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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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理想〜咲華

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

本当なの?

本当に来るの?


一ヶ月前に聞いた話だったけど、つい最近のように思い返す。

関東からグリーンさんとライトさんが、あたしが住む街、京都に来ると言う。

観光都市、京都。来るだけなら、"どうぞ楽しんで観光してださい。"と、言えるんだけど…

何故か、あたしと会うという話になっている。


あたしは、人と接するのが得意じゃない。

いや…むしろ苦手です。


しかも、オンラインゲーム"サウザントフェアリー"で、あたしが操っているのはゴリゴリマッチョの男キャラ。


二人も、あたしが本当は女子中学生だと知れば驚くに違いない。


話が出てからの、この一ヶ月…常に頭の片隅にはあったものの、考えないようにしてきた。

直前に断れば、引き下がるさ…と、安易に考えるようにしていた。と言うべきだろうか。

だって、あたしになんか会っても楽しい事なんて何にも無いから。


って…ダメ。"あたしになんか"という台詞は封印するって決めたんだった。


で…今、京都駅に居る。


「明日、行くからねー。京都駅に集合で♪」

なんて軽いノリでグリーンさんに言われてしまったから。


「あ、いや…明日は用事が…」

と、言ったけど、

「何の用事?」

と、言われて答えられなかった。


土曜日の昼下がり、用事なんて無い…嘘を言えば良いんだけど…嘘は嫌いだ。


で、待ち合わせ場所を正確に決める事に…


いやいや…会ったところで、本当は小さくて、か弱い姿をしている、あたしをブロッサムだと認識出来るのかな?無理っしょ。


と、思いつつ…昨日の夜、お姉ちゃんにオススメのカフェや観光スポットを聞いた。


友達が居ない…あ、唯一、真琴(まこと)さんが居たか。

とにかく、休日に出かけるとなると本屋か文房具屋くらいのあたしにとっては、遠方から来る大人の方々を案内するスキルも知識も持ち合わせてはいない。

お姉ちゃんに頼るしか手段は無かった。


「ん?咲華って、関東に友達がいるの?」

関東から知人が来るから、どこに連れていけば良い?ってお姉ちゃんに聞いてみたら、逆に質問を受けた。


ん?友達?…なのかな?

確かに毎日、話をしているし…学校のクラスメイトや部活の仲間、誰よりも仲が良い気がする。

正直、二人の事は好きだ。

とても良い人達だと思う。

現実の二人は一体、どういった方々なんだろう?と考えると、会うのが少し不安でもあり楽しみにも感じた。


「うん…友達…かな。」

小さな声で答えを返した。


「じゃぁ…お昼は…」

流石、社交的なお姉ちゃん…いくつものプランを提案してくれた。

メモ張を取り出し、プランを書き留める。

この中から、二人に選んで貰おうかな。


で…待ち合わせの時間になったけど、どれがグリーンさんとライトさんだ?


向こうから、あたしの事は分からないだろうから…あたしが発見しないと…


と、待ち合わせの店の前でキョロキョロとしている男女二人組を発見。

えっと…服の色は…うん、緑色だな。アレか…

色白で細めの女性と少し日焼けをしている男性。

うん、大人な感じだわ。


ドキドキと鼓動が鳴り響くのを感じながら、ゆっくりと近づいた。

ただ…本当にグリーンさんとライトさんで合っているのかは分からない。


目の前に立ち…思い切って声を出した。


「うっす。」

同時に少し右手を上げる。


案の定、二人はキョトンとした顔をしている。

間違えたか?


が…次の瞬間…


「えーーーー!」

驚きの声と表情。

うん、やはりこの二人で合ってたな。


と、呑気に思いつつ、何故か額からは汗が流れた。


「ブロッサムっす。」

一応,名乗った…これで人違いだったら心底、恥ずかしい。

二人組は口をパクパクとさせているが声が聞こえない。


ん?どうしたんだろうか?

