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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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28/117

ある日の下校時〜月代

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー


一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

右京~ライト 社会人(営業職)

翠~グリーン 社会人(事務職)


ギルド”幻の兔”メンバー


尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

「さて…帰ろっかー。」

いつものように夕凪(ゆうな)と帰ろうと昇降口を出ると、夕凪に話しかけてくる男子生徒がいた。


「ごめーん、月代(つきよ)ちゃん。ちょっと待ってて。」

何だろう?もしかして…あの男の子が夕凪が気になっている子かな?気を利かせなくっちゃ。

「じゃぁ、ちょっと運動場の方に行ってるね。」


4月は放課後に毎日歩いていた道をゆっくりと進んだ。特別棟の横を抜けると運動場へと出る。


久しぶりに陸上部の練習風景を眺めた。

「はぁ…」

そろそろ…ちゃんと言わないとな。

私が怪我で陸上部を休部してから…2カ月程が経過していた。


「おーい、三好さーん。」

手を振りながら叫ぶその姿は、走り高跳びをしている小早川先輩。

私は思わず手を振り返してしまった。


笑顔で走り寄ってきた先輩。

「足の具合はどう?」

「ええ…まぁ。」

曖昧な返事しか出来ない私。怪我が治ったら戻ると顧問の先生には伝えてあるけど、本当は治る見込みは無いとお医者さんからは言われている。


「早く、また一緒に練習したいな。」

先輩の言葉に私は思わず目を逸らした。

あぁ…ここに来るべきじゃなかったかも。

「足が…治ったら、またよろしくお願いします。」

まるで自分では無いような小さな声で返事をする。


「三好さんが居ないと寂しいんだ。」

「え?…」

一度逸らした目を再び小早川先輩の顔へと戻す。

「どういう意味…ですが?」

「うーん、なんと言うか…三好さんが居ると頑張れるんだ。」

ニコッと笑った後、先輩はまた手を振ってグラウンドへと戻っていった。

あぁ…走り去る後ろ姿まで素敵だわ…


私が”憧れていた”先輩…小早川先輩。

何?私が居ないと寂しい?私が居ると頑張れる?もしかして…私の事を?

って、そんな訳が無いわ…学校で人気が高い小早川先輩。私なんかを好きになる筈が無いわ。


そして私が先輩に"憧れていた"のは過去の話。

陸上部を休部して、小早川先輩と会わなくなっていったら…不思議と何も思わなくなった。

"カッコいいな"とは思っていたけど、好きとかそう言う感情じゃなかったのかも。


今まで陸上一筋だったから、恋愛の事はよく分からない。


ウインドさんの事も好きなの何なのか分からない。


あれ?どうしてウインドさんの事が頭に浮かんだのかしら?

オンラインゲーム”サウザントフェアリー”で私が所属しているギルドのマスター、ウインドさん。

優しくて…頼りになって…とは思うけど…


これも恋愛感情なのかどうかは、まったく分からないわ。


うーん。


「お待たせー。」

悩んでいた所を夕凪が走り寄って来た。


「遅くなって、ごめんね。」

「うんうん。で…あの男の子は誰だったの?夕凪が気になってるって言ってた子?」

グイグイと肘を夕凪に押し付けながら聞いた。


「え?…あの子は単なるクラスメイトだよ。なぁに?私が取られちゃう…って思った?」

え?取られちゃう?って…どういう事?


「そ、そうなんだ…単なる友達だったんだ。」

恐らく、私の顔は引きつっていた…と思う。そして、夕凪は時々よく分からない事を言う。


「あ、風斗だ!」

私の背後を指を差し、夕凪が叫ぶと…


「ふぇ?」

スッとぼけた声が背後から聞こえた。


「風斗も一緒に帰ろー。」

え?誘うの?…根暗の風斗と一緒に帰るっていうの??


「あ、あぁ。」

風斗が返事をしたわ。やっぱり風斗は夕凪の事が好きなのかしら?まったく…夕凪の事を好きになるなんて、見の程をわきまえなさい。


何故か3人で一緒に下校する事になってしまった。


「いつも真っ先に帰るのに…風斗、珍しいわね。」

「先生に呼び出されてね…」

仲良さそうに話す夕凪と風斗。

なんだろう?私と夕凪の真ん中に風斗が歩く…どうしてこういう位置取りになるのかしら?


