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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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巡り会い〜翠

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 臨時女将


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

佐竹絢音〜サウンド 女子高校生

「ちょっと、立花さん!あれ、どこにあるの?」

「お嬢様、すみません…壊れてしまって、今は修理に出しております。」


「もう…困ったわねぇ。あと、何回も言ってるけど、私の事は翠さんって呼んでね。」

「あ、はい…翠様…」


「だから…"様"じゃなくてぇ…"さん"だって。」

「あ、はい…翠さん…」


実家に戻ってから一ヶ月程。なんとか旅館の女将の仕事をこなしている。

こなしている?…違うわね…皆さんに助けられて、誤魔化しつつも日々、乗り切っていると言った表現が正しいわ。


「はぁ、お母さん…こんなに大変だったのね。」

女将の仕事、こんなに体力が必要だとは思わなかった。休憩する時間なんて無いじゃないの…

お母さんが、倒れて入院してしまった理由もわかる気がするわ。


勤めていた東京の会社は無事に引き継ぐ事が出来た。

派遣だったとはいえ、あちらにも随分と迷惑をかけてしまったわね。


「翠、最後のお客様は到着が遅れているそうだ。時間が空くから今のうちに休憩を取っておくといい。」

「あ、お父さん。ありがとう、そうさせて貰うわ。」

父も経営者として多くの仕事を抱えている為、時間が無い。私が手伝っているおかげで、何とか入院しているお母さんにも会いに行く事が出来ている様子。


私は…会いに行っていない。

家出して東京に行ってしまったのだから、何となく話しづらい。

『私は旅館なんてしたくない!女将になんてならない!』

数年前、そう叫んだ時のお母さんの悲しそうな顔を、今でも思い出す事が出来る。


お父さんからも『私が経営の知識を持った旦那を見つけて旅館を継いでくれると嬉しい。』と言われた事がある。


"なんて勝手な事を!私の人生は私自身が決めるの!"

当時、そう心の中で叫んだ。何度も…


東京に行けば、何でもやりたい事が出来ると思った。

けど…現実は違った。

お金が無いと始まらない…バイトして。

派遣に登録して。

事務の仕事をしていたけど…夢に描いていたような生活では無かった。


家出して東京に行った直後。

銀行口座にお母さんからお金が振り込まれていた事を思い出す。

当時は、"余計な事を!私一人で出来るんだから!"と思ったけど、実際は凄く助かった。

「あぁ、あの時のお礼…言わないと…」

休憩室で独り言を呟く。


「女将さん、翠ちゃんが出て行った後、毎日、神棚に手を合わせて祈っていたのよ。」

同じく休憩中だったベテランの中居さんから声を掛けられた。


「心配かけちゃったわね。」

神棚を見ながら、お母さんの顔を思い浮かべた。


「親子って、そういうものよ。お互いに心配をかけて、心配し合うの。今は翠ちゃんが女将さんの事を心配しているでしょ。」

「そうね…今はお母さんが私を心配させてるわね。」

そう答えると、私は立ち上がって神棚に向かい両手を合わせた。

私もお見舞いに行かないとな…


「翠さん、お客様がお見えになりました。」

「はーい、今、行きまーす。」


「ようこそいらっしゃいました…ウェルカム♪」

笑顔でお客様をお迎えする。

昔は、もっと平日は暇だったと思う。が、今は海外からのお客様が増えたおかげで毎日、忙しいようだ。

海外からのお客様に対しては、日本語と英語を織り交ぜて話すようにしている。

昔ながらの日本旅館で英語だけだと雰囲気が壊れるから日本語も話すように。と、お父さんから言われたから。

"お母さんがそうしていたから。"との事。

忙しい中でも、色々と考えてやっているのね。


「翠さんが英語を話せるから助かるわー。」

「いえいえ、決まった言葉しか無理ですよ。質問されたら、スマホの翻訳機の出番です。」


「私達、仲居も使うようにしていますけど、上手く伝わらない事があるんですよね…翻訳機。」

「難しい日本語は、うまく翻訳され難いですもんねぇ。」

仲居さん達とも、随分と仲良くなれた。

お母さんが倒れた事で仲居さん達は大変だったらしく、私の歓迎っぷりは想像以上だった。


夕食の時間を終え、片付けに入る。

あぁ、東京に居た時は、ゆっくりする時間だったなぁ。

右京…ちゃんとご飯食べているかしら?

サウザントフェアリーのギルドメンバー、元気にしているかな?

よし、ちょっとだけ、覗いてみよ。


久しぶりにサウザントフェアリーにログインする。

「グリーン、久しぶりね。」

自分のアバターキャラに対して、挨拶をすると凄く懐かしい感じがした。


「あ、グリーンさんだ!」

「お久しぶりっす。」

「お元気でしたか?」

「やぁ、グリーン。」

ムーンさん、ブロッサムさん、ウィンドさん、そしてライト…相変わらずな様子。

あ、皆さん、ちょっと装備が変わっているわね。


恋人であるライトとは、スマホのアプリで会話をしているけど、他のギルドメンバーとは久しぶりに会う。


「グリーンさん、女将さんの仕事は順調ですか?」

「うん、まぁ…何とかやっているって感じかな。」

ムーンさんの質問にそう返した。

ほんと、ギリギリな状態だけどね。


「お母さんは大丈夫っすか?」

「うん、だいぶ良くなってきたみたい。もしかしたら、近々退院出来るかも…だって。」

そう答えると、ギルドの皆んながガッツポーズを作ったりして喜びを表してくれた。


「お母さんが退院したら、また東京に戻るのですか?」

「いえ…もう、旅館を継ぐ事にする。また倒れられても困るからね。」

ウィンドさんの質問には、そう返した。

病院でベットに横たわるお母さんの姿を見て、そう決めた。


ライトの反応が気になったけど、何も言わなかった。

右京とは、いずれ結婚するのかな?と思っていたけど、私が岐阜の山奥に引っ込んでしまったから無理よね。

右京も仕事があるし…遠距離恋愛の後は、お別れが待っているかも…


「グリーンが落ち着いたら、一度、遊びに行っても良いかな?」

「うん…ちゃんと料金は払ってね。」

右京が来てくれるのは嬉しいけど、女将の姿を見られるのは何か、恥ずかしいわね。


「おいおい、高そうな旅館だから割引きしてくれよ。」

「ふふふ…結構、予約でいっぱいなんだから、割引きは無しよ。」

本当に来るなら、特別割引きしちゃうけどね。


「お嬢様〜。」

立花さんが呼ぶ声が聞こえる…まったく、いつまで経っても"お嬢様"って呼んでくるわね。


「ごめんね、皆んな…もう、行かなくっちゃ。って、あれ?ギルドの順位…5位まで、落ちちゃってるじゃないの!?」

ギルド名の横にある順位を見ると5位になっていた。

だいたい、いつも2位から4位をキープしてたのに。


「昨日、"竜に仕える者達"に抜かれてしまってね…」

「グリーンさんが居ないと無理っす。」

ウィンドさんが申し訳なさそうに言い、ブロッサムさんが頭を抱えながら叫んだ。


「もう、仕方ないわねー。頑張ってね!」

私は、そう言葉を残してログアウトした。

詳しい事は、右京にでも聞くかな。


「お嬢様、こちらでしたか…海外からのお客様がお呼びでして…」

「はいはい、今、行きますよー。あと、お嬢様じゃなくて、翠さんね!」


立花さんとの、いつものやり取り…サウザントフェアリーの皆んなと遊べないのは残念だけど…これはこれで楽しいかな…

~~~~~~~


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