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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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温度差〜夕凪

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

「ちょっと、どういう事なの?」

「トゥルース?トゥルースは居る?ねぇ、トゥルース!」


私は慌てて参謀のトゥルースを探した。


「はい、イブニング様…ここに。」


さっと姿を表すトゥルースに向かい、すぐさま疑問を投げかけた。


「イベントが始まって一日よ!たった一日!何故!?何故、"永遠の風"は、イベントを終了させているの?」


今回のイベントは、"洞窟に潜むアースドラゴンを倒せ!"

さて、まずは情報収集を…と、捜索隊を振り分けた初日。


運営からギルド"永遠の風"がイベント達成という連絡が入った。

画面上に『1位 永遠の風』と、表示されている。


おかしいでしょ?たった一日よ。

最近、大人しくしていると思っていたら…まったく不愉快な連中だわ。


「イブニング様、落ち着いてください。」


落ち着いているわ。

ちょっと、納得がいかないだけよ。


「永遠の風…もしかして運営側の人間が入っている?」


そうだとしたら納得だわ。

あの少人数で、早々にアースドラゴンとやらを探せる訳がないじゃない。


「おそらく…ですが。」

そう前置きをした後、トゥルースは自らの見解を述べた。


「何らかの理由で"永遠の風"は、アースドラゴンの存在をイベント前に知っていたのかと…」


「な…なんでよ。そんな事、ありえる?」


「分かりません…我々もアースドラゴンを探し出せば、その答えも導き出せるかと考えます。」


「確かに…トゥルースの言う通りだわ。捜索を急いでちょうだい。我がギルド"幻の兎"が3位になるなんて許せないから。」


「はい、急がせます。」

そう、伝えるとトゥルースはスッと姿を消した。


まったく…忌々しい…永遠の風め。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ちょっと、月代ちゃん。知ってる?永遠の風っていうギルドが今回のイベントを初日にクリアしちゃったのよ。」


少し寒くなってきた朝の通学路。

どうにも納得がいかず、月代ちゃんにも文句を伝えた。

それにしても…今日も月代ちゃんは可愛いわぁ。

抱きしめて温まりたくなっちゃうじゃない。


「あ、うん…知ってるわよ。順位表に出てたから。」

随分と素っ気ない返答ね。


「呑気な返事ねぇ。初日よ…初日、普通は、ありえないでしょ。きっと何か裏があるに違いないわ。」

私が"幻の兎"のギルドマスター、イブニングであるとバレてどうしようかと思ったけど、こうやって月代ちゃんと、"サウザントフェアリー"トークが出来るようになった事は良いわね。

それにしても体育会系の月代ちゃんが、まさかプレイヤーだったとわ…今でも信じられないわ。


「うーん…まぁ、そんな不正なんかは、してないんじゃないかな?」

「そうかなー、私は絶対、何かあると思うのよねー。まったく…永遠の風めぇ。」


握り拳を作りながら、不正を疑う私。

そんな私の横で月代ちゃんは笑っている。


「ねぇ、月代ちゃん…月代ちゃんが所属しているギルドは、アースドラゴンの探索、進んでるの?」


「え?あー、どうだったかなー?私は皆さんの指示に従っているだけだから。」


何?随分と消極的ね…もしかして下位ギルドに属しているのかな?そんなに真剣にプレイしていないって月代ちゃん、言ってたし。


「もう、サウザントフェアリーはイベントが重要なのよ!キッチリ報酬貰わないと育成が出来ないんだから。早くウチのギルドに移籍しちゃいなさいよ。」


「そうね。でも、筆頭ギルドなんて、私にはハードルが高すぎるわ。」

そう言って、笑ってごまかす月代ちゃん。


月代ちゃんなら、弱くても特別待遇で幹部にしちゃうのになぁ。

ゲームに没頭するような感じじゃないし、一般的なプレイヤーなんて、そんなものなのかな?

だから、初日にイベントクリアーするギルドがいても何も思わないのかも。


「あ、風斗〜。ちょっと待って〜。」

角を曲がった先に風斗のうしろ姿を見つけた。

以前なら、風斗と登校するなんて事を言ったら、止めてきた月代ちゃん。

慣れたのか何も言わなくなった…あれ?もしかして風斗の事、好きになっちゃってる?

ついに…愛…愛が芽生えちゃった?


