年末のひととき〜夕凪
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 臨時女将
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
佐竹綾音~サウンド。女子高校生
尼子大輔~ザ・ビック 風の将軍。男子大学生
「おかしいわね、グリーンの姿が見えないのに"永遠の風"が2位につけているだなんて。」
「それなのですが、イブニング様…最近、ムーンとかいうメンバーの成長が見受けられまして、その方が機能しているようです。」
順位が落ちたと思っていた"永遠の風"だったけど…しつこく、また上がって来た。
"永遠の風"の主力メンバーだったグリーンの姿が見えなくなったから力が落ちてきたというトゥルースの分析だったので安心していたけど、まさか…あの初心者のお嬢ちゃんが成長するとわね。
「まったく…忌々しいギルドね。トゥルース、どうにか出来ないの?」
「あちらに成長株が居るように、こちらにも成長株がおります。今は相手を落とすよりも、当ギルドの戦力を上げる事に集中すべきかと。」
「なるほど、サウンドね…確かにあの子は良いわ。さらに伸びているのが凄く分かる。」
「はい、風部隊の隊長『ザ・ビック』と入れ替えても遜色は無いかと。」
「以前にも言ったけど…ビックはそのままで…」
「そうでしたね…失礼しました。」
強いけど人の言う事を聞かない問題児『ザ・ビック』…まさか私の兄だったとはね。
確かに現実でも、人の話を聞かないわ…
「報告です!風部隊がオーブを発見したとの事です!」
「ありがとう、謎を解いたのね。サウンドが解いたのかしら?」
「それは…すみません、報告が届いておりません。」
「いいわ…だいたい分かるから。」
まぁ、ビックでは無いでしょう。こういう謎解き系のイペントは苦手だから。
「急ぎ、そのオーブを"光の泉"へと運ばせるのです。」
「はい、すでに向かっているとの情報です。」
トゥルースの指示に答える諜報係…この子は私の直轄部隊のメンバーとなる。
「副将軍…流石だな。報告ありがとう。」
「いえ、それでは失礼します。」
さっと影のように消える諜報係。
この子は完全にトゥルースに憧れているわね…動きで分かるわ。
そして…トゥルースったら、副将軍の功績だと言っちゃってるじゃないの、諜報員が副将軍"サウンド"だと断言していないというのに。
サウンドは最近、他ギルドから移籍して来た子で、頭がキレる優秀な人材。
本来なら将軍にすべきところだけど、現将軍であるビックがスネる事は間違いないからそのままにしている。
たとえ将軍がスネたとしても、謀反として追放したら良いだけなんだけど、一応、兄なので気を使う。
追放なんてしたら、リアルで面倒になる事は間違いないし。
「はぁ…」
「どうしましたか?ため息とは珍しいですね。」
あら、音声入力をそのままにしていたわ。
このゲーム、サウザントフェアリーの人気が出た理由がこの音声入力システムだけど、厄介な部分でもあるわね。
なんせ、うかつに話す事が出来ないのだから。
「何でもないわ…ちょっと気がかりな事があっただけ。」
そう話すと背後から声が聞こえた。
「まさか…お前がイブニング様??」
「え??」
ゆっくりと振り返ると、そこには兄の姿があった。
「ちょっと、何,勝手に入って来ているのよー!」
兄に向かって大声で叫ぶ。
「だってよ…鍵が空いていたからよ。そんな事より、その画面っていうか…名前がイブニングってなっているじゃないか。」
あー、見られちゃった。
見られたくない相手に見られちゃった。
兄であり、風の将軍でもあるザ・ビック…
「鍵が空いていても、勝手に入って来ちゃダメなの!」
あー、油断してたわぁ。
大学生になった兄は東京に行ったから、しばらく鍵をかけていなかった…しまったわぁ。
冬休みで帰って来ているのを忘れていた。
「やっぱり…あの掲示板で出回っていたお前の写真って、本当だったんだな。」
あぁ…もう完全にバレたわ。否定できないヤツだわぁ。
「おう、どうした?具合が悪いのか?」
思わず頭を押さえていると、兄が心配そうに見つめてくる。
いや…私の悩みの種はあなたですから…
「イブニング様、大丈夫ですか?」
サウザントフェアリーの画面を見るとトゥルースが心配しているメッセージが目に入った。
「ごめんなさい、トゥルース…ちょっと席を外すわ。」
そう伝えると…そっと画面を閉じだ。
「おー、トゥルースさんじゃないか…やっぱりお前がイブニング様だな。」
耳元で言う兄…近いわぁ、距離が近いわぁ。
ゆっくりと椅子から立ち上がり反転する。
「お兄ちゃん…勝手に入って来ないでって前から言っているでしょ…」
「ずーっと、ずーっと前から、何回も何回も何回も言っていたでしょ!」
「お兄ちゃんがそうだから、お母さんに頼んで鍵を付けて貰ったんじゃないの!忘れたの!」
「え?そうだったか?まぁ…今日は鍵が空いていたからさ…入っても良いものだと…」
「鍵の問題じゃないでしょ!どうして鍵が空いていたら入っても良いって解釈になるのよ!」
そう伝えると、下を向く兄。
そうだった…都合が悪くなると、大人しくなるのだったわ…この兄。
「いい、よく聞いて。」
前置きした後、深呼吸して大きめの声を出す。
「我が名はイブニング。筆頭ギルド"幻の兎"の創設者であり、絶対君主。我が命に逆らう者は、このギルドには存在しない。分かった?」
腕を組み、仁王立ちをして兄の前へと立つ。
ポカンとした顔をしている兄。
「分かったかって聞いてるの!返事は!?」
「あ、はい、分かりました!」
急に背筋を伸ばすと敬礼をして、そう答える兄。
「あと…イブニングの…私の正体をバラしたら…それも分かっているでしょうねぇ。」
「はい、分かっております!」
「素直でよろしい。じゃぁ…回転して部屋を出る!そして、サウンドに任せていないで、オーブを泉に運ぶ!」
「はいっ!」
なるほど、夕凪の言葉は聞かないけど、イブニングの言う事は聞くのね。
兄が出て行った事を確認した後、私は自分の身体をベットの上へと投げ出した。
「疲れた。」
あ、そうだ…お正月の予定を確認しないと…
えっと…月代ちゃんにメッセージをっと…
あれ?こっちも随分と素直になったわね。
初詣に風斗を誘う事、全然、嫌がらないじゃないの。
進展ね…これは恋が進展している証拠だわ。
よし、次は風斗にメッセージをっと…
こっちは、最悪…家にまで押しかけないとだわね。
『風斗、元気にしてるー?えっとぉ…1日の10時に月代ちゃん家の前に集合ね。初詣に行っちゃうわよー♫」
ピロンッ
お、返事が早いわね。
『あぁ、分かった。1日の10時な。」
ちょっと、ちょっと、風斗まで前向きじゃないの?
一体,どうしちゃったの?
もしかして…私が知らないウチに月代ちゃんと風斗ってば、付き合っちゃった??
ダメよ。ちゃんと私も入れてくれないと。
3人でお付き合いして…愛を育んで…そして結婚するんだから。
ファーストキスも勿論、3人で同時にするのよー。
あー、想像しただけでワクワクしちゃうわー。
今日も3人での愛の共同生活を頭の中で描いた。
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