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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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試験前〜風斗

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー


一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

右京~ライト 社会人(営業職)

翠~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー


尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

6月も、もう直ぐ終わりに近づこうとしていた。

相変わらず雨の日が多い…梅雨だから仕方のない事だが、やはりジトジトと肌にまとわりつくような湿気と雨のコラボは不快でしかない。


さて…来週からは期末試験というヤツだ。

まだ一年生の1学期、とりあえず平均値以上を取れれば良いかと、のんびり考える。

何よりも試験中は早く帰れるのが嬉しい。


期末試験直前とあり、三好(みよし)の勉強会にも気合いが入る…ようだか当の本人よりも尼子(あまこ)の方が張り切っているように見えた。

それにしても、いつからオレはこんなにも義理堅くなってしまったのだろうか。いくら幼馴染の為とはいえ、中学生の時はほとんど絡みは無かった筈だ。小学生の頃からの過去を振り返ってみるも答えは出なかった。

とにかく三好を放置しておくと、赤点必死なので仕方なく付き合う事にする。


危うくオレの家でという話になったが、全力で否定して三好の家を勉強会の会場へと導いた。

今日は国語という事だか…残念ながらオレは国語はあまり得意では無い。


「あ、私…国語は得意なの。」

オレが国語は苦手だと伝えると、尼子が言い出した。


ん?待て…それならオレは必要なかったのでは?と思い、その気持ちを素直に口にした。

「尼子が居るなら、オレは必要ないんじゃないか?」


風斗(ふうと)も国語が苦手なら私が教えるわよ。」

確かに…国語だけは平均値を上回る自信が無かったので、有り難い申し出なのかもしれない。


「あ、あぁ…よろしく頼む。」

正直に言うと国語の勉強の仕方はよく分からなかった。数学も英語も歴史も答えはある。教科書にある太文字が答えで、それにどう導くかが試験問題だ。けど…どうも国語だけは答えそのものを見つけにくかった。


月代(つきよ)ちゃん…国語も基礎がなってないわねぇ。」

「え?夕凪(ゆうな)、国語にも基礎ってあるの?」

三好の返答にオレも隣で(うなず)く。


「何というか…コツね。試験用のコツよ。」

三好と二人、尼子の説明を聞きながら勉強した。


「ふふふ…二人とも、良く出来ましたー。」

尼子がキラキラとした笑顔で言う。人を褒めるのが上手いな。


何だろう?尼子は人の心に入り込むのが上手いと感じた。

昔はそんな事は無く、ただただ大人しい子だったと思うが…

なんとなくだが、オレも上手い事コントロールされているような気がする。


ダメだ…意識しないようにしないと。

本当、尼子は"小悪魔"という言葉が似合う。男子達からモテモテな理由が何となく分かる。


「ところで風斗…先週、話してた好きな子との進展はあった?」

「あぁ、そんな事、話したか。」

休憩にとお菓子を出された際に問いかけられた尼子の言葉に対し、不自然に返す。ホント、こういう話は女子の大好物だな。


「話てたわよ…で、どうなの?」

「特に…何も無い…」

ムーンさんとは、ただ一緒にゲームをするだけ。本名も年齢も、何処に住んでいるかも知らない。

もしかして…結婚しているかも…好きになってはならない人かもしれない。


「ちょっと…何を複雑な顔をしてるのよ。恋愛相談なら乗るわよ。」

満面の笑みを浮かべて話す三好…

「いや。三好に恋愛相談なんてしても解決しないだろ。」


「風斗よりマシだと思うわよ…ほら、恋愛相談…してみなさいよ。」

いやいや…尼子はともかく、三好に恋愛経験があるとは思えない。

「お前は…陸上バカだろ?」


「失礼ね!私も女よ、恋愛相談くらい乗れるわよ。」

血相を変えて言う三好。いや…絶対に信用出来ないな、コイツは。


ニヤニヤした顔で迫る二人を何とか退けて勉強へと戻り、今回の試験範囲を終えた。他の教科も軽く出題範囲と傾向を確認し合い、あとは各々で。と、なり解散する。


ーーーーーーーーーーー


さて、今日は新しいイベントの発表日だ。

帰宅後、すぐにPCの電源をつけてオンラインゲーム"サウザントフェアリー"へとログインした。


珍しくオレより早くムーンさんがログインしていた。

日曜日だから休みだったなかなか?

