありがと。フェーリシティの建国記念お祭りをやるよ。いっぱいお店が出てるから、楽しんで行ってね」

 レイラーニが手を振ると、耳が壊れそうなほどの歓声が上がった。だが、レイラーニはもう恐れなかった。みんな大切な仲間になった。

「みんなに紹介したい人がいるの。ウチね、赤ちゃんができたの。長男は、可愛い蛟竜のセレちゃん。長女は、きらっきらのミンディ。次男は、ウチにそっくりのマッティア。もう少し大きくなったら、一緒に遊んでね。みんなの仲間に入れてね。

 あと、この大きい人、カイレンさんと結婚することにしたよ。籍は入れないから、王配? にはならないの。だから、みんなには関係ないかもしれないけど、ウチの子を抱いてて誘拐だと勘違いさせたらいけないから、伝えておくね。

 そうそう、この黒い人は、あのアーデルバードのダンジョンを作った魔法使いなんだって。ダンジョン王の1人で、かなり危ない人だから怒らせないように気を付けてね。この人の所為で、シャルルマーニュが属国になっちゃったんだよ」

 シャルルマーニュは、魔法使いが愛妻を信仰させるために建国した国である。フェーリシティの存在を知った魔法使いは、師匠に対抗すべく、レイラーニに捧げるためにシャルルマーニュを落とした。実際は脅しただけで陥落したし、上に君臨すれども統治せずという立場にしたので、現状は大して変わらない。シャルルマーニュから上納金(税金)が納められ、食料その他で支援する。表面上は貿易をしているように見える関係になった。

 話し合いが短期間で終わったのは、魔法使いが瞬間移動ができるからである。メドラウトを捕まえてシャルルマーニュに飛び、現王とイライジャを捕まえて適当な郊外で強力な破壊魔法を使って見せれば、それで脅しは完了した。魔法使いは自分の妻を最高神として崇めろという要求しかしないし、次期王の決定権はもともと師匠に握られていた。もとから属国のようなものでしたと、メドラウトはレイラーニに首を垂れた。ダンジョンの恩恵に与れたら、むしろ助かりますと、申し訳なさそうにするレイラーニを安堵させたから、魔法使いはメドラウトを次期王に指名したがったが、そうなるとイライジャがアーデルバードに来るかもしれない。アグロヴァルが来たりしたら、最悪である。フェーリシティの属国になるのであれば、実質的な王はアーデルバード駐在員だとレイラーニが主張して、魔法使いの意見を退けた。


 レイラーニはそこまで言うと、更に一歩前に出た。このためだけに消さずにおいた羽根を広げると、師匠と魔法使いとカイレンが後ろに下がり、膝を折った。すると、見物人も全て跪いた。レイラーニは更に羽根を膨らませ、両手を空に伸ばした。

「天地の神々、八百万の精霊よ。我が願いを聞き届け給え。清らかな心と誠意をもつ者に、健康と繁栄、平安と幸せをもたらしますように。日々の努力と徳を積み重ねる者が、喜びと安らぎに満ちた人生を歩むことができますように。誰もが飢えることなく、大切な人とともにいられますように。輝かしい未来を、皆にもたらしますように」

 すると、広場中に七色の光が降ってきた。その光を浴びた者の中に、ケガが治った者、ポケットの中にクッキーが出現した者などが発生した。見た目に何の変化もない者も、急に新商品のアイデアを思い付いたり、好きな人の父親に結婚を申し込みに行く勇気が湧いてきたりした。

 それは、師匠が考えた魔法が発動しない呪だった。レイラーニが迂闊なことを言うと精霊たちが喜んでしまうので、不測の事態が起きぬように考えて喋らせたのだ。幸せにしろなどという曖昧なことを言っても、精霊は理解しないのである。自分でも試して、魔法が発動しないことは確認済みだった。だが、それは魔力不足か、精霊からの愛情の違いだったのだろう。何が起きるかわからない魔法が作用して、師匠は頭が痛くなった。魔法使いは、嬉しそうに周囲の観察を始めた。


 光のシャワーが落ち着く前に、広場脇に控えていたモンスター師匠音楽隊が演奏を始めた。レイラーニは、長文を覚える気がない。演説だけでは間が持たないから、モンスター師匠たちの演奏を聞きながら、手を振っていればいいという予定になっている。後は手を振るだけだと、少々魔力を使いすぎたレイラーニは、手すりをつかんで皆を見ていた。

 広場の民衆は音楽に反応し、奇妙なほどにスッと立ち上がり、胸に手を当てレイラーニを見上げた。数えられないほどの人間が、揃って同じ動きをしたのだ。レイラーニが薄気味悪さを感じていると、グラントが「女王陛下、お誕生日おめでとう御座います」と、声を張り上げた。そこまでは、レイラーニも想定していた。何せグラントである。そのくらいは平常運転だ。だが、その後に民衆全員で声を揃えて復唱されたのに、驚いた。こんなに沢山の人々が集まって練習するなど、できるはずもないのに、見事なまでに揃っていたのだ。

