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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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掲示板〜真琴

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

『あの掲示板の女性は、私、"イブニング"ではありません。あんなに美人だったら嬉しいですね。当ギルドにおいては偽情報に翻弄(ほんろう)されないように。』


「ねぇトゥルース、こんな声明文で良かったかしら?」

「はい、問題無いかと。」


昨日、オンラインゲーム"サウザントフェアリー"の裏掲示板にイブニング様のリアル画像が無断掲載された。


その対策として、早朝からイブニングさんと対策会議を行っている。


このゲームで筆頭ギルド"幻の兎"のギルドマスターであるイブニング様は現役の女子高校生である。という噂は以前からあった。

そんな中、学校の教室と思わられる場所でメイド服の姿をした画像が掲載されたのだから話題にならない訳が無い。

しかも、まるでアイドルかのような美人。


裏掲示板と言っても様々な攻略情報が載っている事から、とても人気がある。

私も毎日のようにアクセスして良い情報が無いかのチェックをしていた所に、思いもしない情報が出てきて驚いた。


「あの掲示板にも書き込んだ方が良い?」

「いえ、アップした人物を刺激しない方が良いでしょう。意地になって他の情報を出される可能性もあります。」


画像をアップされた昨夜は、だいぶ取り乱していたけど、落ち着いたようね。

本当の画像である事を告げられたが、困惑したイブニング様には、掲示板の画像は偽情報だと貫く事を勧め、そうする事に決めた。

流石イブニング様…落ち着いた今朝は、凛とした態度が戻っている。


「じゃぁ、ウチのギルド内掲示板だけにアップしておくわ。」

「はい、偽情報だと広まるように自分が細工します。」


「ありがとう、頼りにしているわ。にしても、あの画像は昨日の文化祭1日目に撮られたって事ね。」

「話を聞く限りそうですね、その場に来ていた人物かと…イブニング様、心当たりはありませんか?」


「沢山、来ていたけど…昨日は学校内開催日だったから、同じ生徒である可能性が高いわね。」

「何故バレたのかも問題かと思います。ご友人やご家族に"サウザントフェアリー"をプレイしている事を言っていないですか?」


「いえ、まったく…親友にも言ってないわ。」

そう、イブニング様は親友が居るのね。

私には親友と呼べる人なんて居ない、まぁ…普通は居るものか。

「そうですか…だとすると、一体誰がどうやって。」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


さてと…お腹が空いたわね。

一階の台所へと降りて行き、ラップで覆われたお皿を一つ一つ電子レンジの中へと並べていく。

静まり返る空気の中で、レンジの稼働音が一段と大きく感じた。


『ガチャ…』

ドアを開ける音で振り向くと妹の三佳(みか)の姿があった。


「あぁ…」

「うん…ごはん。」


会話とも言えないような会話を交わす。


「今日はレッスンに行かないの?」

「うん…なんとなく体調が悪くって…」


三佳とは、以前よりは関係が良くなったとはいえ、普通の姉妹のような雰囲氣では無い。


「お母さんは?」

「事務所に用事があるとかで早くから出て行ったわ。」


事務所というのは三佳が所属している芸能事務所の事だろう。私はどこにあるのかも、どんな所なのかも全く知らないけど…


「体調は大丈夫?」

「そんな大したことは無いから…飲み物を取りに来た。」


「あぁ、そう…」

そう言うと私は少し移動して冷蔵庫への道を開けた。


「あの子とは、ちゃんと問題なくやっているから。」

横を通り過ぎる時に三佳はボソリと呟いた。

"あの子"とは…三佳がいじめていた私の友人である佐竹咲華(さたけさきか)ちゃんの事だろう。


「そう、良かったわ。」

色々とあったけど、三佳が悪い子じゃない事は分かっている。


「ごはん、家族と一緒に食べたら良いのに…」

ゆっくりとコップに飲み物を注ぎながら三佳は言った。


「うん、また一緒に食事出来たら良いね。」

思いもよらない言葉に戸惑いながらも、そう答える。

三佳が…私となんか一緒に居たくないって言っていたのじゃなかったかな?


「あの子…私と目を合わせて話して来たのよ。いつもオドオドとして…まるでお姉ちゃんみたいだったのに。」

「え?まるで私?」


「だから…文化祭の準備の時に咲華は堂々と自分の意見を言って来たのよ。」

三佳は少し語尾を強めて言葉を発した。

「咲華ちゃん…強くなったのね。」


「お姉ちゃんも…あの子を見習いなさいよ。」

「うん…私も強くなれたら良いね。」

苦笑いを浮かべながら答える。


「ネットに色々と書き込まれて…嫌になっていたの。」

「え?ネットに?」 


「昔の話よ。」

「昔?」

三佳は一体、何の話をしているのだろう。


「そう、だから身近に当たれるお姉ちゃんに当たっていただけ…お姉ちゃんの事が嫌いな訳じゃ無かったのよ。」

「もう…人をストレスの吐口にしないでよね…」


「だから…夕飯くらいは、一緒に食べて…」

「うん…分かった。」

返事をすると、自分でも不思議に思える程、涙が次々と溢れ出てきた。


「もう、泣かないでよね、情けない。」

「三佳だって…」

文句を言いながらも三佳の目からも涙が流れている事が分かった。

必死に上を向いて誤魔化そうとしている。


三佳と、こんなにも長く話せた事が嬉しかった。

これも咲華ちゃんのおかげかな…


"ネットに色々と書き込まれて"という、さっきの三佳の言葉を聞いて、今回のイブニング様の事を思い出した。


「ネットって…嫌なところね、」

「気にしないようにするまで時間がかかったわ。見ないようにするのも大変。ほんと、ストレスの固まりになるわ。」


「ねぇ…ネットの悪い情報って、一体どこから来るのかしら。」

「ネットの情報は…意外と近くからが多いって聞いたわ。小さな噂がどんどん大きくなって、広がって行くって。診療の先生が言ってたわ。」


「ネットの情報は近くから…か。」

~~~~~~~


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