クリスマス〜咲華
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 臨時女将
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
佐竹綾音~サウンド。女子高校生
尼子大輔~ザ・ビック 風の将軍。男子大学生
まさか真琴さんが"幻の兎"の参謀、トゥルースさんだったなんて…
トゥルースって名前とその姿からこのプレイヤーさんは、漫画"閃光の執事"のファンなのだろうな。
とは思っていたけど…そうだった、すんごいファンが近くに居たのだった。
それにしても、あの天才参謀とまで言われる方が真琴さんだなんて…思わず敬礼してしまった。
変な子って思われたわね。
そして、トゥルースさんにあたしのプレイヤー名を隠し通せる自信がないわ。
とりあえず、話題を変えよう。
あたしはサウザントフェアリーの話から、真琴さんがオススメという漫画の話に話題を切り替える事に成功した。
「ちょっとミステリアスな内容だから、気にいるか分からないんだけど…」
「あたし、ミステリー系も大丈夫ですよ。」
少し前まではミステリアスな内容は苦手だった。
だって、何を言っているのか分からなかったから。
けど…お姉ちゃんにオススメされる本にもミステリー系の本も沢山あって、ちゃんと読むと面白い事が分かった。
分からない内容はお姉ちゃんに質問する。
そうすると、とても分かりやすく説明してくれるから、好きになれたのかも。
何冊か読むうちに、ミステリーも好きなジャンルになった。
なのでミステリー系漫画も問題ないかと思う。
ただ今日は…少し読んでも全然頭に入って来ない。
あぁ、トゥルース参謀の事が頭から離れないわぁ。
「あ,そうだった。」
「ん?どうしたの?」
部屋に入って、PC画面を見た際の衝撃ですっかり大事な事を忘れてた。
「あの…これ。クリスマスプレゼントです。」
「えー、えー。」
カバンの中から可愛くラッピングされたプレゼントを取り出すと、真琴さんは目を大きく開けて驚いている様子だった。
「少し早いのですけど、ど、どうぞ。」
「ごめんなさーい、私、何にも用意してないわ。」
「いいんです、あたしがあげたかっただけなので。」
「私、クリスマスプレゼントとか、今まで縁がなくって。」
「あたしもです。今回は姉に言われて準備しました。」
「ほんと、聞いていた通りの優秀なお姉さんね。私と違い過ぎるわ。」
そう言いながら、やっとプレゼントを受け取る真琴さん。
「んー。そんなに違わないですよ。」
「いやいや、私なんか…まったく妹の役に立ってないから。」
「あたしの姉も…あたしにとっては不必要な存在でしたよ…つい最近までは。」
「え?不必要??」
「はいー、えーっと…優秀すぎる姉と、あたしは比べられ気味でしたので…」
「なるほど…ウチと逆パターンね。ウチは妹が目立つ存在だから…」
「そういえば…そうですね。逆パターンですね。」
「うん…」
真琴さんって…あたしと似た部分があるかも?って思っていたけど、なるほど…そういう姉妹環境が似てたのね。
「ねぇ、開けていい?」
「あ、はい…どぞ。」
真琴さんが、あたしが渡したプレゼントの包装を丁寧に剥がし始めた。
何だろう?この緊張感は…
「あー、トゥルースだ!」
「はいー。」
普通、女子中高生のクリスマスプレゼントといえば、可愛いアクセサリーなんかが定番なのかもだけど、あたしにそういった物を選ぶセンスは無かったので、手渡したのはヲタクアイテムとなった。
「ありがとう、大事にするわ!」
満面の笑顔となった真琴さん…どうやらヲタクアイテムで正解だったようだ。
「喜んで貰えて良かったです。」
友人にクリスマスプレゼントを渡すなんて、した事が無かったあたしは、喜んでくれた真琴さんの姿にほっと胸を撫で下ろした。
「えーっと…うーん…あ、そうだ!」
何だろう?真琴さんは何かを閃いたようだ。
「サウザントフェアリーでね、ギルドメンバー以外にも渡せる超限定アイテムがあるの!とっても可愛い装備なのよー。」
きゃーーー、せっかく話題を変えれたのに、戻っちゃったじゃない。
「私のキャラって、トゥルースじゃない。だから可愛い装備は使いたくても使えなかったのよー。咲華ちゃん、是非貰って!」
違うの!あたしのキャラも全然っ、可愛い姿じゃないの!ムキムキのメンズよ!