 なんだこれと驚いていると、歌が始まった。これもリズムや音階が、きちんと合っている。広場にすし詰めになっている人々の大合唱だ。


輝く御姿、天光のごとく

高みくらの冠、星を映す

類いなる威光、永遠に輝き

神の恩寵、我らの誇り

民の心も悦びに満ちて、たのしけれ


慈愛と力、御心に宿りて

導きたまふ、優しき御手

栄えの旗を掲げて、いざ進まん

未来の世に、名高き御名

幸せの声高らかに響くや、うれしけれ


歴史に刻まるる、偉大なる御名

平和と繁栄、御業の賜物

敬虔の念をもって歌わん

栄光あらたか、水と火の恩寵

民の喜び絶えずや、うれしけれ


天の御意に叶い、徳高く

万民の幸せ、御手に握らせ

永遠の栄光、祈りを捧げ

高らかに響く、讃ふ歌声

皆の心に光満ちて、たのしけれ


 レイラーニが理解するには、歌詞に難解な部分もあったが、ざっくり言えばレイラーニのことを讃える歌なのだろうということは、想像がついた。こっそり中に悪口が混ざっていて気付かなかっただけかもしれないが、グラントが歌っていたのだからオール褒め言葉だろう。師匠もカイレンも魔法使いすらも、一緒に歌っていた。誰一人、練習をしている素振りも見せなかったのに。知らなかったのは、きっとレイラーニだけだ。レイラーニは怒った顔で、睨みつけた。

「なんなの」

「歌劇場の目安箱に投書された国民の声をつなげたら、この歌詞ができたそうです。それに音階を付ける募集が出ていました。すると、ゲームセンターの目安箱に楽譜の投書があったそうで、その解読を依頼されました。まさか短期間で、こんなに多くの人間が覚えるとは思わなかったのですが」

 私が手伝ったのは楽譜の解読だけですよと、強く関与を否定しつつ、師匠が答えた。

「歌劇場でウロウロしてるのは師匠さんたちだけだし、師匠さんにしか解読できない楽譜を書くのも、師匠さんたちだよね」

 純度100パーセント師匠の所為だと、レイラーニは思った。きっと、歌の教育にも師匠たちが関わっているに違いない。彼らは人数は沢山いる上、サボっても問題ないような仕事しかしていない。800人くらいがサボって、あちこちに散って歌を教えて歩いても、レイラーニは気付かないだろう。見た目も中身も変わり映えのしないモンスター師匠たちの個体識別は難しい。毎日色がころころ変わるのだから、モンスターヴァーノンよりも難解なのだ。

 実際に、祭の観覧のための昨日と今日のフェーリシティ行きの馬車は、この歌を歌える者を優先して乗せるという触れ込みで教え歩いたのだ。ノリのいいアーデルバード街民は、レイラーニに気付かれないように熱心に練習した。身体を悪くしてフェーリシティに行けない者も、行儀が悪いからと置いて行かれた子どもも、皆歌だけは歌えるようになっている。

「管理しきれないほど私のコピーを増やした、レイラの所為だと主張します」

「だって、可愛いんだもん」

 レイラーニはそう言って、お手振りすることなく、役所に逃げて行った。

「ふむ。大量のコハクにどれだけ気に入っているのかと思っていたが、それだけならば奪うか。カイレンと結婚すると言い出すし、話が違うからな」

 魔法使いは師匠を見て、ニヤリと笑った。師匠はわかりやすく焦った。

「カイレンとの結婚は、期間限定のおままごとですから。その後は、私の妻にします。手出ししないで下さい」

「断る」

 魔法使いは、息子を一瞥もせずに消えていなくなった。


 魔法使いは瞬間移動をして、ネズミを1匹捕まえた。ネズミは毒矢を持っていた。

「どうして射らなんだ」

 ネズミは返答することなく、小さな女の子の絵が描かれた木片を見つめ、泣いていた。ネズミが描いた似ても似つかない女の子は、本物と見紛う顔で笑っていた。

「ふむ。どんな善行を積もうと恨むものは必ず出てくるものだが。誰もネズミ狩りをしないのは、そういうことか」

 パドマもレイラーニもいろんなところで恨みを買ったり、嫉みの対象になったりしていたが、本人の意図しないところで鎮圧している様を見て、魔法使いは呆れた。



 建国記念の劇鑑賞や、屋台での食い倒れツアーなど、レイラーニも楽しむ側に回って堪能した後、子どもたちに囲まれて、眠りについた。幸せな幸せな夢を見ている。

 小さなパドマが、ヴァーノンとアリッサとシャノンとともに正餐をとる夢だ。シャノンは魔法使いと同じ顔をしていた。とても美しい顔をしているが、中身は何の面白味もない、どうというところのない男だ。どうでもいい話をして飯を食い、ヴァーノンに家のことを頼むと、パドマの頭を撫でて、アリッサに感謝を伝えて、家を出て行った。仕事に行ったのかもしれないし、死にに行ったのかもしれない。父親のすることなんて、レイラーニにはわからない。だが、これが家族かと思った。



