巡り会い〜風斗
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 臨時女将
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
佐竹絢音〜サウンド 女子高校生
「クリスマスイベント、いいじゃん!」
12月も中頃、様々なアイテムが貰えるクリスマスイベントがオンラインゲーム"サウザントフェアリー"で始まった。
欲しかったアイテムが多く入っているな。
「テレポートの魔石も選べるっすね!」
「私は、経験値アップの指輪が欲しいかなー。」
ブロッサムさんと、ムーンさんが欲しいアイテムをリストから物色している。
「えーっと…モンスターを倒す事でサンタメダルを獲得。獲得したサンタメダルの数によって、選べるアイテムのレア度が変わるって事か。」
ライトさんが運営からの発表された長い説明分を要約してくれた。
「モンスターのランクで、獲得出来るサンタメダルの数が決まるみたいっすね。」
「レア度の低いアイテムを沢山ゲットしても良いし、メダルを貯めまくってレア度が高いアイテムを狙うのもアリね。」
ブロッサムさんとムーンさんが興奮気味に話す。
制限があるとはいえ、自由にアイテムを選べるのは初めてだったかも知れない。
イベント内容は、ありふれたものだけど、とても嬉しいイベントだ。
「そうなると高ランクモンスターを、みんなで狙いましょうか。」
「あぁ、賛成だ。いつもの俺たちのプレイスタイルだな。」
「では…この前、発見した氷の洞窟に行きましょうか?」
「良いな、あそこはまだ誰にも知られていない可能性がある。他ギルドと被らず、ガッツリ稼げそうだ。」
俺の提案にライトさんが賛同。
高ランクモンスターが沢山出現する氷の洞窟へと行く事にした。
「今回のイベント、サンタメダルの獲得数でギルド順位も決まるみたいっすよ。」
「グリーンさんに言われちゃったからね、何とか4位を奪還しましょう!」
ブロッサムさんとムーンさんが、おー!と声を上げて盛り上げる。
「少し距離があるから、ブーストブーツを使いましょう。」
速度力上昇効果があるブーストブーツを使用。
このブーツは装備品なので使うと消える事は無いが、一定時間しか効果を持続出来ないのが残念な部分。
ちなみにアイテムは、使うと無くなってしまう事が多い。
「ライトさん、グリーンさんとは連絡を取っていますか?」
移動中に気になっていたグリーンさんの事を尋ねてみた。
「あぁ、ちゃんと返事は来る。女将の仕事は相変わらず忙しいようだが、だいぶ慣れて余裕が出てきた。と言っていたよ。」
ライトさんの返事にみんなが安堵した。
「ライトさん、会いに行かないのですか?」
「年末に予約しようかと思ったんだけどねー、満室だったわ。」
ムーンさんの質問にライトさんが答える。
「直接言えば、何とかなるんじゃ無いですか?」
「そうかも知れないけど…満室って事は忙しいって事だからなぁ。」
「確かに、年末年始は忙しいでしょうね。」
「もう少し、様子を見てから会いに行く事にするよ。」
「見えて来たっす。」
山間部の谷間に氷の洞窟の入り口はある。
この山間部にはモンスターがあまり居ないようで、プレイヤーは特に用事が無い。
よって、この洞窟も発見されていなかったのだろう。
とは言っても、発見したプレイヤーが情報を出さなければ永遠に未発見エリアという事になる。
ウチも情報をあえて開示していない。
もし、開示してしまえば他のプレイヤー達が集まって来てしまうからだ。
「では、装備品を整えましょう。」
ここは水系魔法を使用するモンスターが多いので、対抗する為に装備を変更する。
主に火系の魔法や装備が有効となる。
ブーストブーツも外して、スリップ防止の付与がされているブーツにチェンジした。
氷の洞窟という名の通り、このエリアは滑りやすいからだ。
「早速、お出ましだ!」
洞窟入り口からしばらく歩くと、ランクSのモンスターである"ブリザードギガント"がその巨体を見せた。
発見の報告と同時にライトさんが動く。
「フレイムトルネード!」
ライトさんが魔法剣士の技を繰り出すと、ブロッサムさんが前へと飛び出した。
「バーサクモード3!」
狂戦士の技は種類が少ないが、レベルアップするにつれて、より強力な攻撃力を持つようになる。
「スコーチングヒートボム!」
魔導戦士のムーンさんが、その右腕から炎を繰り出す。
ズドドドーン!
