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【完結】風と月の永遠~サウザントフェアリー  作者: あんそに


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ビックバトル〜咲華

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー


一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生


ギルド”幻の兔”メンバー


尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

毎晩0時までって…キツイわね。

あたしがハマっているオンラインゲーム"サウザントフェアリー"、今回のイベント『モンスター討伐ビッグバトル!』は19時から0時までのイベント。

中学生のあたしにとっては0時まで起きているのはツライ。


高校生になったら0時まで起きていても平気になるのかしら?

あぁ…早く高校生になりたいな。

そしたらアイツらとも別れる事が出来るのに…まぁ、あたしでも受かる高校があればだけど…


昨日…あたしは近所に買い物に出かけた。すると不運な事に背後から津軽(つがる)達に声をかけられた。

どうして学校が休みなのに、わざわざコイツらに出会わなくちゃならないのよ。


「何?咲華(さきか)…一人ぼっち?大好きなお姉さんと一緒じゃないの?」

津軽がニヤニヤと笑いながら話しかけてくる…気持ち悪い。

化粧をしている津軽達はとても中学生には見えず、気持ち悪さに拍車がかかる。


「一人よ…」

「えー、せっかくの日曜日なのに寂しすぎるー。仕方ない…私たちが一緒に遊んであげるわ。」

どうして、あたしが一緒に遊ばないとならないのよ。


「ちょっと…忙しいので。」

そう言って断ると…津軽からニヤニヤ顔が消えた。

「寂しいアンタと遊んであげるって言ってやっているのよ!感謝しなさい!」

その言葉が合図だったかのように津軽の取り巻き達が、あたしを取り囲んだ。


「行くわよ。」

取り巻きのうちの一人があたしの腕を掴んで歩き出した。

はぁ…不運でしかないわ。


着いた先はゲームセンター。

あぁ…ゲームなら家でサウザントフェリーをしている方が良いわ、こんな所に用事なんて無いのに。


「咲華、このフィギュア…アンタにそっくりじゃない?取りなさいよ。」

津軽がクレーンゲームの中にあるフィギュアを指差した。

それは有名なアニメキャラ…何処をどう見たらあたしに似ているのか分からない。あたしは当然、断った。

「要らないわ…」


「いいからやりなさいよ!」

津軽が言うと取り巻き達も騒ぎ出す。


まったく…面倒くさい。

あたしは仕方なくお金を入れた。そもそもクレーンゲームなんて、あまりしないから取れるとも思えない。


そう考えていると、横から津軽に割り込まれた。

「ちょっと…何なの?」

津軽はクレーンを動かし出し始める。

「アンタ、トロいから私が取ってあげるわ。」

取り巻き達が津軽の応援をし出す。

あたしがお金を入れたのに…グッと握り拳を作ったけど、その手をどうする事も出来ないでいる。


「あぁ〜。」

取り巻き達が落胆の声を上げる。

まったく取れる気配さえ無かったのに、そんな声を出す意味が分からない。

「つまらないわ。」

一言、そう言うと津軽はクレーンゲームから離れた。


その後も、あたしは腕を引っ張られてコインゲームなどに付き合わされた。

津軽と取り巻き達は大盛り上がりで楽しんでいる。

あたしは…まったく楽しくない。

この子たち…本当に楽しいのかしら?何故かあたしには取り巻き達が必死に楽しんでいるフリをしているかのように見えた。


次に、みんなでプリクラを撮ったけど…あたしは手しか写っていない。あぁ…どうしてこんなものにお金を出さないとならないのか…

手渡されたシールの中央には津軽が写り…その顔を見ると腹立たしさが込み上げる。


画材を買いたかったのに…足りなくなってしまった。

さらに、19時から始まるサウザントフェアリーのイベントに間に合わせる為、走って帰る事になった…ほんと迷惑な話。


日が変わって今日。

放課後となり美術室で絵を描く…昨日、絵の具を買えなかったから、思うような色を描く事が出来ない。

昨日という日が違っていたら…アイツらに出会ってさえいなければ…キャンバスに向かいながらグッと唇を噛み締めた。