 カイレンはお菓子を買ってミンディにあげようとしてまだ早いと魔法使いに取り上げられて、マッティアのオムツ替えに失敗をしてずぶ濡れになり、師匠にバカにされていた。皆に味噌くそに言われてカイレンは落ち込んでいるが、それに比べたら優秀だと言ってもらえるレイラーニには有り難い存在だった。カイレンのおかげで、育児に自信が持てる。

「イレさん、ありがと。イレさんを相棒に選んで、本当に良かった」

「そう? それは良かった。これからは、もっともっと頑張るから、よろしくね」

「うん。ウチも、イレさんと同じ部屋にいても震えないでいられるように、頑張るね」

 レイラーニの言葉にカイレンはまた落ち込んだが、レイラーニは幸せだった。ヴァーノンの言葉を信じているからだ。

 ヴァーノンは好きな人と結婚するよりも、結婚した相手とより良い関係になれるよう、努力し続けられるかが大切だと言っていた。カイレンはレイラーニの役に立てるよう頑張る。レイラーニはカイレンが受け入れられるように頑張る。お互いに頑張っているから、いつか幸せな夫婦になれる日が来ると信じている。これから100年は、子どもたちの親になるために仮面夫婦になると言って、ヴァーノンと師匠と魔法使いにカイレンとの結婚を許してもらったのだが、100年経ったら当初の約束通りにカイレンの妻にしてもらおうと思っているのだ。

 カイレンは見目もいいし、金を持っているし、優しい。結婚相手としては、最上の条件を持っているように思えた。その上、レイラーニの事情を知った上で、レイラーニの恥ずかしいものを見た上で、レイラーニでいいと言ってくれるのだ。あんな恥ずかしいことを他の人の前で披露する気にはなれないし、受け入れられる気もしていない。もうカイレンしかいない、カイレンでいいじゃないかと思った。レイラーニがカイレンに恋心さえ抱くことができたら、誰にも祝福される穴のないカップリングなのではないかと、思ってしまったのだ。

 巨人過ぎて見るだけで怖いし、くねくね動くのが気持ち悪いし、事細かに説明しても話が通じる気がしないし、大事な約束をすぐに忘れてしまうところは、どうにも好きになれない。だが、そんなことは些細な欠点だ。欠点のない完璧な人間はいないし、いたところで、欠点だらけのレイラーニには釣り合わない。カイレンだって、レイラーニのサボり癖が酷いところや、寝坊するところ、連絡も忘れて勝手に予定を変えること、人嫌いなところなどを我慢してくれているのだ。お互いに嫌なところがあるのだから、対等である。だから、カイレンがレイラーニにとって理想的な夫なのだとレイラーニは信じた。

「頑張るから、協力してね。これからイレさんのことを大好きになろうと思ってるの」

「任せて。お兄さんは、ハイかイエスしか言わないからね」

 カイレンは驚き顔で応じた。嬉しい言葉をもらったが、現実味がないし、結局達成されないだろうと思っているから、喜びは出さない。

「いや、それは対等じゃなくて嫌なんだけど。でも、しばらくはそうしてくれた方が怖くなくていいのかな」

 魔力を吸い上げられる件も、フェーリシティのダンジョン内にいれば問題ないとレイラーニは気付いたのだが、誰にも言わずに伏せている。積極的に触りたい気持ちはないから、気付かなかったことにして、100年は逃げるつもりでいるのだ。だから、100年間はイエスマンでいいかなと思った。

「お兄さんは、考えるのをやめにしたんじゃなくて、大人の余裕で魅了しようとしてるだけだから。安心して、どんどんお兄さんのことを好きになればいい」

「やっぱりイレさんだ。全然胸に響かない」

 レイラーニは、安心して気持ちを隠さずに全力で笑った。


 もしも2人が通じ合う日が来たら、全力で師匠と魔法使いが邪魔をしにくるのだが、それはまた別のお話し。


《完》

ダンジョンマスターの贈り物を読んで下さり、ありがとう御座いました。こんなに長い話を読んでくださるなんて、感謝の念に堪えません。

カイレンが霞んで消え去り行方不明になってどうしようかと思っておりましたが、なんとか戻って来るまで書けたのは、読んで下さった皆様のおかげです。


評価、感想、いいねなど頂けましたら、嬉しいです。

人見知りでお返事はできないかもしれませんが、小躍りして喜びます。


終了記念おまけとして、レイラーニの出産シーンなどを書き足そうか悩んでおりますが、それよりも伏線を回収し忘れているものがある気がして、どうしようと思っております。

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