巡り会い〜夕凪
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生。
「イブニング様…風部隊よりアースドラゴンを見つけたとの報告がありました。」
「風部隊ですって?やるじゃない!あの子達。」
今回のイベント"アースドラゴンを倒せ!"
臨時として副将軍を将軍に置いた風部隊…まったく期待していなかったけど、どうやら上手く機能したようね。
「けど…おかしいわね。イベントクリアのアイコンが出ていないわ。トゥルース?風部隊はアースドラゴンを倒したの?」
「それがですが…風部隊は、壊滅したとの報告です。」
「はぁ?壊滅!?嘘でしょ?」
「いえ…本当の話です。アースドラゴンによる地震攻撃によって部隊は麻痺。ほぼ壊滅したとの事です。」
「まったく…何をやっているのよ。」
「すでに林の将軍と山の将軍が討伐に向かって移動を始めております。」
「私達も行くわよ…座標は分かる?」
「はい、イブニング様…では、テレポートの魔石を使用しますか?」
「流石、トゥルース…分かっているわね。すぐに行くわよ。」
「了解致しました。」
ギルド所有の"テレポートの魔石"
とても貴重な品だけど、背に腹はかえられない。
このイベントでの1位の座は、わずか一日で憎き"永遠の風"に譲ってしまっている。
何としても2位の座は確保しなければならない。
「イブニング様、到着しました。アースドラゴンは、あの洞窟の中に居るようです。」
「へぇー、こんなエリアがあったのね。」
周りを見渡すと見知らぬ光景が広がっていた。
サウザントフェアリーの世界…ギルドの力によって、すべてを網羅したと考えていたけど甘かったわ。
もしかしたら、まだ拡張しているのかも知れないわね。
「イブニング様。」
背後から声をかけられ、振り向くと山の将軍が片膝をつく姿があった。
「山の将軍…早かったわね。林の将軍はまだかしら?」
「はい…我々が先着しました。是非、我が部隊に攻略の指示を。」
「そうね…早い者勝ちって事で。トゥルース、良いかしら?」
「その考えで問題無いかと…」
「ありがとうございます。では、中に参ります。」
「あ、待って…山の将軍。私達も同行するわ。」
「危険では…無いですかな?」
「大丈夫よ、トゥルースが居るから。ね、トゥルース。」
「は、我が身に変えても。とは、言っても対策は必要かと思います。」
「そうね…今回はこの子達に助けて貰うわ。」
そう言って、自分なりの対策をトゥルースに打ち明けた。
「イブニング様…よろしいかと。山の部隊は、土魔法使いが多かったですね。対策は?」
「あー、先制攻撃でズバッとだ。」
山の将軍の対策案にトゥルースは頭を抑えた。
「いいんじゃない…思うようにやらせましょ。」
「しかし…ですね。」
私はトゥルースを片手で抑えて、言葉を遮った。
「行きましょ。」
「よし、山部隊…我に続け!アースドラゴンを見つけ次第、魔法攻撃と物理攻撃の連続攻撃を行う!間髪入れるなよ。」
山の部隊から雄叫びが鳴り響いた。元気が良いのは良いけど、少し、気合いすぎな気がするわね。
「イブニング様が居られるので、張り切っているのでしょう。」
私の気持ちを見透かしたような言葉を伝えるトゥルース。
「ふふふ…可愛い子達ね。」
私とトゥルースは、山の部隊の後方に続いた。
「出たぞ!すぐに魔法攻撃を!弓使いも一斉射撃!」
洞窟に入ると共に、前方から山の将軍の大きな声がこだまする。
「こんな入り口付近に居るのね。」
ボスキャラと言えば洞窟の奥に陣取っている事が多い…稀なケースね。
「大鷲族…召喚。」
私の職業は上級職"獣使い"
大きく手を天空へと伸ばし、大鷲を召喚した。
大鷲の背中に飛び乗ると共に、前方へと進む。
洞窟内とはいえ、大鷲が飛行するには十分な高さがあった。
あれが…アースドラゴンね。見るからに硬そうだわ。
「バーサクモード!」
山の将軍が、上級職"狂戦士"の力を発動。一気にアースドラゴンの生命力を奪っていく。
流石ね…これなら、本当に先制攻撃で倒しちゃうかも。
よく考えたら、小規模ギルドの"永遠の風"が倒せるドラゴン。
失敗した、風の部隊が弱かっただけかも。
上空から見ていると…アースドラゴンは4本の足を交互に動かし始めた。
ゆっくりだった足の動きが、どんどん早くなっていく。
ズドン…ズドン…ズドン…ズドドン…ズドドン。
「アースクエイクが来るぞ!全員、後方へ退避!」
土の将軍が叫ぶと一目散に洞窟入り口へと逃げる部隊。
空中から見渡していると…何とも情けない光景。
大きく地面が揺れ始め…すぐに大きな地震が一面に伝わった。
「ギャー。」
逃げ遅れた数人の叫び声が聞こえる。凄い破壊力だわ。
ズドンッ!
