文化祭~月代
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
「え?」
一体、どういう事なの?
この画像…夕凪じゃないの…
オンラインゲーム”サウザントフェアリー”の攻略掲示板に掲載された画像は、どこをどう見ても私の親友である尼子夕凪。
しかも、夕凪が筆頭ギルド”幻の兔”のギルドマスターである”イブニングさん”だとされている。
画像は、夕凪のメイド服姿…これ今日の文化祭で撮られた画像に違いないわ。
誰が、こんな写真を撮ったのよ。
ネットに載せるなんて…最低!
こんな非常識な事、絶対に許されないわ!
昨日の文化祭は一般開放されていなかったから、学校内の生徒の仕業?
もしかして…先生とか?
怒りの感情が込み上げてきて、体が熱くなる。
『夕凪に連絡しないと…』
スマホを手に取って、文章を打とうと思ったけど…すぐに指が止まった。
ちょっと待って…
夕凪がイブニングさんって本当の事なの?
それが本当だったら?
そもそも夕凪の写真がオンラインゲームの掲示板に載ってるって…伝えるべき?
まったく関係がないって事もあるし…
『ん?何の話??』とか言われかねないわ。
あー、私はどうしたら良いのよ!
分からない事が多すぎるわ。
一度、落ち着こうと思い、先程入れた紅茶を一口、口に含む。
「ふぅ~」
ギルド”永遠の風”のみんなに相談しようかしら?
ウィンドさんだったら、何か良いアイデアを見出してくれるかも?
でも、詳しく伝えたら私とイブニングさんが友人だとバレてしまうわ。
本当の話だったら…って事だけど。
私の素性まで…ある程度、分かってしまうかもしれないし、リスクが高いな。
悶々とした中、夕凪の画像を見つめながら…いつの間にか眠ってしまっていた。
「朝じゃん!」
あーぁ、レベル上げしたかったのにな…
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さて、文化祭2日目か。
「月代ちゃん、おはよう。」
うん、やっぱり夕凪はまったく普通の様子だわ。
掲示板の書き込みには気が付いていないようね。
そうよね、サウザントフェアリーをプレイしていなかったら、あんな掲示板なんて見ないわよね。
「ん?月代ちゃん、どうかしたの?」
「なんでもないわ。喫茶店、お互い頑張ろうね!」
「ふふふ…3組の純喫茶には負けないわよ。」
「こっちだって、4組のメイド喫茶には負けないんだからね!」
今のこの態度で分かったわ。
やっぱり夕凪はサウザントフェアリーをプレイしていない。
夕凪がイブニングさんだなんて、真っ赤な嘘よ。
あー、それにしても夕凪の画像をネットの掲示板にアップするなんて…許せない。
イブニングさんが関係が無い話でも、許される行為じゃないわ。
昨日の夜と同じように、私は体を熱くなるのを感じた。
「月代ちゃん、さっきから肩が震えてるわよ、体調が悪い?」
「んん、大丈夫。ちょっと…怒りが込み上げちゃって。」
「何か、嫌な事でもあったの?」
「えーっと…昨日、一日 風斗がバックレたのよ。」
「ふふふ…風斗らしいわね。仕事しないなら、私のところに遊びに来てくれたら良かったのにぃ。」
「居ても居なくても変わらないけどね…なんか腹が立つのよ。」
本当は夕凪の画像をアップしたネットユーザーに怒りを抱いていたんだけど…風斗のせいにした。
昨日、ヤツが仕事をサボっていた事に間違いはないから問題ないわ。
風斗は夕凪のクラスに行っていないとなると、風斗は”白”。
まぁ、風斗はネット掲示板に夕凪の画像を載せるような陰険な事はしないわね。
「じゃ、月代ちゃん…時間があったら今日も遊びに来てね。」
「うん、夕凪も良かったら遊びに来てね。」
今日も高校生活で大事なイベント"文化祭"
気持ちを切り替えて、ちゃんと楽しまないとね。
「おい、風斗。昨日はどこに行っていたのよ。」
早々に、問題児と出くわしてしまったわ。
頑張ろうと思っていた矢先に、やる気ゼロの顔を持つ風斗に出会うと、こっちのやる気が吸い取られてしまうような気持ちになるじゃないの。
思わず、口調が荒くなってしまうのは仕方がない事よ。
「ちょっと、旅行に…」
風斗の返答に肩が震える。
ダメだわ…掲示板に書き込んだヤツ以上に怒りを覚えるわ。
何とか風斗にウエイター役をやらせたけど…
「はぁ。」
イケメンだったら無愛想でも問題無いけど…アレでは売上に響くわね。
「もうちょっと愛想よく出来ないものかなー。」
「ん?こうか?」
ニヤリと笑う風斗の顔は…
「不気味でしか…ないわね。」
「俺の満面の笑顔に向かって、なんて失礼な…」
私は風斗に裏方に行って貰う事にした。
まったく…使えない奴ねぇ。
土曜日の今日は一般開放の日。
学校外からもお客さんが来ていて忙しい。
風斗の手でも借りたい所だったのに…
しばらく忙しく働いていた所に、クラスの男子4人が戻って来た。
交代制にはなっているけど、この子たち…今の休憩の班だったかな?
