ある日の登校時〜風斗
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
右京~ライト 社会人(営業職)
翠~グリーン 社会人(事務職)
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
昨日でオンラインゲーム、サウザントフェアリーで開催されていたイベント"ビックバトル"が終わった。
オレが運営するギルド"永遠の風"は2位でフィニッシュ。正直、こんなに上位になれるとは思わなかった。
なんせ序盤は30位前後だったから…
もう少しで1位に…とは、ならず。やはり筆頭ギルドは強かった。
それにしても…あの時、筆頭ギルド"幻の兔”のマスター、イブニングさんは何をしにメルメド火山にまで来たのだろうか?
2人だけで来て…いつの間にか姿を消していた。
その時は深くは考えなかったが、今思うとオレ達を偵察に来ていたのか?と勘繰る。
すぐに帰ったところを見ると、警戒するに足りないと考えたのだろう。
「風斗、おはよう。」
もう少しで学校へと辿り着くところで、幼馴染の三好月代が声をかけてきた。
「あぁ…おはよう。」
「おはよう。」
三好の隣を歩いていた尼子夕凪とも挨拶を交わす…が、今日はなんだか元気が無いように見えた。
「どうした尼子?何かあったのか?」
いつもニコニコと楽しそうにしてる尼子…美人で人当たりも良い彼女は男女問わず、みんなから人気が高い。オレとは真逆の存在だ。
「あら、風斗が心配してくれるなんて…嬉しいわ。」
ニコと微笑みながら、オレに向かい言う尼子。
自分の顔が赤くなるのを必死に隠した。
ダメだ…幼馴染の時とは違い、今は高嶺の花。間違っても惚れてはならない。
「ちょっと、夕凪…甘やかしちゃダメよ。」
甘やかすって…どういう意味だ?オレは三好を睨みつけながら言う。
「お前は、相変わらず元気そうだな…悩みが無さそうで羨ましいわ。」
「失礼ね…私だって悩みの一つや二つあるわよ!風斗みたいに顔で悩む事は無いけどね。」
「はぁ?何言ってんだ?お前も顔で悩むべきだろ!」
「フフフ…二人とも相変わらず仲が良いわね。」
「夕凪…どこをどう見たら仲が良いのよ。」
「あぁ…それだけはオレも三好と同じ意見だ。」
「昨日も一緒に勉強会をした仲じゃない。月代ちゃん、月末の期末試験は頑張ってね!」
毎週日曜日に行なっている勉強会…昨日、ふと気がついた。この勉強会って、一方的にオレが三好の勉強を見てやるだけで、オレには何のメリットも無いんじゃないか?と…
「ところで、あの勉強会って…オレに何のメリットがあるんだ?」
思い切って口に出して問いかける。
「………。」
三好は沈黙のまま、ニコリと微笑んだ。が…顔が引き攣っているように見える。
代わりに尼子が答えた。
「何を言ってるの?風斗…可愛い女子二人に毎週、囲まれるのよ。他の男子が見たら羨ましがられるくらいよ。」
「そ…そうなのか?」
確かに…クラスの男子の中に数人、尼子の事を好きな奴がいる事をオレは知っている。
「確かに…勉強会の事が男子生徒共にバレると厄介そうだな。」
尼子の言う事も一理あるかもしれない。と思ったのでそう口にした。
「でしょ。ありがたく私に勉強を教えなさい。」
いや…三好は、どちらかと言えば男子よりも女子からモテるタイプであり…
「お前は…違うだろ。」
と、思わず本音を言ってしまった事で…
バンッ!
