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星屑の森にて〜風斗

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

ムーンさんって…ゲーム内では女性キャラだけど、リアルでも女性なのだろうか?

たまにオッサンなのに女性キャラを使う人とか居るからな…

いや…きっと素直で可憐で素敵な女性に違いない。


「おーい。」

「ウインドさーん。」

「もしもーし。」

Aランクモンスターを倒した後、オレはムーンさんの事を考えてボーっとしてしまっていたようだ。

ムーンさんが何度も呼びかけていた。


授業中にボーっとするのは得意だが今はゲーム中…しっかりしなければ。と自分に言い聞かせる。

「ごめん、ちょっと離れていた。」

ムーンさんの事を考えてボーっとしていたとは言えず、離席していた事にした。


ふたたびモンスターを倒しながら目的地である森へと向かう。


”ピロンッ”


ギルドメンバーがログインした事を知らせる音が鳴った。

「こんばんわっす。」

「ブロッサムさん、こんばんわ。」

インしてきたのは武闘家を職業としているブロッサムさんだ。

両手にはめた青いグローブが印象的な大柄の男性キャラで、とても頼りになる。


「ちょっと、過去ログを見てくるっすね。」

そう言うとブロッサムさんは無言となった。

彼もムーンさん同様に新規参戦の方だが、ゲーム慣れしているようでレベルは結構高い。


「凄いっすね!ジャイアントバファローを、ほぼ一人で倒すだなんて!」

ここまでの道中の展開を見てきたブロッサムさんがオレがAランクモンスターを倒した事を褒めてくれた。


「ムーンさんが居てくれたから、良い位置取りを取れたんだ。」

オレはムーンさんのおかげで倒せた事を伝えた…まぁ、偶然ではあったが、間違いでは無い。

予想外の場面でムーンさんが火魔法を発動してくれたおかげでオレはバファローの懐へと入れたのだ。


「いえいえ、私なんか邪魔しただけで。」

モジモジとした仕草を取りながら照れ臭そうに言うムーンさん…こういった謙遜する所が素敵なんだよな。


ムーンさんとブロッサムさんと共に、モンスターを倒しながら昨日、辿り着いた森の入り口まで到着した。

"突如、暗闇に包まれてしまった妖精の里を元に戻す。"という、今回のイベント。

その戻す為の方法のヒントがこの森にあると村人に聞いたのが昨日の話。

昨日は時間が遅かったのと、装備品を見直したかったので一旦、近くの町へと戻っていた。


"ピロンッ"

「こんばんはー。」


"ピロンッ"

