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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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洞窟にて〜風斗

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

驚いた…まさか尼子夕凪(あまこゆうな)が本当にイブニングさんだったとは。

文化祭が終わった後、情報掲示板を見たら尼子の写真は消えていた。


ホッとすると同時に掲示板に無断で画像をアップした親衛隊の水野に対して怒りと憤りを感じる。


まぁ、俺には水野を裁く権利は無い。

あとは、尼子に…イブニングさんに任せるか。


「ちょっと…何、辛気臭い顔をしてるのよ。」

あぁ…そうだった、隣の席に座る三好月代(みよしつきよ)もオンラインゲーム"サウザントフェアリー"のプレイヤーの一人だったな。


「これが俺の普通の顔だ…文句があるなら親に言ってくれ。」

三好はゲームをやるキャラじゃなかったと思う。昔から太陽の下で走り回るのが、好きな子だった。

完全に陸上部を辞めたとの噂を耳にした。

コイツは好きだった事を途中で投げ出すようなヤツじゃない。

ましてやスポーツ推薦枠で、この学校に入学していた筈だ…あっけらかんとした顔をしていたが、足の怪我が予想以上に悪かったのだろう。


「そうかな?昔はもっとマシな顔してたわよ。その辛気臭い顔は、親が作ったんじゃなくて、今のアンタが作ったのよ。」

まったく、訳の分からない事を言う。

まぁ、三好が俺の顔の事をどう思っているかは、どうでも良い話だ。

少しでも足の怪我のことを心配した事を俺は後悔した。


「あー、そうかもな。俺はお前と違って悩み事があるんでな。辛気臭い顔になってしまうんだよ。」

三好と話をしていると、つい嫌な言い方をしてしまう。

一体、何故なのかは分からない。

が…先に文句を言ってくるのは、向こうからだから仕方がない事だ。


「悩み事なら、あんたの100倍あるわよ。」

ため息混じりで答える三好。

まぁ、演技でも無いだろう。


「そうだな…頑張って勉強しろよ。」

実際、三好が何に悩んでいるかは知らんが、無事に進学出来るかを心配している事は確かだ。


「くっ…」

声なのか何なのか分からないような…悔しそうな音を発する三好。


雑音も消えたので、これでゆっくりと考え事が出来る。


三好もプレイヤーだが、サウザントフェアリーの登録者数は数万人いると聞いている。

ゲーム内で偶然に出会う事など無いだろう。


それよりも尼子との向き合い方だ。

相手はトップギルドのマスター。

これまでも何度と顔を合わせてきており、今後も出会う事があるかも知らない。

向こうからは、俺のプレイヤー名などは分からないが…なんかやりにくい気がするな。


〜〜〜〜〜〜〜〜-〜


「ウィンドさん、ちわっす。」

先にインしていたブロッサムさんと挨拶を交わす。


「イブニングさんの情報は、やっぱりデマだったみたいっすね!画像が消えたって掲示板で盛り上がっていたっす。」


「あー、消されていたね、どこの誰だか知らないけど、こんなゲームのネタに使われて可哀想な話だ。」


「そうっすよねー、でも…なんかあの女性、見覚えがあるんすよねー。」


「どこかのアイドルとかに似てるとか?俺は詳しく無いから分からんが。」


「美人さんだったっすからねー、テレビか何かで見たのかも知れないっす。」

ブロッサムさんが、誰と見間違えているかは分からないが、まさか尼子夕凪を知っているって事は無いだろう。


「こんばんはー。」

ログインして来たムーンさんと挨拶を交わす。

うん、ムーンさんが来ると、やはり心が穏やかになるな。

おおらかな、この雰囲気が良いんだよな。


「さて、今日はいよいよアースドラゴンと戦う日だ。ライトさんとグリーンさんがまだだけど向かおうか。」


「了解っす。」

「作戦、上手くいくとイイネ。」


俺たちが考えたアースドラゴンのスキル"アースクエイク"