「一条のヤツ…一体、どうなっているんだ?」
ん?一条…って、風斗の事?
少し聞き耳を立ててみる。
「なんで夕凪様は、あんなヤツと仲良くお話をされるんだ?」
あー、噂の夕凪の親衛隊とやらね。メイド喫茶に行っていたんだわ。風斗も行っていたって事ね。
「ほんと、顔、知能、運動能力、すべてにおいて、いたって普通のヤツじゃないか。」
うーん、顔はともかく、知能はなかなか高いと思うけどな。
「それより、夕凪様のお写真、ちゃんと撮れたか?」
「あー、バッチリだ!」
ん?ちょっと待て…写真?
「キミたち、何してたの?」
私は親衛隊4人組を呼び止めた。
「え?何って…ちょっと隣のクラスのメイド喫茶に」
「視察ってヤツだ。」
「分析して、対策を練るのだよ。」
「崇高なる職務をまっとうしていただけだ。」
とぼけた顔をしながら、4人は口々に適当な事を言ってくる。
この様子からすると…サボって行ったな。
いえ、違うわ。問題は写真よ…
「ちょっと、スマホの写真を見せなさい。」
「あ、いや…それはちょっと。」
「何の権利があって、そんな事を。」
うん、明らかに怪しいわね。
「私は夕凪の親友よ…あんた達の、ある事、ない事、ない事、それに…ない事も、話すわよ!」
「ちょっと、ない事の方が多いじゃないですか!」
「これは…脅迫ですよ。」
ええ、脅迫よ…こうでも言わないと見せないでしょ。
「問題が無いなら見せても良い筈よ。」
4人組は何やら相談をしたかと思うと、一人の子がスマホの画像フォルダを見せてきた。
「何の問題も無い。俺達は夕凪様の美しい姿を画像に納めただけだ。」
いや、盗撮でしょ…これ。
明らかに夕凪の目線は違うところにあるじゃないの。
問題が有りすぎるわ。
何枚もの画像を見ていく…
あれ?この写真は…
「ちょっと、この写真…一体、どういう事なの!?」
スマホの画像の中で見つけたのは、例のサウザントフェアリーの攻略掲示板に貼られた写真だった。
ところが私にスマホを渡した生徒はキョトンとした顔をしている。
あれ?もしかして…あの掲示板の事を知らない?
「ごめんなさい、ちょっと外しますねー。」
喫茶店の仕事をしているクラスメイト達に謝りを入れると、私は4人組を連れ出して、隣のクラスへと入った。
「夕凪…ちょっといい?」
夕凪はちょうど、風斗の接客をしている所だった。
「どうしたの月代ちゃん、怖い顔して。」
「この写真、見て。」
私は夕凪に親衛隊のスマホの画像フォルダを見せた。
「あらあら…いつの間に、こんなにも写真を撮ったのかしら。」
そして夕凪は例の写真を見て…指を止めた。
笑顔を見せるその姿は"イブニングさんのリアル"と題名がつけられて掲示板に貼られた画像だ。
「ちょっと…この写真…消しなさい。」
夕凪は、振り返ると4人組を睨みつけた。
それは…私が見た事もない夕凪が怒った顔だった。
この反応は…やっぱり夕凪がイブニングさんって事?
「これらの写真を今すぐに消しなさい。」
え?いつもの夕凪の話し方じゃない、声も…違うかのように聞こえる。
「はい、消します。消しますー。」
何とも情けない声を出すスマホートホンの所持者。
「待て。その画像をネット掲示板にアップしたのは誰だ?」
急に立ち上がり、声を上げたのは…夕凪と共にスマホを覗き込んで見ていた風斗だった。
え?どうして風斗がサウザントフェアリーの掲示板の事を知っているのよ…
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