妹探し〜右京
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
右京~ライト 社会人(営業職)
翠~グリーン 社会人(事務職)
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
新イベント"迷子になったフェアリーの妹を探せ!"が今日から開催される。
今回のイベントも毎日19時〜1時にて開催されるとの話。
俺が属するギルド"永遠の風"は、それぞれが別行動をする事にした。
一人で行動するのにはリスクが伴う。
強いモンスターによって、対象となる妹フェアリーが囚われている可能性があるからだ。
だが、少人数ギルドである俺達は他に選択肢を見出せなかった。
しかも今回はムーンさんが居ない。
俺とウインドさん、ブロッサムさん、グリーンさんの4人で行動する事になる。
「グリーン、情報収集は頼んだぞ。」
「任せて。」
隣に座るグリーン事、細川翠。共に暮らす彼女と会話を交わす。
俺達は、まずグリーンにフェアリーの里で情報収集をして貰う事にした。
残りの3人は、フェアリーの里の周辺地域を手分けして捜索する。
比較的安全なこの地域を選んだのは、イベント初日から難易度の高いモンスターが出現する地域にプレイヤーを行かせないだろうと考えたから。
「ライトも、トマル湿原の探索を頼んだわよ。」
「おう!」
そう返事をしたものの…フェアリーなんて小さい姿、どうやって探せって言うんだ?
妹フェアリーの気配を感じたら、"各プレイヤーをサポートしているフェアリーが知らせます。"との運営からの情報だが、なんせワールドは広い。
時々現れるモンスターはEランクやDランクモンスター。
まるで弱いものイジメをするかのように瞬殺していった。
「あぁ…つまらないな。」
「こちらテポラ湖の捜索中…まったく気配無し。」
「ナマリカ草原も異常無いっす。無さすぎっす。」
ウインドさん、ブロッサムさんからのコメントが入る。
「トマル湿原も、何も無し…コレ、闇雲に探しても無理だな。グリーンさん、そっちはどう?」
そう尋ねるもグリーンからの返事は無かった。
隣を見ると真剣な表情でキーボードを打つ翠の姿がある。これは…何か掴んだな。
「フェアリーの妹は…家出!家出だわ。おばあちゃんフェアリーと喧嘩したんですって。」
グリーンの書き込みを見て、みんなが静まり返る。
おそらく、他の3人も同じ事を思ったのだろう…
”家出かよ!"
「そんで…家出して、妹フェアリーはどこに行ったんすか?」
「それは、まだ分からないわ。ここで、もう少し調べてみるわね。」
すこし呆れた風な言い方のブロッサムさんの問いにグリーンさんがそう答えた。
「あぁ、グリーンさん、よろしく頼む。」
ウインドさんは、そう答えたが俺達は一体どうしたら良いのか?
「どうする?」
一言だけ、俺は書き込むとブロッサムさんが同調した。
「これは…闇雲に探しても仕方ないっすね。」
「それにしても、イベントのタイトルは”迷子”だけど、迷子じゃないよな…家出って…」
ウインドさんが至極全うな事を言い、続けた。
「でさぁ、家出って、どういう気持ちなんだろ?」
「え?気持ち?」
イベントに登場するターゲットの気持ちって何だ?と思いウインドさんに問いかける。
「そう、妹フェアリーの気持ち。」
「ボク、妹が居ないから分からないっす。」
ブロッサムさん、ウインドさんには妹が居ないようだ。
「あぁ…妹か…」
俺には妹が居る。田舎で両親と共に暮らしている筈…とても仲が良いとは言えない関係。
「ん?ライトさんは妹が居るのかい?」
「あぁ、居る。が…妹の気持ちなんて分からないな…」
田舎にある実家を思い出す。
そう言えば…アイツを怒らせてしまった事があったな。何故、怒らせたのかは覚えていない。
そして…怒った妹は泣きながら家出した。
あの時は…俺は意地になって妹の捜索を手伝わなかった。
どこに居たのだったかな…アイツ。
母親に手を繋がれ、泣きながら家に帰ってきた妹の姿だけは思い出す。
その姿を見て、俺も泣いてしまった。
けど…『ごめん。』と、謝れなかった。