「風斗って、早く帰って家で何をしてるの?」

思わず聞いてしまった…風斗は、いつも急いで帰るような気がする。家で何かするべき事があるのかしら?


「え?家で?」

明らかに動揺する風斗。


「何?そういえば風斗って、趣味とかあるの?」

この話題に夕凪も乗っかってきた。


「うーん…趣味って言えば…ゲームぐらいかな。」

淡々と自分の趣味がゲームである事を話す風斗。

え?ゲーム?まさか…サウザントフェアリーじゃないでしょうね?

『私もゲーム好きなの…サウザントフェアリーっていうゲームしてるんだ』

なんて事は言えない。学校での私はゲーム好きなキャラじゃない。健康的な体育会系女子。


「ふーん、ゲームが好きなんだ。私も結構、好きだよ。」

私が黙っていると反対側を歩く夕凪がそう伝えた。


「え?そうなんだ。」

風斗は何故かオドオドとした表情となった。そう、私も驚いたわ…夕凪も、ゲーム好きなキャラじゃなきから。学校の休み時間も本を読んでいる事が多い夕凪。家でも、ずっと本を読んで過ごしているのかと思っていた。


「ねぇ…今度、風斗の家でゲーム大会しようよ。」

とんでもない事を言い出す夕凪。


「こ…困るよ。」

ぎこちない様子で断る風斗。


「月代ちゃんも一緒に行くわよ。」

「え?私も?」

声を裏返しながら聞き返す。これじゃ、まるで風斗のようだ。


「うん、3人で一緒に遊びましょ。」

平然と言う夕凪。今はもう高校生…小学生の頃とは違うのよ。


「迷惑でしょ、やめときましょ。」

私がそう言うと、風斗は安堵(あんど)の表情を浮かべた。


「えー、お菓子、持って行くからー。」

意外と粘るわね…夕凪ったら、そんなにゲームがしたいのかしら?


「もう夕凪、風斗に襲われたらどうすんのよ。」

風斗の部屋…子供の頃には遊びに行った事がある。けど…今は男子高校生、綺麗になった夕凪の事をどう思っているか分からない。


「はぁ?どうしてオレが尼子を襲う話になるんだ?」

「あんたも男…夕凪に発情しかねないからね。」


「三好…お前は一体、オレの事をどういう目で見ているんだ?」

「え?」

そういえば私…どうして風斗の事をこんなにも毛嫌いするようになったのかしら。

過去を思い出すと…子供の頃の風斗はもっと活発で明るい印象だった。それが今では誰とも話をしない根暗な感じ。


あぁ、そうか明るい風斗が居なくなっちゃったから気に入らないんだわ。


「私は…今の風斗が嫌いなのよ。」

そう…昔の明るい風斗が好きだった…恋愛感情じゃなくて友達として。


「月代ちゃんは、昔の風斗が好きだったのね。」

え?何?夕凪ってば私の心が読めるの?


「いや、今も昔も、そう変わらないだろ。」

風斗はそう言うが、私の中での風斗は全然変わった。


「うーん、私も昔の風斗の方が好きかな。でも…今の風斗でも良いわよ。」

夕凪の意味深い言葉を聞いて風斗は顔を赤らめた。

やっぱり…風斗は夕凪の事を思ってる?

夕凪の感情は…読めないわ。

おかしいわね、夕凪は私の心を読めるのに、どうして私には夕凪が考えている事が分からないのかしら…


「とにかく、今は勉強会だけで精一杯だ。ゲーム大会は三好の成績が良くなってからだ。」

ある意味、風斗はゲーム大会が永遠に行われない事を伝えたわ。


「ざーんねん。」

どうやら夕凪も、私の成績が良くなるのが遠い未来であると察した様子。


「じゃぁ、また明日。」

風斗はそう言うと駆け出して行った。


そんなに早く帰ってゲームがしたいのかしら…


「夕凪、どうしてあの根暗男の家に行こうなんて言うのよ。」

風斗が走り去ったところで、夕凪に問いかけた。

「何言ってるの?風斗は根暗男なんかじゃないよ…あんなにテレちゃって…カワイイ。」

楽しそうに笑いながら言う夕凪。

あぁ、そうか…夕凪は風斗の事を、からかって楽しんでいるのね。あまり良い趣味とは言えないけど…


それにしても…

学校に。親に。怪我の事を言えずにゲームにのめり込む私。あぁ、本当に根暗なのは風斗じゃなくて私の方なのかもしれないな。

~~~~~~~


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