「ん?どつした尼子、顔が赤いぞ?熱でもあるのか?」

あら、まぁ…風斗ったら、私の事を心配しちゃってるの?それなら、いっそ熱がある事にしちゃおうかしら?


「あ、あぁ〜熱がぁ。」

フラフラと仕掛けた私の体を支えたのは、月代ちゃんだった。

うん,頼もしいわ…月代ちゃん。


「何?急に…夕凪、どうしちゃったの?」

そう言いながら、月代ちゃんの可愛い手が私の額へと触れる。

きゃー、ボーナスイベント発生!

暖かいわ…月代ちゃんの手が暖かいわぁー。


「うん…どちらかと言えば冷たいわね…夕凪。」

流石、健康優良児の月代ちゃん…末端でも暖かいのね。

私は逆に冷え性ですから…


「大丈夫そうだな…三好も、足は良いのか?」

「あ、うん…普通に歩く分には大丈夫。この前は、慣れない靴で急いじゃったから。」


ん?何?何?何の事?私の知らない事があるなんてダメなんだから。

「お二人さん、何かあったの?」

思わず不機嫌そうに言ってしまった。


「うん、この前…ちょっと足を痛めちゃってね。」

月代ちゃん…陸上部を引退する事になった原因の足を、また痛めちゃったのね。あぁ、なんて可哀想なのかしら。


「その時、白馬に乗った風斗が現れたのね。」


「いやいや、たまたま通りかかっただけだよ。」

あら、冗談で言ったのに本当に風斗が助けたんだ。


「まぁ、あの時は助かったわ。お母さんもお礼がしたいって言っているから…今度、何か持っていくわ。」

「あー。礼なんて、いらないから。おばさんに言っといて。」


家が近いのは、あるけど…なかなかの偶然ね。

「そんな偶然があるのねー。」

二人共、気づいちゃなさいよ…運命の偶然だったと気づいちゃいなさいよ。


「そう言えば、三好…あの時は、いつもと違う格好してたな。デートにでも行く途中だったのか?」

風斗が月代ちゃんの服装を気にするなんて珍しいわね…いよいよ感情に変化が現れた?


「違うわよ…ちょっと知り合いに会いに行く途中だっただけ。風斗こそ、まともな服装だったじゃないの?何?まさかのデート?」


「デ、デートって、違うわ!知り合いに会いに行っただけだ。」


ちょっと待って、二人とも違う人とデートだなんて、私、許さないからね!

デートは私と三人でするんだから!


「もう!二人とも、浮気はダメなんだからね!」

言い争いになる二人の間に入り、私は両手を広げた。


「ん?浮気?」

二人揃って首を傾けている。


「だから…二人は私とお付き合いするの!前から言ってるでしょ!」

まったく…何度、言えば理解するのかしら?この二人は…


「ちょっと夕凪…」

「おい、声が大きいって。」

月代ちゃんは自らの額を手で押さえ。

風斗は、慌てて周りを気にし出した。


「尼子親衛隊が居たら、どうすんだ!?」

そう言えば、あの人たち、最近は見ないわね。


「尼子親衛隊とやらは、あのネット掲示板の件以来、大人しくなったわ。水野っていう子も、ギルドから追放したわ。」

「追放って…出来るのね。」


「適当な理由をつければ良いのよ。無断でギルド管理のアイテムを使っただの何だの。」

あまりギルドの事を分かっていなさそうな月代ちゃんに説明した。


「あ、そうだった!風斗にも聞きたいんだったわ。どう思う?永遠の風って言うギルド…胡散臭いと思わない!?」


「え?胡散臭い?」

風斗は知らないのかな?キョトンとした顔をしている。


「知らない?あのギルド、今回のイベント、一日でグリアしちゃったのよ。今回のイベント期間は一ヶ月…それをたった一日でクリアだなんて…絶対に運営側の人間が入っているのよ。」

私はふたたび握り拳を作った。


「あ、そうだわ…あのギルドマスターが怪しいわね…ウィンドってヤツ。」

握りしめた拳を空中に向けて、突き出した。

空中に思い描いたのは、当然、あのウィンドの顔。


「お、おい…随分と物騒だな…ゲームなんだから穏便にな。」

あー、ダメだわ。風斗も月代ちゃんと同じく、のんびり屋だわ。

どうにもこの二人とは温度差があるわね。

やっぱり、サウザントフェアリーで頼りになるのは、参謀のトゥルースだけのようね。


~~~~~~~


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