子供だったから仕方ないかもしれないが、あの時の事は今も謝っていない。
「ライトさん?おーい、ライトさーん。」
「あ…、すまない。考え事をしていた。」
無口になってしまっていたようで、二人から名前を呼ばれていた。
「ちょっと待って…ウチの妹も家出をした事があるんだ。」
「お、どこに行ってたんすか?」
なんとか当時の記憶を蘇らせる。
すると…母親の横に立つ、もう一人の大人の女性の姿を思い出した。
「あ、おばさんだ…」
「え?おばさん?」
「あーそうだ、思い出した。アイツは…妹は…いとこの家に行っていたんだ。」
普通なら一人で行けないような距離にある、いとこの家。そこに妹は行っていた。
いとこのお姉さんの事が好きだったからな…あいつ。
「いとこの家っすか!?確かに…家出なら、誰かを頼りにしている可能性が高いっすね。」
「じゃぁ…フェアリーの里の中に、まだ居るとか?」
ブロッサムさんとウインドさんが推測する。
「うーん、フェアリーの里の中には居ないようだけど…仲間のフェアリーが居る場所に行ったかもしれないわね。」
フェアリーの里で聞き込みを続けるグリーンが答えた。
仲間のフェアリー…か。
そう頭に浮かべると、俺は一人のフェアリーの姿を思い出した。
「シーボーンの街にある薬屋の店主…たしかフェアリーだったよな?」
「よし、みんなで行こう!」
「ボクが居るナマリカ草原が、その街に近いっす!」
ウインドさんの号令を受け、最も近くにいるブロッサムさんが居る草原に移動する。
”ギルドメンバーと合流する”ボタンを使えば一瞬だ。
「よし、集合完了だ。急ごう。」
他の街にもフェアリーが居るかもしれないが、頭に浮かんだのは薬屋の店主である美しい姿をしたフェアリーだけだった。
「キーワードがあるみたいなの。」
フェアリーの里で情報収集をしていたグリーンが言う。
「それを伝えれば、きっと発見出来るわ。」
海辺の街”シーボーン”
割と初期の頃に訪れる事が出来るエリアだ。
薬、道具類が充実していて、とても便利な街だが、それは初期の頃の話。武具類はイマイチなので最近はあまり足を運んで居なかった。
「店主さん!」
”シーボーン薬店”と名付けられた店に入ると同時にウインドさんが叫んだ。
美しい羽根の生えたフェアリーが出迎える。
「どうかされたのですか?そんなに慌てて。」
すると、画面右側のサポートフェアリーが声をだした。
「接近中、接近中、妹フェアリーに接近中!」
隣に座るグリーンと頷きあった。
そして、グリーンが店主さんに言葉を伝えた。
「おばあちゃんが悪かった。戻っておいで。」
どうやら、これがキーワードだったらしい。
そう伝えたところ…店主フェアリーはニコリと微笑み。
ボンッと煙が出たと思ったら、小さなフェアリーが現れた。
「じゃぁ…戻ってあげるわ。」
随分と上から目線での発言…だが、探していた”妹フェアリー”である事に間違いは無かった。
テレテケッテンテーーン♪
『ミッションコンプリート』と、画面上に大きく文字が浮かぶと共に軽快な音楽が流れた。
「やったっすね!」
「あぁ、グリーンさんのおかげだ!」
オレ達4人は手を取り合って、喜びあった。
「フフフ、みんなのおかげよ。」
「それにしても妹フェアリーの喧嘩の原因は何だったんだい?」
笑うグリーンに対して俺は質問した。
「あー、おばあちゃんが”妹フェアリー”が大事にしていた、おもちゃを捨てちゃったんだって。」
「なんだ、そんな事かー。」
そう返事をした時、脳裏に過去の記憶が蘇った。
あぁ、そうだ…俺はアイツが大事にしていた、おもちゃを壊してしまったんだ。
なのに何故、謝らなかったのだろうか…妹に『ごめん。』と謝る事がそんなに難しかったのか?
今度、実家に帰ったら妹に謝ろう…アイツはもう、覚えていないかもしれないが…
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読んでいただきありがとうございます!
ちょっと更新間隔が空いてしまいましたー
基本的に水曜日と日曜日の更新を心掛けています。
どうぞ、よろしくお願いします♪