帰宅後、いつものようにPCの前に座りサウザントフェアリーにログインする。そして街に居たギルドメンバーに合流した。

「こんばんはー。」

「ブロッサムさん、こんばんは。」

ウインドさん、ムーンさんと挨拶を交わす。


「今日もサウザスの砂漠に行くっすか?」

「うーん、グリーンさんに負担が掛かるからどうしようかと。」

ボクの問いにギルドマスターであるウインドさんが答えると隣にいるムーンさんが疑念を示した。

「また、あの筆頭ギルドに、邪魔されないかしら?」


「昨日は偶然だったと思うのだけど…」

「なら、今日はボクも頑張ってポイズンワームを倒すすっよ!」

ウインドさんが言う通り筆頭ギルドに邪魔されなかったら、ボクも雷系の武具"スパークリンググローブ"て役立つ事が出来る。グリーンさんへの負担を軽減させたいと思った。


「じゃぁ…グリーンさんとライトさんは、いつも来るのが遅いから砂漠まで行っちゃいましょうか?」

ムーンさんの提案に賛成したウインドさんと共にサウザスの砂漠に向けて出発した。


砂漠に到着する少し前の地点でライトさんとグリーンさんがログインする。

「今日も砂漠ね!頑張ってミミズを倒すわ!」

頼もしいセリフを伝えるグリーンさん…もうポイズンワームの事をミミズと言い放っている。

「今日は他ギルドと被らないとイイネ。」

ライトさんは昨日と同じ場所に着くと辺りを見渡した。


ボクも崖の上へと立ち、警戒する…が、そこには誰も居なかった。「今日はボク達だけっすね。」


「あぁ…Bランク以下のモンスターはオレとムーンさん、ライトさんで倒そう。」「Aランクモンスターのポイズンワームは、グリーンさんとブロッサムさんに任せる。」

ウインドさんがそう伝え終えると、19時を知らせる鐘が砂漠に鳴り響いた。


早速、サソリ型のモンスターが現れる。

ボクはグリーンさんと共に、3人が戦う姿を見守った。


「グリーンさん、ポイズンワームが出たら代わりばんこに戦うのどうっすか?」

「そうね、魔力の消費を抑えられるから…良いわね。」


「ブロッサムさん、先に戦って。」

「え?いいっすか?」


「ええ、私は昨日、沢山倒したから。」

「ありがとうっす、じゃぁボクから攻めるっすね。」

グリーンさんは笑顔で最初の獲物をボクに譲ると約束してくれた。

よし…頑張ろう。と思い、両手にはめた青いグローブを見つめる。


「ブロッサムさん、来たわよ!あっち!」

グリーンさんが示した場所に向かい、ボクは走った。


ウネウネと体をくねらせてポイズンワームが姿を表す。

「武技…修羅(しゅら)雷鳴(らいめい)!」

モンスターに攻撃を加えようとしたその時…


バリバリバリ!


目の前に眩い光が走った…そんな、グリーンさん…ボクに任せるって言ったのに。


ポイズンワームが煙を上げて倒れる姿を見届けた後、ボクは後ろを振り返った。

けど…グリーンさんを見ると、まったく攻撃した様子は無い。

そして、グリーンさんが見つめる視線の先を見ると…あれは"幻の兎"の旗…


昨日、この場所に来ていた面子とは少し違う。

魔法使いを中心にした構成された筆頭ギルド"幻の兎"の姿があった。


「なんで…邪魔をするの…アイツらと、津軽達と…同じじゃない…」

昨日のゲームセンターでの腹立たしい思いが全身に駆け巡る。

「邪魔したいでよ…あたしの邪魔…しないでよ…」

「いや…もう、いや…」

学校はともかく…ここはあたしの大切な居場所。

「この場所だけは絶対に守る!」


気がつくと、あたしは"幻の兎"のメンバーが立つ崖へと走り出していた。

ブロッサムの体を動かし…技を繰り出す。

「武技…爆裂連打(ばくれつれんだ)!」


ドドドドーン!


攻撃した崖が崩れる音が聞こえる。

砂煙を上げて崩壊する崖…


「はぁ…はぁ…はぁ。」

PCの前で息を切らす…実際に走ったのはブロッサムであって"あたしじゃない"…けど、心臓がバクバクと高鳴る。

走っていないのに、走り終えたような感覚。


このゲームは直接、他のプレイヤーを攻撃する事は出来ない。

けど…彼らの足下にあった崖を破壊する事は出来る。


"幻の兎"のメンバーが崩れ落ちた崖の間から這い出てきた。

「何をするんだ!ゲーム運営に訴えてやるぞ!」


その言葉を聞いて…あたしは背筋に冷たい物が走るのを感じた。

~~~~~~~


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