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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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新たな試み~月代

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

フェアリーの里にある"隠し教会"にて神官ユニティに出会った。

そこで"上級職"と呼ばれるワードを知り、二つのレベル50の職業を組み合わせる事で"上級職"への転職が可能になる事を知った。


"上級職"の存在が、はっきりと分かった私は、心が踊った。

絶対に上級職になりたい…もっと強くなりたい…そう願った。


今、上級職への転職を成すため、私とウィンドさん、ブロッサムさんはレベル上げに励んでいる。

ウィンドさんの狩人、ブロッサムさんの剣士もだいぶ馴染んできた様子。

私は魔法使いのままだったけど、条件レベルに達した。


3人で昼間から遊べるのは、この3人が学生で今は夏休み中だから。

午前中はブロッサムさんが部活があるとの事で午後から集まるようにしている。

私も…本来は陸上部の部活の筈だった…怪我さえ無ければ。


先日、陸上部顧問の先生に怪我の完治が難しいと伝えた。

やっと…

するとセカンド何とかで、先生が知っている病院に行くように勧められた。

けど、まだ行っていない。

先生には悪いけど、もう、いいかな…と思ってしまっているのが正直な気持ち。


これだけ長い間、競技から離れてしまっていたら、例え完治したとしても復帰するのが大変なのは分かっている。

今の私にそれだけの気力も情熱も無い。


もう、勉強を頑張ろうと気持ちを切り替えたから。


幸い、私には夕凪という、勉強を教えてくれる心強い友達がいる。

あと…ついでに風斗も。


「ねぇ、花火大会、行くでしょ?」

昨日の午前中、その夕凪がウチに遊びに来た時に聞かれた。

コンビニに花火大会のポスターが貼られていた事を思い出す。

あ…そういえば誘おうと思って忘れてたわ。

「うん、いいね!夕凪…一緒に行こっ。」

即答で返事を告げる…すると。


「オッケー!風斗も誘うわね。」

やっぱりかー、やはりそう来たかー。

なんとなく分かっていたけど…うーん。


「ねぇ、夕凪って…風斗の事、好きなの?」

誰にも聞かれる事の無い密閉された部屋の中で、私は思い切って聞いみた。

「うん、好きよ。」

ニコリと微笑みながら、あっさりと返事をする夕凪。

なんだか、こっちが恥ずかしくなって顔が熱くなる。


「月代ちゃんも、一緒に好きになろうよ。」

「え?私?」

反射的に答えると、相変わらず夕凪はニコニコと笑っている。

夕凪…もしかして"好き"の感覚が私と違うのかしら?


いまだに男女を意識していなかった、幼馴染の頃の感覚でいるのかな?

だとしたら、今までの夕凪の言動も理解出来なくは無い。


「えっと…風斗を好きになる事は有り得ないけど…花火大会くらいは一緒に行ってあげても良いわ。」

"夕凪は風斗の事を幼馴染として好き"そう解釈する事にして、友人として花火大会に一緒に行く事を了解した。


「やった!じゃあ、早速、誘うね。」

夕凪はそう言うと早々にスマホを取り出した。

けど…花火大会となると高校の知人にも何人か出会う事になる。

風斗が言う"尼子夕凪親衛隊"とやらに見つかったらどうなるか。

おそらく身の危険を感じた風斗は断るだろう。


「行かないってー。」

うん、やっぱり…


「仕方ないね、じゃあ2人で行こっ。」

予想通りの展開に安堵しながら、私は夕凪の目を見ながら伝えた。


「うーん…ちょっと風斗の家に行ってくるわ。」

そう言いながら、すでに立ち上がったかと思うと部屋からスタタッと出ていく夕凪。

その後ろ姿に思わず手が伸びた。

夕凪…いつから、そんなに積極的になったのよ。


しばらくすると…

"ピロン"とスマホの通知音が鳴る。


「え?」

思わず声が出てしまった。


『風斗、花火大会に一緒に行くって♪』

画面上には、思いもしなかったコメントが書かれている。

夕凪ってば、この短時間で一体、どういった手段を使ったのよ。

凄いわ〜。

怖いわ〜。


「仕方ないわね、風斗と夕凪と3人で花火大会に行く事にするか。」

一人、取り残された部屋で私は呟いた。


ここまでは昨日の話。

さて、レベル上げの続きね。


19時からはイベントがあるから、それまでに頑張らないとっ。


「サーパンストスネイクっす!」

「Bランクモンスターだな、頑張ろう!」

ブロッサムさんが前へと歩み出て、ウィンドさんが弓を構えた。


「古の火神イフリート!我に荒ぶる炎を…フレイムバースト!」

まずは私の上級魔法をぶつける。

Bランクモンスターと言えども私の魔法一発だけでは倒す事なんて出来ない。


けど、この一撃で相手はHPの半分を削った。


「よし!ムーンさん、ありがとう!」

そう叫んだウィンドさんが弓を放つ。

「弓技…レインショット!」


無数の弓矢が、スネイクの頭上から降り注いだ。

「わぉ。」

思わず声が溢れる程、凄まじい。


「剣技…エレメントアタック!」

モンスター"サーパンストスネイク"は、火系の魔法やスキルに弱い。

凄く弱いという訳じゃ無いけど、弱い筈よ…確か。


よし!だいぶHPを削ったわ。

けど…ここで私が手を貸しちゃダメ。

一撃で倒してしまう事になる。

経験値獲得率が上がるラストアタックは二人に任せないと!


「あ!あの攻撃は!」

スネイクが体をくねらせる。

「毒攻撃が来るわ!」


と、私が叫んだ瞬間、ふただび空中から弓の雨が降り注いだ。


ズドドドーン!


サーパンストスネイクはゆっくりとその巨体を地面に投げ出しながら倒れた。


「ウィンドさん、あざーっす!」

ブロッサムさんが叫んだ。


「お疲れ様!ムーンさんも、モンスターの特徴を覚えてきたね!」

ウィンドさんが、私の事を褒めてくれた…うん、嬉しい。


確かに…いつの間にか色々と覚えていた。

モンスターの特徴や弱点なんて、絶対に覚えられない!って思っていたのに…成長するものね。


私がゲームにハマるなんて思っても見なかったわ。


ただ単に綺麗な絵に惹かれて始めたこのゲーム。

いつの間にか、辛かった足の怪我の事も忘れさせてくれた。

これで良かったのかは分からないけど、ギルドの仲間達…ウィンドさん、ブロッサムさん、ライトさん、グリーンさんは私の中で凄く大事な存在になった。


何だろう?

中学校の時の陸上部仲間も大事だったけど、あの子達との関係とは違う感覚。

どちらが上とかは無い。

まったく別の種類の仲間…私にとって大事な仲間。


私のギルド仲間。

仲間に会えば心を強く保つ事が出来る。

仲間と共に進めば、どんな困難にも打ち勝つ事が出来る。

仲間と共に明るい未来を語り合える。


あぁ…みんなと…会ってみたいな。

~~~~~~~


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