年末のひととき〜月代
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 臨時女将
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
佐竹綾音~サウンド。女子高校生
尼子大輔~ザ・ビック 風の将軍。男子大学生
「あれ?ライトさんは?」
私の声を聞いて、ウィンドさんとブロッサムさんも"喜びの舞"を止めた。
最近、実装された"喜びの舞"
これ以上無い機会で舞えたのに、すぐに終える事になって寂しいじゃないの。
『グリーンさんと結婚する発言』を残してすぐ、ライトさんは消えてしまったのだ。
残された私たち3人はキョロキョロと自分達のキャラを動かす。
「ログに、『それじゃ。』ってあるっす。」
ブロッサムさんの言った通りだわ。
会話ログを見返すと、ライトさんの言葉があった。
いつの間に、この発言をしていたのかしら?と不思議に思う程、気づかなかったわ。
ちょっと"舞"に集中し過ぎたようね。
「えー、もっとお話を聞きたかったわー。」
プロポーズの言葉とか聞きたかった私は、そう叫んだ。
グリーンさんの、その時の反応も気になる。
これからどうするかも気になる。
どこに住むの?
結婚式は教会?レストラン?
あー、気になる事が沢山あるー。
「ライトさんっぽいですね。」
そう発言したウィンドさんにブロッサムさんが大きく頷いている。私以外のメンバーは、オフ会した時にお互いに面識があるから、『ライトさんっぽい。』という言葉に対して信憑性が高い。
いいわ、私だってグリーンさんとは面識があるんだから!
と、心の中で思うと共にグリーンさんのウェディングドレス姿を想像してみた。
「あぁ、素敵ね…」
「ん?何がっすか?」
無愛想な感じで聞くブロッサムさん。
結婚といったら、ウェディングドレスに決まっているじゃないの!まったく…この男は。
って、違う…ゴリマッチョの中身は女の子だったわね。
けど、まだ中学生だから結婚とかに憧れる年じゃないのかも?
「好きな人と結婚って…素敵だな。と思っただけよ。」
そうブロッサムさんに返すと、隣に居たウィンドさんが両手を合わせるポーズを取った。
「そうだね…ライトさんとグリーンさんの幸せを祈ろう。」
ブロッサムさんも同じポーズをしたので、私も合わせる。
3人が同じ方向に向かって"祈りのポーズ"を取る形になった。
この"祈りのポーズ"は初期からあったコマンド。
ただ…あまり使う事は無かったかな。存在を忘れてたわ。
PCの前でも手を合わせてみる。
ライトさんとグリーンさんが幸せになりますように。
それにしても…2人の為に祈ろうだなんて、ウィンドさん素敵ね。
"ウィンドさんは結婚とか、どう思っているのかな?"
そう…頭に浮かんだけど…
ウィンドさんも、まだ高校生だから、そんな事はまだ想像さえしていないかも。
と思って、心を落ち着かせた。
「ムーンさんは…彼氏さんとか居ないんすっか?」
「えーー、居ないわよ。前に言ってなかったっけ?」
いきなり、こっちに振られた。
ウィンドさんの事を考えていた時に何なの!?
そもそもブロッサムさんは、恋愛関係の話をするようなキャラじゃなかったような…ちょっと大人になったって事かしら?
「随分前に聞いた事あったっすかねー。ウィンドさんも、まだ彼女、居ないっすよねー。」
「あぁ…居ないが…当然居ないかのように言われるのは心外だな。」
ウィンドさんも…まだ彼女、出来ていないのね。
まぁ、冬休みにこれだけゲーム三昧しているのだから、彼女が居ないとは感じていたけど。
はっきり聞けて、ホッとしたのは確か。
「ですよねー、モテる感じでは無いっすよねー。失礼しやした。」
え?モテる感じじゃない?
ブロッサムさんは、ウィンドさんの顔を知っている訳だから…もしかしてちょっと不細工なのかな?
「失礼な…これでも告白された事あるんだぞ。」
「えー、マジっすか。変わった方が居るもんすっねー。」
「あぁ、確かに変わっているな…あの子は。いや、もしかしたら、アレは俺の勘違いかも…」
何々?どういう話?ウィンドさん、告白されて彼女が出来ちゃう?勘違いって、どういう事?
それにしても、ウィンドさんとブロッサムさんって、こんなに仲良しだったかしら?
「もしかして…プールで一緒だった方っすか?」
「その辺、突っ込まないでくれ。なんか頭が痛くなってくる。」
何?なんの話?プールって何よ…さっぱり分からないわ。
「ちょっと…一体、何の話なの?」
勢い余って、思わず聞いてしまった。
「えっとっすね。実は夏にウィンドさんにリアルで会った事があったんすよ。いやー、凄い偶然っすよねー。」
「確かに凄い確率だな…ただ…俺はあの日の事を思い出したく無い。」
えーーー、偶然に会ってたって凄いわね。
「なるほど、オフ会の前にたまたま会っていたって事ね。本当、それは凄い話だわ。」
2人は夏にプールで会った事があって、その時に仲良くなったって事なのかな?
えーっと…ウィンドさんは愛知県住みの筈だから…ブロッサムさんが住んでいる京都のプールで会ったって事?
「で…ウィンドさんは、その時、彼女っぽい子を連れていたっと…」
そう発言すると共に頭の中に色々と想像が浮かぶ。
何?女の子とプールだなんて、デートじゃないの!それ、デートじゃないの!?
「違う違う、彼女じゃないって…ブロッサムさん、その話はそれくらいに。」
「あ、そっか…"あの方"の事っすからねー。口にチャックっす。」
すごく…すごく気になるじゃないの。"あの方"って誰なのよ??
何?美人さん?隠すって、どういう関係なの?
「とにかく…俺に彼女は居ないから。」
「はいはい、そうですか。」
ウィンドさんが困っているようなので、この話は終える事にした。
と、その時…スマホからメッセージが届いた音が鳴る。
画面を見ると、"夕凪"のアイコンが写っている。
「ちょっと離れまーす。」
そう2人に告げて、メッセージアプリを開いた。
『初詣、何時に集合?』
あー、1日の予定ね、そう言えば時間を決めて無かったわね。
『えーっと…10時でどうかな?』
31日は夜更かしするつもりだから、遅めの時間設定を提案した。
『オッケー♫ ねぇ、風斗も誘って良い?』
あぁ、やっぱり…そう来るよね。
夕凪ってば、本当に風斗の事が好きなのかしら…
うーん…勿体ない。
けど…風斗も良いところがあるのよねー。
今までは、絶対に無理って思っていたけど…オフ会のあの日の事を思い出すと…少し譲歩する事になる。
慣れない靴で走ったら…足の怪我がぶり返しちゃって。
風斗が助けてくれたのよね。
おかげでオフ会には参加できず、ウィンドさんには会えなかったけど…風斗には一応、感謝しないとバチが当たるかも。
『うん、風斗も一緒に誘お。』
そう返すと…夕凪からの返信が早かった。
『ど、どうしたの月代ちゃん!?ついに気づいた?』
え?何に気づいたって??
『いや…気づいていない。』
よく分からないけど…嫌な予感がしたので、とりあえず否定しておいた。
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