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ダンジョンマスターの贈り物  作者: 穂村満月
2-1章.18-15歳
314/463

314.閑話、目指せ、非モテ男

PVその他が伸びたので、感謝の記念ssを書きたかったのですが、書いてるうちに数字が変わって、何記念かわからなくなりました。

読み飛ばしても影響はないと思います。

 師匠は、パドマが懐かない悲しみを胸に、料理に打ち込むことにした。そのために、ダンジョンでスパイスを大量生産したのだ。魔法を使って乾燥させ、1人寂しく粉末化作業もしてきた。だから、今日はカレーを作る。スパイスからカレーを作る男など、まだ甘い。スパイスを畑で作ってカレーを作る男に挑戦し、非モテ男の頂点を目指す!


 スパイスを粉末化する作業も半分くらいは、手作業だった。後半は嫌気がさして、暇つぶしだということも忘れ、魔法を使ってしまったが、無断借用した紅蓮華の倉庫を1つ潰してしまうくらいに大量の粉末スパイスができた。

 次の工程は、玉ねぎ加工である。もう作業が面倒になってきたので、その辺を歩いていたヤツらを捕まえた。紅蓮華の倉庫から玉ねぎを持って来させて、皮むきをさせて、師匠が玉ねぎを刻んだら、飴色玉ねぎとフライドオニオンの大量生産をさせる。炒めるだけ、揚げるだけなら誰でもできるかと思ったが、やり方を知らない役立たずばかりでイライラさせられた。師匠が1人でやるより人海戦術をとった方が絶対に早いため、渋々丁寧にやり方を教えてやった。

 その間に、師匠は肉に下味を付けたり、スパイスを調合してみたり、その他具材の野菜を刻んでみたり、忙しく働いた。

 作業が嫌になる度に、その辺のヤツを引っ張ってきて代わりをさせて、作業員にも食わせてやるかとカレーの量が増えて、また手間が増えてという無限ループに陥りそうになっているが、そのうちどこかで折り合いのつく丁度いいラインが見つかるだろう。

 捕まえたイギーが使えなさすぎて、玉ねぎの皮むき以外にできることが見つからないのに、師匠は嫌気がさしている。いつまでも皮をむかれていては、作業が終わらない。クソ迷惑な手伝いだ。


 豆を煮て、スパイスを炒めて、大量の野菜に埋もれて、段々と何をしていたのかわからなくなりつつあった師匠は、食べ切れるか心配になるくらいに大量のカレーを作り出した。紅蓮華の広場は、臭気で大変なことになっている。師匠が自宅でカレー作りをしなかった理由の1つだ。

 師匠はパドマを回収してきて、白蓮華の子どもも集めて、紅蓮華のバンケットホールを占拠した。紅蓮華は、パーティルームを孤児でいっぱいにして欲しくはないが、カーティスは師匠信者であるから断らない。


 師匠は、バターチキンカレーを皆に振舞った。トマトソースで鶏肉を煮込み、バターと生クリームで仕上げた甘口のカレーである。辛味が苦手でも食べられる。お子様パドマに何を食べさせるかと考えて、真っ先に思いついたのが、これだった。

 更に、パラックパニールカレーも振舞った。具材は、ほうれん草とケールだが、バターチキンと同様にトマトの旨みと生クリームのコクで食べやすくした上で、飴色玉ねぎとパニールチーズが入っている。パドマをカレー好きにするなら、チーズを乗せて焼くのとどっちがいいか悩んだ上で、こちらを選択した。

 あとは、ついでだ。作ってみたかったチャナマサラと食べてみたかったマトンパンジャビーを作った。チャナマサラは、そこそこ辛い豆カレーである。フライドオニオンを放り込んでおいたから、庶民でも食べられる辛さだと思われる。マトンパンジャビーは、遠慮なくブラックペッパーと赤唐辛子を入れてしまったので、食べられる人間を選ぶかもしれない。だが、師匠はパドマと一緒に甘口の食べ物ばかりを食べていたから、たまには辛い物が食べたくなったのだ。下々の者の舌など、知ったことではない。食べたい物を食べるのだ。


 子どもたちに振舞った後は、自分の分を確保して、好きに食べたらいいと、手伝いをした面々と、通りすがりに見学をしていたヤツらにくれてやった。

 噂が噂を呼ぶのか、匂いの力か、どんどん人が増えたので、師匠は一度引っ込んで、カマーベストに着替えてきた。スパイスからカレーを作るだけでは、甘い。次は、バーテンダーに挑戦する。3Cに飽きたから、3Bに切り替えるのだ。

 師匠は、酒に弱い。故に、酒の味を知らない。だが、大昔、父親たちと酒屋ごっこをして遊んだ時に好評だったレシピを思い出して、カクテルを作って、カレーを食べている男に配って歩いた。子どもにねだられたら、ブドウ果汁に果物ダイスを入れて、サングリア風にして配った。パドマの瞳がキラキラ輝いて、師匠は胸苦しくなった。


 師匠はモテない男を目指してカレー作りと、カクテル作りをしたのだが、結果的に大変男にモテた。どうしようと思うくらいに、周囲に男がいっぱいになって、パドマのところに行けなくなったくらいである。ただ酒を喜んでいるだけの男は構わない。師匠の顔に惚れた男も、放置でいいと思う。だが、カレー販売権の取り合いをしているカーティスとルーファスとテッドからは、逃げられる気がしない。どこまでも絡まれるだろう。「私のために争わないで!」は、今こそ使うべきかな、もっともてあそんでから言わなきゃダメかな、とドキドキしながら、決着を待った。

次回、見切り発車のダンジョンを作る。

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