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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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クリスマス〜夕凪

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 臨時女将


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

佐竹絢音〜サウンド。女子高校生

今日は楽しいクリスマス♪楽しい楽しいクリスマス〜♪

ウチでパーティよー。

勿論、月代ちゃんと風斗も招待したわー。

それにしても意外とあっさりOKしたわね…風斗。

もっと抵抗されるかと思ったのに。


きっと、今日が運命の始まり。

このクリスマスパーティが将来、私たち3人での暖かな家族生活の第一歩になるのねー。


"ガチャ"


「きたわー。」

って、ピンポンくらい鳴らしてよ。

まったく…まだ家族じゃ無いのよ…焦りすぎよ。


「ただいまー。」

えーーー!?

風斗ったら、ただいまって、いくら何でも早すぎよ。

心の準備がまだ出来ていないわ。


ん?ちよっと声が低い??


急いで階段を駆け降りる。


って…お兄ちゃん?


「おー、夕凪、久しぶりだなー。」

玄関に立っていたのは、大きな荷物を持った兄、大輔だった。

大学生となり関東に行った兄の姿を久しぶりに見る。


「え?何?帰ってきたの?」

「あー、驚かそうと思ってな!急に帰った。サプライズっていうヤツだ。」

そう言って豪快に笑う兄。

そうだったわ…兄は自分勝手な立ち振る舞いが得意な人だったわ。

よりによって、クリスマスの日に帰ってくるなんて、絶対、彼女いないわね。


「どうした?不機嫌そうな顔をして…腹でも痛いのか?」

「何でも無いわ…友達が来るから、大人しくしといてね。」


「何だ?彼氏か?彼氏が出来たなら紹介しろよー!」

そう言いながら豪快に笑う兄。

「ま…まだよ。」

否定するも笑い続ける兄。

ダメだわ…兄は思い込んだら、全然、人の言う事を聞かない人だった。


「あー、そうね。だからリビングには来ないで。自分の部屋に居て。」

はぁ…せっかくのクリスマスパーティーが…お父さんとお母さんは仕事で居ないのに…


"ピンポーン"


「あ、はーい。」

と、私が返事をしている間にドアが勝手に開いた。


「いらっしゃい!!」

ドアを開けて出迎えの声を上げたのは兄…まったく、どうして私より先に出迎えるのよ。


「あ!月代ちゃんじゃないか!久しぶり…それと、君が彼氏君?」

「あ、お兄さん…お久しぶりです。」

「え?彼氏君…ですか??」

突然の兄の出迎えに月代ちゃんと風斗が混乱気味に返事をしている。

風斗に事情を説明する前に兄との遭遇…まぁ、すでに彼氏みたいなものだから良いけどねー。


「あの…夕凪さんとは…良いお友達で…」

何?風斗ったら、恥ずかしがっちゃって…可愛いんだから。

「何だと!?夕凪からの交際の申し出を断るつもりか!?」

大きな声を上げる兄。


「ちょっと、お兄ちゃんは黙ってて!」

まったく…この兄…何を言い出すか分からないわね。


「何だ夕凪…久しぶりに会ったのに冷たいなぁ。」

「もう!早く自分の部屋に行きなさい!」

昔から兄への対応は面倒だった事を思い出す。

私は兄の背中を押して、二階へと誘導した。


「ご、ごめんなさいねー。」

兄を部屋に押し込めた後、急いで玄関へと戻る。

月代ちゃんと風斗は、口を半開きにしながら、そのままの状態で固まっていた。


「さ、上がって…リビングにどうぞー。」

「あ、はい…お邪魔しまーす。」


「うわぁー、綺麗ねー。」

「お、おぅ…これは凄い。」

リビングは、昨日から飾り付けをしていた。

クリスマスツリーは勿論、壁一面にもキラキラとしたデコレーションを施している。

お母さんにも手伝って貰ったけど、力作よ。


夕凪と、風斗がニコニコとしながら、綺麗、凄い、と言ってくれた。

この反応はとても嬉しい。


「ふふふ…さぁ、座って。飲み物を取ってくるわ。」

さてと…まずは飲み物とお菓子ね。

ランチは豪華だから、お菓子は少しだけよ。

メインのチキンはじっくりと煮込んであるわ…ほぼお母さんが作ったけど、私もお皿のチョイスとか頑張ったんだから。


「ちょっと何してんの!?部屋で大人しくしていなさい!って言ったでしょ!」

飲み物を取りに行き、戻ると何故か風斗と月代ちゃんの間に兄が座っていた。

あー、もう腹が立つわー!その二人の間に入って良いのは、私だけよ!