「イテッ」
三好にカバンで叩かれる羽目となる。
「何よ!やっぱり風斗も夕凪の事が好きなの!?」
「いや…違うって。」
オレが必死に三好の言葉を否定すると尼子がオレの顔を覗き込みながら言った。
「へぇ〜、違うんだ。残念ね!」
尼子はイタズラっぽく笑う。
元気になったようで良かったが…からかわれているのは明らか。冷静にならないと。
子供の頃、一緒に遊んでいた頃は夕凪はこんなキャラじゃなく、もっとおとなしかったけどな…
ん?そういえば、昔は尼子の事を夕凪、三好の事も月代と下の名前で呼んでいた…いつから変わったのだろうか。
まぁ…尼子の事を夕凪なんて呼んだら、尼子を好きな男子共から刺されかねないが。
「夕凪、あんまり風斗の事をからかっちゃダメよ。」
三好も尼子がオレをからかっている事を分かっているようだ。そう言われた尼子はケタケタと笑っていた。
「からかってなんか無いわよ。」
それにしても…楽しそうに笑う尼子は朝日を浴びて輝いて見える。
隣で笑う三好も…意外と健康的な笑顔が眩しい。
あぁ、ダメだ。尼子の事を好きになってはならない。
オレが好きなのは"永遠の風"のメンバーであるムーンさんだ…きっとムーンさんも素敵に笑う女性に違いない。
「風斗、何をニヤニヤしてるのよ…気持ち悪いわね。」
三好の前でニヤついてしまうとは、何たる不覚。
「ちょっとな…」
オレは二人から目を逸らしながら言った。
「さっき…風斗ったら月代ちゃんの事を見てたわよ。」
いや、確かに三好の事も見たが…オレの頭の中にあったのはムーンさんだ。
「え?私を見てニヤついてたの?やっぱり…気持ち悪いわ。」
「違う違う…三好を見てニヤつく訳ないだろ。」
「あ、じゃあ…やっぱり私?」
尼子がそう言いながら満面の笑みを浮かべたところで靴箱へと着いた。
「さ、教室に行くぞ。」
ダメだ…どうも尼子と話すと調子が狂う。
尼子は隣のクラスの為、廊下で別れ、三好と二人で教室へと入った。
「おい、一条…一条風斗。ちょっとこっちに。」
声を掛けてきた男子生徒…あぁ、コイツは尼子の事が好きなヤロー共のうちの一人。嫌な予感しかしない。が、仕方なく後をついて行く。
「さっき、オレ達の尼子夕凪さんと楽しそうに話していたよな。一体、どういった関係だ。」
3人のクラスメイトに囲まれる状況。『オレ達の』…って、こいつら一体、何様だ?
「あぁ…尼子とは幼馴染だ。話をして何が悪い?」
つい、ムキになって幼馴染である事を明かしてしまった。
「何だと!?じゃぁ…LIMEアドレスとか知っているのか!?」
「そんなもの、知っているに決まっているだろ。」
三好との勉強会を始めた事で伝え合ったLIMEアドレス…つい最近、知ったのだが、昔から知っていたかのように言ってしまう。
「おぉぉぉ、教えろ!」
"知らない"と言った方が面倒な事にならなかったが…この3人に対し、何故かマウントを取りたくなってしまった。目立たないように過ごしていたのに…
「勝手に教えられる訳、無いだろ。自分で聞け。」
「そ、そんな事、出来る訳無いだろ…」
急に大人しくなる3人組。
「一条…お前、尼子さんとは幼馴染以上の関係じゃないだろうな?」
最初にオレに声を掛けて来た男が問いかける。
「安心しろ、単なる幼馴染でそれ以上でもそれ以下でも無い。」
実際、そうなのだから毅然とした態度でそう伝える。
「じゃぁ…何か情報があればオレ達に伝えろ。」
何故、お前達に報告しなければならないのか…
「俺は探偵じゃない。邪魔はしないから自分達で頑張れ。」
「…。」「…。」「…。」
すっかり黙ってしまった3人組を後にして、オレは自分の席へと戻った。
「あんた、何かしたの?あの人達、怖い顔してたけど大丈夫?」
三好よ…何故、オレが何かをした前提なんだ?
「何でも無い…誤解だった。」
「あ、そっ…まぁ、なんかあったら私に相談しなさい。」
あれ?三好って…オレの為に何かをする人間だったか?
「あ、あぁ…何かあったらな。」
オレは三好の顔から目を逸らしながら、そう返事をした。
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