と、首を傾けてみたところで、やっと声が聞こえた。


「お、おんなの子だったの!?」

やっと声を放ったと思ったら二人同時に大きな声を出してくる。

ちょっと…恥ずかしいじゃないか。


実際、周りを歩く人々が、こちら側を振り向いてくる。


「ええ、あたしは女の子です…」

とりあえず返事をする。


「えっと…グリーンさんとライトさんで間違い無いっすか?」

一応、確認…なんせ毎日会っているけど初対面だからね。


「あ、はい…グリーンです。」

「ライトっす。」

大の大人二人が足を揃えて、直立して名を名乗った。

本名ではないけどね…

まぁ、本名を名乗られても誰?ってなるけど。


「まぁ…よろしくっす。」

普段は…っす。なんて話し方はしない。

これはゲーム内で、ブロッサムキャラに成りきっている時にだけ話す言葉遣い。

だけど…現実世界でも、ギルドメンバーと会うと自然とこの言葉使いになるのね。


そう考えると何だかおかしく感じて少し笑ってしまった。


「あれ?何かおかしかった?私達、イメージと違ったかな?」

「いや…つい"ライトっす"って言っちゃったけど、ふだんの言葉使いとは違うから。」

グリーンさんは冷静さを取り戻したようだけど、ライトさんはまだ何かおかしい様子。

もう、オロオロした感じがどうにも可笑しい。


「いえ、二人共、想像通りだったっす。」

あたしはニコリと笑った。

あれ?他人に、しかも初対面の人に、こんなに笑顔を見せる事が出来るなんて…

あたしが変わったのかな?それとも…ゲーム内での友人は…現実世界でも友人って事なのかな?


「てっきり男の子だと思ってたから、本当びっくりよ。」

「そうだよ、てっきりゴッツイ体の男が来ると思っていたよ。」

グリーンさんとライトさんも笑いながら言う。

うん、ゲーム内と同じ…優しそうな人達だな。


「ブロッサムはボクの理想っす。あんな風に強くなりたいんっす。」

うん…アカウントを作る時、そう思いながらブロッサムというキャラを作り出したんだった。

あの時は…

誰かにイジメられたりしても、ぶん殴ってやる。

なんて思っていた。

そうなりたいと思って、腕力が強そうなキャラにして…職業も武道家にしたんだ。

けど、今は…体は強くなっていないけど…心は強くなった気がする。

こんな風に思えるようになれたのは、ギルドの皆んなのおかげ。

あと、お姉ちゃんと真琴さんのおかげ。


あれ?


あんな帽子とメガネ持っていたっけ?

少し離れた場所にお姉ちゃんが居るのが見えた。

変装して見に来てくれたのか。

心配してくれて…にしても、変装も上手だわ。今まで全然、気がつかなかった。


「えっと、今日のプランっす。」

そう言いながら、お姉ちゃんに教えて貰った旅行プランを二人に提示した。


「お、流石、地元民…嬉しいわー。」

「あ、このお店とか(みどり)、好きそうじゃないかな?」

二人でメモ張を見ながら相談している。


うん、お似合いの二人ね。

少し前、喧嘩していた時はどうなるかと思っていたけど、全然、仲良しだわ。


「よし、決めた…まずはこのお店に行きましょ。」

「ブロッサムさんには奢るからな。」


「いえいえ、ちゃんとお小遣い、持ってますから。」

流石に奢って貰うのは悪い。

と、思ったけど…結局、お金は全部出して貰った。


ランチに行った後は、定番の観光名所から少しマニアックなお寺。そして甘味処を訪れた。

途中、ゲームの話やウインドさん、ムーンさんの話もした。

京都駅まで来てくれていたお姉ちゃんは、いつの間にか居なくなっていたな。


うん、京都って…楽しいのね。

10年以上住んでいたのに、こんなに楽しい気分で街を散策したのは初めてだったかも知れない。


そして、ブロッサムの正体を明かすのも…なんだか面白かった気がする。


もし…ウインドさんにブロッサムの正体を明かしても、ちゃんと受け止めてくれるかな…

~~~~~~~


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