「ガチャで新しくゲットした"守りの腕輪"、凄く良いです!」

嬉しそうに話すムーンさん。

昼間の勉強会の時に考えていたムーンさんのリアル。つい意識してしまう。

「腕輪の装備レベルが上がると、もっと耐久値が上がりますよ。」

ムーンさんのリアル事情はとても気になるが、"運営チームからの提言"として"個人情報の取り扱いには十分に注意する事"とある。


今のこの関係が悪い方へと転じてしまわないように。

そう考えるとオレはムーンさんの事を何も聞けなかった。


二人で街の公園で佇みながらゲーム内の事を話す。

「ところで、ウインドさんは筆頭ギルドのマスターさんの事をご存知なのですか?」

「あぁ、このゲームを始めて最初に所属したギルドが"幻の兎"だったんだ。」


「そうなのですね、でも…どうして筆頭ギルドから抜けたのですか?」

「うーん、ちょっとマスターのイブニングさんの考えについて行けなくなったというか…」


そう話しているとブロッサムさんがログインし現れた。

「ウインドさん、ムーンさん、ちわっす!」

「ブロッサムさん、こんにちは。調子はいかが?」


「良いっす!新しくゲットした、この武器…最高っす!」

ブロッサムさんは、武道家職用の新限定武具"ビックバン"を叩き合わせながら笑みを浮かべた。

たくましい体に黒いグローブが男らしさを際立たせている。


その後、ライトさん、グリーンさんとも合流し、運営からのイベント発表を聞く。

『発表します…新イベント"迷子になったフェアリーの妹を探せ!"』

運営からのイベント発表の声が街中に鳴り響いた。


「捜索系のイベントか。」

「面白そうね。」

ライトさんとグリーンさんが向き合って言葉を交わす。


『一日に一体の迷子フェアリーが、ワールドの何処かに出現します。その子を皆さんで捜索してください。』

『迷子フェアリーは各ギルドにつき、1日1体が割り当てられます。毎日、出現する迷子フェアリーを何体、確保出来たか?その確保数がギルド順位となります。』

『期間は7月2日から7月15日までの2週間!」


高らかに宣言された新イベント企画。

1日に一体か…複数体、出現されるよりマシだけどやはり人数が多いギルドの方が得だな。


あ、前半の数日は期末試験と重なるな。

そう考えているとムーンさんが困った表情を浮かべながら告げた。


「すみません、私、一週間くらい忙しくって。しばらくログイン出来ないです。」


そうなんだ…人数が多い方が有利なイベントなのに残念だな。

ん?もしかしてオレと同じように試験?ムーンさんって、オレと同じ高校生なのか?


「もしかして…試験?」

つい、聞いてしまった。リアルの事を聞くのは御法度。


「あ、はい…そうです。」

魔法使い特有装備である茶色いとんがり帽子の端を持ちながらムーンさんは答えた。


「ちょっと、ウインドさん…リアルの事を聞くのは禁止事項だよ。」

「あ、スミマセン…つい。オレも試験日と重なっているので。」

ライトさんに注意を受けたオレは、ムーンさんに対して言葉を滑らせてしまった理由を伝えた。


「え?ウインドさんって…ニートじゃなかったのですか?」

「へ?」

何故、オレがニート?ムーンさん、その情報は一体どこから?


「ウインドさんも学生なんっすね!ボクもっす!」

ブロッサムさんが笑いながら言った。


「私は社会人よー。」

グリーンさんまでカミングアウトする。


「おいおい、みんな…ダメだって。」

ライトさんが困った顔をしながら、制止するもすでに遅し。

ライトさん以外は全員、伝え合ってしまった。


「ネットは怖い世界だ。むやみに身元が分かるような事を言ったらダメだ。」

「もう…説教くさいわねぇ。あー、嫌だ嫌だ。これだから社会人は…」

あ、ライトさんも社会人なのですね…何となく年上っぽいな。とは思ってたけど…


「ちょっと、グリーンさん。勝手にバラさない。」

「ごめんなさーい、でもライトさんだけ隠すなんてダメよ。」


「まぁ、とにかく…今後は気をつけよう!」

ライトさんが、この話題を締め…イベント攻略についての話となった。


そうか…ムーンさんもオレと同じ学生か…とりあえず、結婚はしてないって事だな。

顔も名前も知らない女の子の事が、こんなに気になるなんて…オレは一体、どうしたら良いんだろうか。

「はぁ…三好にでも相談してみようか…」

~~~~~~~


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