「ちょっと…あたしには必要ないかも…しれないです。」
「ん?どうしたの?」
か細い声で言ったからか、真琴さんには上手く伝わらない。
「あー、大丈夫!可愛くっても優秀な装備だから。特に対炎属性からの防御力が高くてね、麻痺回避率アップも付いてるの!」
うん、なんか物凄く力説されているわ。
真琴さん…サウザントフェアリーの話をすると、すごく熱くなるわね。
「もしかして、ルーセントの法衣ですか?」
「うん、そうよ!もしかして…持ってるの?」
あー、あの装備は確かに良装備だわ。
ギルド内でも話題になったけど、見た目が可愛すぎるからムーンさんがたまに装備しているくらいね。
「はい…持ってます。」
「あー、そうだったのね…て、あの装備って、ルーセントのイベントで上位者にのみに配られた限定品の筈じゃ…」
きゃーーー、しまったわ。
そうだった…確かウチのギルドは3位だったから全員貰えたけど、えーっと、何位まで配られたのだったっけか?
「暖房、暑かった?? 咲華ちゃん、汗、かいてるわよ。」
「あ、いえ…大丈夫です。」
熱いのは真琴さんのサウザントフェアリー愛ですので。
「確かクリア順…10位以内にしか配られなかった筈だから…その中で少数ギルドと言えばぁ。」
きゃーーー、やはり優秀すぎるわ。
怖いわー、トゥルースはん怖いわぁ。
「永遠の風ね…」
・・・
「この事は…この事は…どうかご内密にぃ〜!」
「えーーー、そんな海老みたいな動きで後ろに下がらないでー、頭をあげてぇーーー!」
あたしのちっぽけな脳では、もう…絶対に誤魔化せないと思い、全力で頭を下げた。
「怒らないで…ぶたないで…」
「何で怒るのよ。ぶたないわよ。」
「えーっと…幻の兎は、永遠の風を嫌っているのかと、聞いた事がありまして…」
「違うわよ…半分は。」
「やっぱりじゃないですかー。あぁ、蹴らないで。」
「蹴らないわよ…幻の兎が、嫌っている訳じゃないわ。ギルドマスターのイブニングさんが嫌っているだけよ。でも、ウチのギルドはイブニングさんが絶対中心だから…半分は合っているって事ね。」
「お助けを〜。」
「うん、イブニングさんには言えないわね。私がリアルで永遠の風のメンバーと仲良くしてるだなんて。」
「はい…細々く生きているので、どうか言わないで。」
「うん、言わないわ…その代わりに、私とは遊んでね!」
「トゥルース様と…光栄であります。」
「何言ってるの!こっちが光栄よ、永遠の風のメンバーと遊べるなんてね。」
「え?」
「だって、あの少人数で時々、イベントで筆頭を取っているじゃないの!凄いことよ。」
「えーーー。」
褒められた…あのトゥルースさんに褒められた。
なんか…凄く嬉しい。
「で、誰なの?私、永遠の風のメンバーなら、全員覚えているわよ。」
これは絶対にバレるヤツやわ。
大人しくスマホから、サウザントフェアリーにログインした。
「コレです…」
「えーーーーーー!」
真琴さんは口を手で覆って後退りした。
「このマッチョ君が咲華ちゃんだったなんて…今年一番の衝撃よ…」
「はい…あたしもトゥルースさんが真琴さんだった事が、今年一番の衝撃でした…」
そう言いい合うと、何故か面白くなって笑ってしまった。
真琴さんも笑っている。
あぁ…なんか真琴さんと、さらに仲良くなれた気がする。
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