3人の攻撃が、それぞれ的確にヒットするが、モンスターは倒れない。
HPは、確実に削ってはいるが、頑丈なモンスターだ、
「ブォーーーーン!」
雄叫びを上げたのは"ブリザードギガント"
ドドドーンっと、地響きが鳴ると共に見えたのは長い腕を振り回す姿。
「何!?回転するのか。」
ブリザードギガントは、このエリアでしか遭遇した事がなく、情報はまったく無い。
前回、遭遇した時には、この攻撃は見せなかった。
「わぁー!」「キャッ!」
最前線に陣取っていたブロッサムさんとムーンさんがダメージを受ける。
「一旦、後ろに下がって!」
俺はそう叫ぶと共に侍のスキルを発動する。
「弓撃…五月雨。」
大量の弓が天井部分から降り注ぐと、辺りは白い煙に包まれた。
スキル…五月雨は破壊力に欠ける。
が、必ずヒットする事が特性。
一旦、下がった2人はポーションを使用。
HPゲージを回復させる。
「次は、まず俺が弓を放つ。そこから、4人一斉に攻撃を加えよう。」
「うっす!」
「分かったわ。」
「了解。」
俺の提案に、ブロッサムさん、ムーンさん、ライトさんが返事をする。
「弓撃…五月雨。」
俺は弓を放つと共に、前方へと走り出した。
他のメンバー3人も同時に走り出す。
五月雨の着弾により、氷が蒸発し、再び白い煙が辺りを包んだ。
「よし、目眩し…成功。」
ライト「フレイムトルネード!」
ブロッサム「バーサクモード3!」
ムーン「スコーチングヒートボム!」
ウィンド「十文字…紅!」
ズドドドーン!!
4人が一斉に攻撃を加えた。
全員が炎属性のスキル、武具を使用している。
ドーーーーン!
"ブリザードギガント"は後ろ向きにゆっくりと倒れた。
「よっしゃー!」
「やったすね!」
ハイタッチして喜びを分かち合う、この瞬間が一番楽しい。
「ウィンドさんの五月雨、目眩しになって良いな。」
ライトさんに褒めて貰えると嬉しい。
「うんうん、私ったら、つい闇雲に突っ込んじゃうから。」
「それを言ったらボクもっすよ。」
確かに、ムーンさんとブロッサムさんは、突っ込み気味ではある。
まぁ職業柄、仕方ない事か。
「あれ?まさか、このエリアに先着が居るとはなぁ。」
何だ!?
声がした背後を振り向くと、青い甲冑をきたプレイヤーが腕を組んで立っていた。
「俺は筆頭ギルド"幻の兎"の風の将軍様だ。お前たちは何者だ?」
うーん、このエリアは未発見だと思っていたけど…幻の兎も来てたかぁ。
「俺達は"永遠の風"だ。」
上から目線に感じた風の将軍に対して、俺はギルド名だけを名乗った。
「何!?貴様らが噂の…そうか、そうか。まぁ、仲良くやろうや。」
え?仲良く?確か…幻の兎からは目の敵にされていたような…
『なんか、偉そうね。』
ムーンさんがギルド内でしか見えないチャットで呟く。
『ギルド名の前にわざわざ、筆頭ギルドって付ける辺りが何とも…』
ライトさんも、呆れ気味のようだ。
『幻の兎からは嫌われていたような気がするっす。』
だよね…ブロッサムさんが言うように、幻の兎のギルドマスター"イブニング"は、俺達に対して良い感情を持っていない事は確か。
「あれ?永遠の風と言えば…グリーンはどうしたんだ?そっちに戻ったんじゃないのか?」
グリーンさんを知っているのか…にしても、偉そうだな。
「グリーンは今、リアルが忙しいんだ。」
ライトさんが、両手を広げながら伝えた。
「そうか、グリーンがウチに来た時、俺は副将軍に降格されて迷惑したんだ。文句を言いたかったが…何だ居ないのか。」
そういえばグリーンさん…一時、幻の兎で将軍をしてたな。
それにしても、何でそんな事でグリーンさんが恨まれなくちゃならないんだ。
「俺達は場所を変えるところだったんだ。」
俺は嫌な気持ちになるくらいなら…と考え、狩り場を別の場所に移す事にした。
「おう、そうか…じゃぁ、ここは俺達で遊ばさせて貰う事にするわ。お前ら、こっちだ。」
そう叫ぶと、10人程のプレイヤーが現れた。
「さぁ、行こう。」
「あぁ…賛成だ。」
俺達ギルド"永遠の風"は、氷の洞窟を後にした。
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