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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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平穏~月代

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

「あー、もう!どうしてこうなっちゃうのよ!」

心の中の叫びが実際に言葉として口に出る。


急に、運営から”上級職の存在”が発表された。


転職の方法は、まだ告知されていないけど、プレイヤー内では、この話で持ちきりだった。


もっぱら話題は筆頭ギルドである”幻の兔”の首脳陣に対して。

「”幻の兔”のギルドマスターと宰相は、運営の発表の前に上級職だったらしい。」

「もしかしたら、”幻の兔”の首脳陣は運営側なのでは?」

「課金額が一定を超えると”幻の兔”のように上級職になれるのでは?」

「”幻の兔”のギルドマスターは女子高校生の体を売って運営から情報を買ったに違いない。」

運営が中途半端に情報を解禁した事もあって、おかしな噂が広まっている。


女子高校生の体を売って…って、ほんと…馬鹿じゃないの!?

そんな訳、無いじゃないの!

イブニングさんが本当に女子高校生かどうかは分からないけど、たかがゲームに体を売るなんて事ある訳ないじゃない!

ネットの情報ってなんか腹が立つわー。

あぁ…なんか…イブニングさん、大丈夫かな?


幸いな事に、私達”永遠の風”の事は話題になっていない。

上級職、二人の存在が認知されていない様子。

最近、イベントを無視してレベル上げに徹しているから、目立っていない事が大きかったのかと思う。


あー、イブニングさんの事を心配している場合じゃないわ。

自分のレベルを上げて、早く上級職にならないと…きっと他のプレイヤー達も必死になって上級職を目指す筈。

せっかく先に情報を得ているのに遅れを取る訳には行かない。


また、ハードルが高い火山に行ってレベル上げするべきなのかな?って思ったけど、ギルドマスターのウィンドさんの考えは違った。


「レベル上げの為に…思い切ってアースドラゴンに挑もうと思う。」


え?アースドラゴン!?

それは以前、たまたま見つけた洞窟に居た”超レアモンスター”であるアースドラゴンの事よね。

当時、手も足も出せずコテンパンにヤラレタ相手。

そもそもアースドラゴンの存在は私達以外の誰も知られていない…と思う。


「勝てるのかしら…?」

思わず私は、そう答えた。

あの時より私達は、格段に強くはなっていると思うけど…


「分からない…けど、きっと経験値が沢山入ると思うんだ。」

ウィンドさんは、そう言いながら力強く拳を握っていた。


「アースドラゴンの土魔法…アースクエイクへの対策が問題だね。」

「あの地面グラグラーってヤツっすね。」

「浮遊アイテムとか無いかしら?」

「どこかのゲームで見た事あったっすけど、ここでは聞いた事が無いっすねぇ。」

グリーンさんの問い掛けにブロッサムさんが答えている。


「たしか…HP1万だったっけな?」

「あぁ、以前は…俺の10倍だったけど…今は4倍だ。きっと行ける。」

「強気だね。以前のオレなら引き留めていた所だけど…行ってみようか。」

「チャレンジ精神…大事ですね!」

ライトさんの問い掛けにウィンドさんが答え、盛り上がっている。


凄い…みんな前向きだわ。

私は…やはり怖さが先に頭をよぎっている。

あの鋭い牙。

空気を揺るがすような遠吠え。

大きな足。

画面が大きく揺れ、コントロールが効かなくなった事を思い出す。


『アースドラゴンは怖いわ』と口に出したかったけど、みんなが前向きに議論しているところに私は口を開く事が出来なかった。


「とにかく、アースドラゴンと戦うには浮遊アイテムの獲得や、浮遊魔法の習得が必須だと思うわ。」

グリーンさんの声が聞こえると同時に私は賛同の声を上げた。

「はい、私もそう思います。」


以前、戦った時は私は魔法使い職だった。

でも、今は格闘家…戦うにはアースドラゴンに接近する必要がある。

そう考えると、さらに恐怖心は増した。


「じゃぁ、レベル上げをしながら、浮遊に関しての情報を探そう。」

ウィンドさんが力強く話す。


「そうっすね!このゲームに浮遊アイテムがあるか分からないっすけど…」

「アースドラゴンは実際に居るんだ、きぅと対策する為の何かがあるさ。」

少し弱気な発言をしたブロッサムさんの言葉をライトさんが、かき消した。


「ふふふ、以前のライトなら真っ先に弱気な発言をしていたのにね。」

「え?俺が?そんな事、あったかなぁ?」

グリーンさんの台詞にライトさんが動揺している。


「今はボクが一番、弱気っすね!」

ブロッサムさんが明るく笑いながらそう言って場を和ませた。

ウインドさんも笑っている。


このギルドの中で一番、弱気な考えをしているのは私だけどね。

リアルでは、強気な私なのに…


って、アレ?

私って、強気だったっけ?

誰と比べて?

強気に出ているのは風斗に対してだけ?


私…もしかして心に反して、態度だけは強気にしているのかも知れないな。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「では、文化祭の出し物を決めたいと思います。」

クラス委員長が教卓の横で声を上げた。


みんなから口々に意見が出る。


文化祭か…私は、どちらかと言うと体育会系。

委員会も体育委員だから大人しくしてよ。


「迷路なんて、どうかな?」

隣の席の風斗が手を上げて発言した。


「ええええーー!?あんたが自分の意見を言うなんて、どう言う事よ?」

驚きのあまり声が出てしまったわ。


「だって…演劇とか、合唱とか、喫茶店とか…俺、無理だから。」

迷惑そうな顔をしながら答える風斗。


「別にいいじゃない。」

そう答える私。


「迷路だったら、準備は大変かもだけど当日はゆっくり出来るだろ。」

うん…風斗らしい考えだわ。

確かに、風斗が演劇したり、合唱している姿は想像しにくいわね。


そうやって風斗とやり取りをしているウチに、いつの間にか多数決で、出し物を決める事になっていた。


私は…そうなぇ…この中なら喫茶店が良いかな。

そう思って手を上げる。


最後の意見…迷路…には、誰も賛同の挙手は無かった。

「おい、自分が出した案なんだから、挙手ぐらいしなよ。」


「いやいや、コレ、すでに喫茶店で決まりだろ。」


こうして、私達の文化祭。

クラスの出し物は喫茶店に決まった。


にしても…自分の意見を堂々と言えるようになるなんて、風斗も成長したって事かな?


あれ?そういえば…

小学生の頃の風斗って、ちゃんとクラスの中で自分の意見を伝えてたわね。


昔に戻ったって事なのかな…

~~~~~~~


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