「いや、思い出したんだよ。」

「思い出さなくても良いわ…その記憶を消去して。」

兄が何を思い出したのか知らないけど、どうせロクな事じゃない。


「俺、サウザントフェアリーってオンラインゲームしてんだけどさー。前、そこの掲示板に夕凪の写真が載ってたんだよ。」

「えっ!?」

想像もしなかった兄の言葉に体が固まる。

風斗と月代ちゃんも動きを止めた。 


「すぐに消えたんだけどさー、夕凪って、ゲームしてる?」

「わ…わたし、オンラインゲームなんてしていないわ!」

私の親衛隊とかいう子が以前、無断でアップした画像…まさか兄がサウザントフェアリーをプレイしていて、しかもあの掲示板を見ていたなんて…ここは嘘をついて誤魔化すしかないわ。


「そうだよなー、夕凪はゲームとか興味無かったもんなー。違うとは思ってたけど…何で掲示板に投稿されちゃったんだろうねぇ?」

「し、知らないわよ」


「彼氏君と月代ちゃんは、知らない?」

「僕も知らないです…あと、彼氏君じゃないです…」

「私も知らないです…」

風斗と月代ちゃんは思いっきり、あの掲示板の顛末(てんまつ)を知ってるけど、顔を引きつらせながら誤魔化している…ナイスアシスト。


「そうか…やっぱりデマだったんだな。トゥルースさんが言ってた通りだ。」

「トゥ、トゥルース!?」

ちょっと、どうして兄が私のギルドの宰相"トゥルース"の事まで知っているのよ。


「あー、トゥルースって言うのは、そこで俺が所属しているギルドの宰相さんだ。凄いんだぜ、強いし頭が良いんだ。」

「えっ!?」

お兄ちゃんが…私のギルドのメンバー!?


「その俺が所属しているギルド、"幻の兎"って言うんだけど…そこのギルドマスターの正体に何故か夕凪の写真が使われたっていう訳よ。」

「そ、そうなの…まったくもって迷惑な話だわ。」

いきなり帰って来て、衝撃的な告白をしないでよ。心臓がバクバク鳴っているのが分かるわ。


「あの…僕は、夕凪さんの彼氏じゃないんで…」

風斗が目で合図を送りながら言う。

話題を切り替えようとしてくれているのが分かる。


「大丈夫だ、誰にも言わないから…何なら俺の事はお兄ちゃんと呼んでくれても良いんだぞ。」

ダメだわ…思い込みが激しすぎる兄。

兄の中で、完全に風斗は私の彼氏になっている…まぁ、悪い気はしないけど。


「あ、やっぱり"お兄ちゃん"は無しで。違う呼び名で呼んでくれ。」

今度は何を言い出すのよ…お願いだから自分の部屋に帰って。

私の願いは虚しく…兄はそのまま話し続けた。

「その"幻の兎"って言うギルドはゲームの中でナンバー1なんだ。その中でも、俺は四天王のウチの一人なんだぜ。」

あぁ…なんだか目眩(めまい)がしてきたわ。

まさか兄が将軍のウチの一人だなんて…


「ちょっと、夕凪…大丈夫!?」

思わずヨロけた私の体を、さっと立ち上がった月代ちゃんが支えてくれた。

流石、抜群の運動神経の持ち主ね…反応速度が早いわ。


「だから…まぁ、今日から俺の事は"お兄ちゃん"じゃなくて"風の将軍様"と呼んでくれ。」

まさかの、風の将軍がお兄ちゃん!?…あぁ、なんか思い当たるわ。思い込んだら、まったく話を聞かないところが…あぁ、兄だわ。


「風の将軍!?」

あら…風斗ってば、知ってるの?ウチの四天王の事。


「あー、カッコいいだろ。そういえば彼氏君は、サウザントフェアリー、プレイしてるの?」

「いや…彼氏君じゃなくて、風斗と呼んでください。」


「えー、まぁ、風斗君って呼ぶのも良いか。あ、俺の事は風の将軍様な。プレイヤー名はザ・ビックだけど、そっちじゃなくて風の将軍様だ」

「はぁ…」

うまく誤魔化したわね…風斗。

ちなみに風の将軍は、もっと優秀な人材に入れ替えたいと思っていた所よ。


「あ、私…このお菓子、好きー。」

「そ、そうでしょ!これ、美味しいよねー。」

月代ちゃんもナイス!ここは、話題を切り替えるしか無いわ。


「お、このジュースは俺が好きなヤツだよ…ナイスセレクト!」

親指を立てて、サインを送る風斗…うん、普段はこんな明るい感じじゃ無いわね。焦っているのが分かるわ。


「あ、俺…ちょっとトイレな。」

兄が席を立つと、3人で大きなため息を吐いた。


あぁ…リビングに鍵があれば入って来れないようにするのにぃ。

~~~~~~~


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