に対抗する作戦。

それは水魔法を使う事だった。

水の柱を足元に作り、宙に浮き、地震から難を逃れるという作戦。

昨日、実際に試してみたけど浮き上がる事は実証出来た。

その間、近接攻撃は出来ないが、試してみる価値はある。


「水魔法を得意とするライトさん次第の作戦っすね。」

「あぁ、アースクエイクが来る直前に魔法を仕掛けないとならないから見極めが難しいと思う。」

「みんなで声を掛け合っていきましょうよ。」


アースドラゴンが住む洞窟に向かい進みながら、道中のモンスターでもレベル上げを行う。


今回、アースドラゴンと対峙するのは、レベル上げが目的。途中離脱となると経験値の獲得はゼロだ。


「こんばんはー。」

「お、もうこんなに洞窟の近くまで。」

グリーンさん、ライトさんと挨拶を交わす。


「はいー、装備の確認、お願いしますね。」

5人揃い…数ヶ月前に偶然に見つけた洞窟の前までたどり着いた。


「あー、緊張するわねー。」

「うん…前回を思い出しちゃうわ。」

グリーンさん、ムーンさんが体を震わしている。

そう、前回の対戦では手も足も出なかった。

そもそもアースドラゴンとプレイヤーが対峙する事は、まだ時期早々だったのだろう。

今もアースドラゴンの情報は、まったく出回っていない。


「ライトさん、水魔法でアースクエイクを無効化出来なかったら、即離脱しよう。」

「あぁ、テレポートのアイテムは装備した。ウィンドさんの指示じゃなく、俺の判断で使用する事にするな。」

ライトさんも、かなり緊張しているようだ。


「じゃぁ…行くっすかね!」

「あぁ…行こう!」


俺たちは、ゆっくりと洞窟の中へと歩みを進めた。


確か…割とすぐにアースドラゴンは居た筈。


「そうそう…こんな姿だったすね。」

ブロッサムさんが口にすると同時にサポートフェアリーが"たいへん、たいへん。"と騒ぎ出す。

ランクが高いモンスターに出会った時の警鐘だ。


「ぐおおおおお〜。」

俺たちの接近に気がついたアースドラゴンの遠吠えが、洞窟内へと響き渡った。


「狂戦士…バーサクモード!」

「武技…爆裂連打(ばくれつれんだ)!」

「棒術…三連突(さんれんつ)紅刃(くれは)!」

上級職のブロッサムさんが体を光らせながら中央から突撃。

左から格闘家のムーンさん、右から棒術師のグリーンさんが攻撃を加える。


「侍技… 弓撃弦月(ゆみげきげんつき)!」

俺が習得した上級職"侍職"は遠距離と近距離、どちらも優れた能力を発揮する。

一旦は、遠距離から弓にて攻撃を放った。


「ぐわぁ〜」

アースドラゴンの口からは、叫び声が発せられる。


「よし、効いてる!」

ライトさんが拳を握りながら叫んだ。

前回、対戦した時は攻撃を加えても、ほとんどダメージを与える事が出来なかった。

けど…今の俺たちは格段に能力値が上がっていた。


アースドラゴンがその巨大な4本の足を上下に動かし始める。


「アースクエイク…来るぞ!」

ライトさんはそう叫ぶと早速、魔法詠唱を始めた。


前衛の3人はドラゴンから離れて身構える。


「ウォーターピラー!」

ライトさんの水魔法により、俺たち5人の足元にそれぞれ水の柱が作られた。


「練習通りだけど…さて、どうなるか。」

俺はボソリと呟いた。


ズドンズドンズドンと地響きが鳴り響く。

大きく揺れ動く地面。


だが…大丈夫。

水の柱の中は揺れているようだが、その上に居る俺たちは、まったくダメージを受けない。


「よし、成功だ!」

ライトさんがガッツポーズを作った。


「次、尻尾の攻撃が来るかも!」

前回の対戦ではアースクエイクにより、体制を崩した俺たちを薙ぎ払うように尻尾の攻撃が来た事を思い出す。


「分かった!」

前衛の3人から返事が来た時、やはりアースドラゴンは半回転して尻尾を振り回す。


と、同時にムーンさん達は上手に水柱から飛び降りて、尻尾による攻撃をかわした。


「よし!攻撃再開だ!」

俺はそう叫ぶと、先程と同じく弓矢を引いた。


アースドラゴンの混乱攻撃からの尻尾攻撃は強烈。

しかも防御力も高い…が、動きは遅い上に単調なので、見切る事は容易(たやす)かった。


何度も同じ攻撃と水柱による回避を繰り返す。


「よし、もう少しだ。ウィンドさん、トドメに移ろう。」

ライトさんの後押しにて、俺も前線へと走り出した。


ギルド"永遠の風"の総攻撃だ。


「水魔法…ビックウェーブ!」

背後からライトさんが魔法をぶっ放す。

今回、最初の攻撃魔法だ…これがドラゴンに当たる事でライトさんにも経験値が手に入る。


「侍技… 新陰流!」

俺も最初の近接攻撃を加えた。


「ぐおおおぉぉぉ。」

叫ぶドラゴン…よし、あと一息だ。


「棒術…トルネードロッド!」

「武技…ダブルボム!」

グリーンさん、ムーンさんの攻撃が当たった瞬間、アースドラゴンは膝を崩した。


ドドドドーン!

そのまま右側へと倒れるアースドラゴン。

赤色だった目は黒色へと変わった。


"パパパパーン♪"

レベルが上がった事を知らせる音楽が5人全員から流れる。


「え!?2つもレベルが上がったわ。」

「やった!レベル50達成よ!」

グリーンさんとムーンさんが喜びの声を上げた。


レベル50達成…上級職へと転職出来る条件を満たした事になる。


「ウィンドさん、ありがとう!」

ムーンさんは俺に駆け寄ると、そう言葉を述べた。


「ムーンさんが、頑張ったからだよ。」

俺は心が暖かくなるのを感じた。

~~~~~~~


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