という音と共に大きな槍が、すぐ近くの天井に突き刺さった。
「イブニング様、揺れが収まったら共に攻撃を。」
槍にぶら下がるような体勢でそう伝えてきたのはトゥルースだった。
トゥルースの職業は、上級職"竜騎士"
その特徴は高いジャンプ力。
まったく心配していなかったけど、アースクエイクを竜騎士の特徴で回避するとは…そして、すぐに反撃を繰り出そうとしている…流石だわ。
「大鷲族…召喚。」
私は、さらに4体の大鷲を召喚。
「2人とも頼んだわよ。」
「キュイー!」
4体の大鷲はアースドラゴンに向かって急降下を開始。
「では、自分も突撃して参ります。」
トゥルースは、そう言い残すと回転しながら槍と共に急降下していった。
地上では、トゥルースと私の大鷲2体がアースドラゴンに攻撃を加えている。
「あれ?もう1人居るわね。」
トゥルースと共に戦う男の子の姿を見つけた。
「あれは…魔法剣士かな?誰だろ?」
見覚えのない魔法剣士の動きを見ていると、洞窟の外へと逃げていた山部隊が戻ってきた。
地上では、激しい攻防戦が繰り広げられている。
そして、またアースドラゴンのアースクエイクが始まり、山部隊は外へと逃走していく。
「アタック アンド ランウェイ。」
攻撃と逃亡を繰り返す…まぁ、戦術と言えば戦術ね。
でも、それだと私のギルドのエース部隊には、なり得ないわ。
だって…カッコ悪いから。
えっと…あの魔法剣士は…あー、なるほどね。
魔法剣士は土魔法で、天井から土のつららを作り出し、それに捕まる事で地震を回避していた。
やるじゃない…あの子。
この後、2度アースクエイクを受ける山部隊。
そして…
「わーーーー!」
歓喜の声が地上から聞こえると共にアースドラゴンは消滅。
「ありがとう、大鷲。」
ゆっくりと地上に降り、私は5体の大鷲にお礼を伝えた。
「トゥルース、お疲れ様。」
「イブニング様も、お疲れ様でございます。」
「ねぇ、あの魔法剣士の子…誰だったっけ?」
「はい…自分も気になりまして…検索したところ、どうやら最近になって加入した研修生のようです。」
「ありがとう…少し、声をかけてくるわ。」
「イブニング様、一人に声をかけるのは問題が発生するかと…」
そう伝えたトゥルースを制止して、私は魔法剣士の元へと歩み出した。
「ねぇ、君。名前は?」
「イ…イブニング様。えっーと、私はサウンドと言います。」
「そう、良い名前ね。お疲れ様。」
「あ、はい。ありがとうございます!」
「山部隊の皆様、よく頑張りました!今後の活躍にも期待します。」
私がそう呼び掛けると、山部隊のメンバーから歓声が沸き起こった。
「トゥルース、あの子をすぐに正式なメンバーに迎え入れて。あと、風部隊にコンバートを。」
「了解致しました。風の将軍候補ですね。」
「そそ、良い子は育てないとね。ただ…上級職となると、少なくても半年以上はプレイしている筈。以前所属のギルドが気になるわね。」
「そうですね、スパイの可能性もあります。素性を探っておきます。」
もしかしたら…優秀な部下の出現?かも。と、私は心を踊らせた。
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