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体育祭〜夕凪

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー


一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

「さてと、そろそろ戻ろうかな。」

保健室から風斗(ふうと)月代(つきよ)が出ていった後、私はベットから立ち上がった。

ちょうどその時に保健の先生が入ってくる。

「尼子さん、もう大丈夫?」

「はい…もう大丈夫です。ありがとうございました。」

丁寧にお辞儀をして、保健室を後にした。


クラス対抗の綱引きも、そろそろ終わった頃かな。

テントにある自分の椅子に腰掛けるとクラスメイト達が声をかけてくれる。

夕凪(ゆうな)、大丈夫?」

みんなが心配してくれている。

「ありがとう、もう大丈夫。昨日、あまり寝られなかったのよね。」

「もう、夕凪ったら…張り切り過ぎよ。」

男子も女子も…クラスメイト達と一緒に笑い合った。


二年生の徒競走が終わった。

次は私達のダンスの番…これは楽しいから参加したかった。手作りのバトンを持って曲に合わせて踊る。3分程の短い曲に単調な振り付けなので難しくはないわ。運動神経がイマイチな私でも十分踊れた。

最後の見せ場…バトンを高く放り投げて、キャッチする。

「よし、上手く出来た。」

落としてしまった子も居たけど、それもご愛嬌。みんなで笑い合った。


テントに戻り、次の演目を見守る。

次は…隣のクラスによる大縄跳び…楽しそうに跳ぶ月代。対して風斗は不機嫌そうな顔で跳んでいる。『何故、一つの縄を大人数で跳ばなければならないのか?効率が悪い。』きっとそういう風に考えながら跳んでいるに違いないわ。

風斗はすぐに論理的に考えるクセがある。話しかけても気づかない…そんな時は大抵考え事をしている。なので周りからは、いつもボーッとしている人だと思われているの。


一条風斗…私の初恋の人。

多分…一目惚れじゃない。小さい頃から一緒に遊んでいて…知らないウチに私は風斗の事を好きになっていた。

好きだという事に気がついたのは、たぶん中学校に入ってから。急によそよそしい態度になった風斗に、私は堪らない気持ちになった。

クラスも違い…たまに会う程度。私は知らず知らずのウチに風斗の事を探すようになった。


「さて…そろそろ行かなくっちゃ。」

お昼休みとなり、私は体育館の方へと向かった。

あぁ…このおデブちゃんか…

確か、入学したての頃にちょっと優しくしたのよね。どこのクラスなのかも知らないけど。

コソコソと隠れている男子生徒が居る事に私は気づいた。

友達が居ないと告白も出来ないのかな?


案の定、私は目の前の男子生徒から告白された。


「ごめんなさい、私、好きな人が居るので。」

そう言って告白を断った…いつもの様に。

私は定期的に告白を受ける。スマホも含めてなので、本気なのかどうなのかも分からないのもある。


目頭を抑えて悲しそうな顔をする男子生徒…正直、名前も知らない。

「じゃぁ…ご飯食べないとだから。」

私は笑顔を作り、手を振ってその場を去った。

逆上されてストーカーとかになられても困るので愛想よく断るのが1番。けっして『デブは嫌いなの。』とか言ってはならない…今はそんな世の中。

まぁ、好きな人が居るのは本当なので、嘘はついていないわ。


「夕凪…何処に行っていたの?」

仲良くしているクラスのグループの女子達から声をかけられた。

ここで…ちょっと告白されていたの。とは言わない方がいい。余計な事を言って嫉妬心を生ませない為。

女子は女子で面倒な人が居るので注意が必要…私は中学生の時にそれを学んだ。

「うん、ちょっと忘れ物をしちゃって。」

適当に誤魔化すと、私はお弁当をいただいた。


にしても、今日は暑い…まだ6月だというのに地球は一体どうなってしまうのかしら。

午後からの種目は三年生の徒競走から始まった。


体育委員の月代が一緒懸命に働いている。

私は月代の事も好き…風斗と同じくらいに。


うん…好き好き好き好き好き好き好き好き好き…


私は…月代と風斗、2人と結婚したい。

3人で暖かな家庭を築くのが私の夢。

寝る時はどうしようかな…お布団を3つ並べて…真ん中に誰が寝るかは毎日ジャンケンで決めようかしら。

あぁ…真ん中がいいな…右を向くと月代が寝てて、左を向くと風斗が寝てる。

最高じゃん!「ふふふ」と思わず声がこぼれる。


子供は私と月代で2人づつ産むの。

パパ役が風斗一人じゃ経済的に大変そうだから月代にも働いて貰おうかしら。月代なら事務仕事以外なら何でも出来るわ。

大丈夫!4人の子供達は私が責任を持って育てるから。


今日の午前中に、この夢に向かう為の布石を打った。

まずは3人で一緒に勉強をするの…これは同棲への第一歩ね。

課題だった月代と風斗の仲の悪さも、このイベントで改善しないと。

将来3人で暮らす事になるのだから、2人にも仲良い関係に戻って貰わないとっ。俄然(がぜん)、私は気合いが入った。


「夕凪〜閉会式、大丈夫?」

仲良しグループの女子達が心配してくれる。

「みんなありがとう…大丈夫よ♪」

やっぱり、開会式で倒れる効果は絶大ね…みんなが優しくしてくれるわ。

本当は徒競走と綱引きに参加するのが嫌だったから倒れたのだけど。だって私、足が遅いし…綱引きは手が痛くなるの。まぁ、何の役にも立たないから問題ないでしょ。、


あと…月代が保健室まで見に来てくれた♪〜これも予想通り。

さらに…風斗ともお話しをする事が出来た♪〜これは予想外。

毎日、放課後に会いに行っているのに…話しかけても、すぐに帰っちゃう風斗。

今日の進展は将来への大きな一歩だわ。


月代ちゃんを誘い、今日も一緒に帰宅する。

あぁ、手を繋ぎたいわ…

「ねぇ、本当に風斗と一緒に日曜日に勉強会するの?」

「午前中に約束したじゃない…これで来なかったら風斗は男じゃないわね。」

月代ちゃんは困ったような顔を見せたけど私は嬉しかった。


さてと…家に帰りシャワーを浴びた後、ゆっくりとノートPCを開いた。

そこは、もう一つの私の居場所。

オンラインゲーム"サウザンドフェアリー"

筆頭ギルド…ギルド名「幻の兎」

幻の兎ギルドマスター…プレイヤー名「イブニング」

これが帰宅後の私。


一年程前から遊んでいるこのゲームで、私が運営するギルドはポイントでトップに立った。

イブニングは女子高校生…そう公表して以降、次々とメンバーが増えた。チャットで沢山、話しかけてくる…おっさん達かしらね。

ただ…弱い人は追い出したわ…絡みが面倒なだけだから。

幻の兎、今では80人規模のギルドとなっている。高額課金プレイヤーも多いから、様々なイベントでトップ賞を貰ってきたの。

なのに…「何?"永遠の風"?そんなギルド、知らないわ。」

先日開催されたイベント「暗闇に包まれた妖精の里に光を。」で、たった5人しか居ないギルドに先を越されてしまった。


「ほんと…腹が立つわ。あと1時間早ければウチがトップだったのに…」

私はギルドのメンバーに対し「次のイベントでは絶対、トップ賞を取ろうね!」と激励を送った。

~~~~~~~


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