「こん♪」


「やぁ、昨日ぶり。」

ほぼ同時にインして来たグリーンさんとライトさんにオレは挨拶を返した。

二人はいつもこの時間帯にインする。


グリーンさんはムーンさんと同じ魔法使い。

ライトさんはオレと同じ剣士だ。


「よし、5人揃ったね…森の探索に行こう!」

早く森へと入りたかったオレは、過去ログを確認しようとしていた二人を急かした。

一体、どんな森なのか…どんなモンスターが出るのか?想像するだけでワクワクする。

「おいおい、過去ログぐらい確認させてくれよ。」

文句を言うライトさんにブロッサムさんがフォローを入れてくれた。

「順位を競うイベントっす、急ぐっすよ。」

オレに向かいウィンクコマンドを送るブロッサムさん。

なんだろう?オレがAランクモンスターを倒した事を隠したいと思ったのだろうか?まぁ…そういう事にしておくか。


さて…周辺の村人たちから星屑(ほしくず)の森と呼ばれる地へと一歩、足を踏み入れると不思議な感覚に導かれた。

鬱蒼(うっそう)と生い茂る木々の間から木漏れ日が差す。

風による演出で草木は揺れ、木漏れ日にも変化が見られた。

こういった臨場感(りんじょうかん)のある演出がこのゲームの人気が高い要因の一つでもある。


「早速、来たわよ。」

魔法使いのグリーンさんがそう言うと3体の蜂型のモンスターが現れた。

ブーーーンと羽音を立てながら空を飛ぶモンスターは、とても強そうに見える。

初期の頃に現れる"単なる蜂型モンスター"とは違うようだ。


三体の蜂型のモンスターは円を描くように、入れ替わりながら様子を見ている。

その行動は一糸乱れぬ動きで、明らかに連携をしている。


「個体名、スターダストキラービー。毒針を持つから気を付けて。」

サーチ魔法でグリーンさんが、初めて見るモンスターの名称とその特性を教えてくれた。


「毒針か…距離を取って戦わないと厄介だな。」

さらにライトさんが冷静に分析を行う…流石ベテランの二人だ。


「格闘家であるボクの職業は不利っすね、一旦、防御に徹するっす。」

ブロッサムさんは、そう言うと後ろへと下がり、グリーンさんの前へと立った。

いざとなれば、飛翔するモンスターに対し最も有効な手段を取れるであろう魔法使いのグリーンさんの盾となるつもりだろう。

アドバイスを受けたとしても、初見のモンスターに対して取るその行動を見ると、ブロッサムさんがゲーム慣れしている事が良く分かる。


「わ。。。私はどうすれば?」

「ムーンさんは、距離を取って…グリーンさんの動きに合わせて援護を!」

困惑しているムーンさんに対し、オレは同じ魔法使いであるグリーンさんの行動を良く見て援護をするように依頼した。

先輩魔法使いの行動を真似する事は良い経験につながる筈。


「は、はいー。」

ムーンさん…大丈夫かな。そう思ったオレは自然とムーンさんの前へと陣取った。


ブーーーン!

先に動いたのはスターダストキラービーの方だった。

鋭いトゲを向けて飛んでくる…ターゲットにされたのは、剣士のライトさんだ。

「毒針を…飛ばす前にだな。」

ライトさんはそう呟くと…ふっと息を吐き、左足を一歩前へと踏み出して水平に剣を振るった。


「剣技…サイレントスラッシュ!」

彼がシュツと剣を一振りすると…音も立てずに一体の蜂型モンスターは真っ二つになった。


「フレイムアロー!」

すかさずグリーンさんが、右側から飛んで来たモンスターに炎の弓矢を放つ。

が…寸前のところでスターダストキラービーは彼女の炎を躱した。

「ファイアアロー!」

躱したところにグリーンさんの行動を真似したムーンさんが初級魔法を放つ。

ボンッ

見事!蜂型のモンスターにムーンさんの魔法がヒット!

「や…やったわ!」


ところが…ムーンさんが魔法を当てたモンスターはダメージを受けつつも、倒れはしなかった。

それどころか、ムーンさんに向けて毒針を向けて降下してくる。

「えーーー。」

驚きの声を上げるムーンさん。


ムーンさんの傍に居たオレは、剣を振るった。

「剣技…サイクロンソード!」

上下左右に剣を振い連続攻撃を繰り出す。

破壊力は無いが素早い攻撃を繰り出す事が出来るサイクロンソードをオレは選択した。

先程のライトさんの攻撃で真っ二つにされたモンスターの結果から、当てる事さえ出来れば倒せるとオレは確信したのだ。

ザンッ!ザンッ!ザンッ!

ムーンさんの目の前で、オレは蜂型のモンスターであるスターダストキラービーを木っ端みじんにした。


「よしっ!」

やはりこのモンスターの防御力は低かったようだ。オレは安堵とともに言葉を発した。


「グリーンさん、ナイスっす!」

ブロッサムさんの声に振り向くとグリーンさんが風魔法で3体目のスターダストキラービーを倒していた。


「パパパパーン♪」

レベルアップの音楽が流れたのはムーンさんだった。

「え…たいしたダメージを与えられなかったのにレベルアップしてしまったわ。」

「ムーンさん、おめでとう!」

困惑するムーンさんに対し、仲間である3人は嬉しそうに声を掛けた。

まだレベルが低いムーンさんは強い敵を倒す事でレベルアップしやすいのだ。


「ムーンさん、頑張ったね!」

オレもムーンさんの前に立ち、声を掛けた。自分自身がレベルアップしたかのように嬉しく感じる。


「ウインドさん、さっきはありがとう♪助かったわ。」

ムーンさんはオレに向かい、とても素直に感謝の気持ちを伝えてくれた。

~~~~~~~


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