事件発生〜咲華
◇登場人物◇
ギルド”永遠の風”メンバー
一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生
三好月代~ムーン 女子高校生
佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生
六角右京~ライト 社会人(営業職)
細川翠 ~グリーン 臨時女将
ギルド”幻の兔”メンバー
尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生
津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生
佐竹綾音~サウンド。女子高校生
尼子大輔~ザ・ビック 風の将軍。男子大学生
「よっしゃ!こっちは任せるっす!」
こんなハッカー集団なんかには負けられない!
あたしの…大切な場所、ギルド永遠の風、そしてサウザントフェアリーを守らないと!
一旦、息を整え、周りの状況を把握しようと見渡す。
隣に居るのはグリーンさん、変な子供型の相手と対峙している。
とても有利に立っているとは思えない状況。
あの黒いムチのような攻撃は…遠距離攻撃かな?近接攻撃が得意なボクだったら厳しかったな。
グリーンさんなら…心配ないか、でも復帰したてで大丈夫かな?
さらに、その奥に立つのはライトさん。
青髪の男と激しい戦闘を繰り広げている。
あの両手剣はキツイなパワーもありそうだ…ライトさんのスピードが勝れば…行けるか。
「ちょっ、どこ見てんのさ!そんな余裕あるのかねぇ〜。」
「ふっ、まだまだ余裕っすよ!」
そうは言ったが…正直に言うとキツイ。
何なんだ?この空飛ぶマントは?
大きな鎌を振り回しながら空を飛び回るマントは4体も居て…ボクと共にウィンドさん、ムーンさんとで戦っている。
それに加えて、この空飛ぶマントを操っているマントの男…一人。計5体か。
あのマントの男…アランって呼ばれてたな…アレは戦闘に参加していないか。
「ムーンさん!」
ウィンドさんが叫ぶ声に反応して振り向くと、ムーンさんが空飛ぶマントにヤラれてうずくまった。
回復させないと…
「ウィンドさん!ムーンさんのフォローを!」
ボクはそう叫ぶと共に、狂戦士のスキル、バーサクモード3を発動した。
速度もパワーも通常時の3倍となるスキル。
時間制限があるスキルの為、使い続ける事は出来ないけど、今は仲間を助けるのが大事っすね。
ぐっと、脚にためを作って、一気に爆発させる。
空飛ぶマントの一体を攻撃!
「よし、クリティカルヒットっす!」
って…あれ?何だこの感触は?まるで手応えが無い。
何も触っていないかのような感覚。
使い手であるアランとやらを倒さないと…この空飛ぶマントをいくら殴っても意味無しっ…とか?
けど…さっきグリーンさんが意表を付いてアランを攻撃したけどダメージゼロだったようだし…
一体、どうすんだ?コレ?
「ほれほれ、もう終わりか?おもしろくも何とも無い連中だな。」
「ふっ、使い魔にヤラせて自分は、安全地帯。さては…お前、弱いんすね?」
「おもしろくも何とも無いって言ったのは撤回しよう。お前、おもしろい事を言うなぁ。」
「褒めるんっすか…嬉しくも何とも無いっすけどねー。」
「じゃあ…もっと面白くしてやろう…死霊よ…いでよ。」
「くっ…」
4体でもキツかったのに…5体めの出現っすか…
しかも…死霊って言ってたな。
ヤツの職業は…さしずめ死霊使いって感じか。
イブニングさんの魔物使いより厄介な感じっすね。
2体の死霊が同時に襲いかかってくる。
こりゃ、使い手のアランを倒さないと死霊共は消えないっすね。
ここは…ボクがおとりとなって、死霊共を引きつけて遠距離からムーンさんの魔法とウィンドさんの弓でドンッが正解かな?
そう考え、後方に居るムーンさんとウィンドさんを確認した。
ムーンさんは回復し終え、すでに立ち上がってはいたが、足元がフラついているのが分かる。
ダメージ蓄積で、状態異常状況になっている。
その傍らでウィンドさんが侍スキルを発動。
3体の死霊を相手にしていた。
「ブロッサムさん、一旦…こっちに!」
「うっす、分かったっす!」
確かに…バーサクモード3は、もう切れるっすね。
固まった方が賢明っすね。
後方へと移動。
ムーンさんを中心にして、ウィンドさんと並んだ。
「このマント…なんか増えてないか?」
「ごめんっす、アランを挑発したら…なんか増えたっす!」
「まじかー、どんだけ増えるんだよ。」
「さっき仲間うちで、増やすとコントロールしにくいって言ってたっす。5体くらいが限界と推測する
っす!」
「それは助かる!で、なんか突破口は見えた?」
「死霊を攻撃してもまるで手応えが無かったっすね…文字通り、死んでいる相手かも。」
こう、話している間も、死霊共は鎌を振り回しながら突っ込んで来ている。
バーサクモードは終えて、今のボクは単なる戦士だ。
「そうなると…この空飛ぶマントはいくら倒しても無駄って事だな。」
「たぶん正解っす、操っているアランを倒さないと終わらないっすね。」
「ムーンさん、そろそろ行ける?」
中央に立つムーンさんに対し、ウィンドさんが呼びかけた。
「はい、ごめんなさい…もう少しで動けます!」
「ムーンさん、あやまる必要は無いっすよ。特大魔法、お願いしたいっす!」
「はい!頑張りますっ!」
ウィンドさんとボクとで、死霊5体の入れ替わり攻撃を交わしながら作戦を立てる。
「ムーンさんの魔法が撃てても…アランに当たるかどうかが問題か。」
「そそ、そこっすね…ウィンドさん。そこで考えたんすけど、ボクが突っ込んでアランを拘束するっす!」
「この死霊共を突っ切ってか…ブロッサムさん、出来るか?」
「出来るも何も…出来なきゃこのまま全滅っすよ。アランを倒せば、勝機は見えて来るっす!」
キーン!キーン!
死霊達の攻撃を爪で弾く。
その攻撃は、さらに速度を増しているかのように感じた。
「バーサクモード回復まで、あと5分っす。」
「分かった!俺が死霊共を何とかする。ムーンさん、上級魔法、4分後に詠唱開始で!」
「了解です!状態異常回復!とっておきの魔導魔法をぶっ放します!」
「ムーンさんを守りながら、弓矢でけん制か…なかなか宿題が多いな…」
「ウィンドさんなら大丈夫っすよ…ギルマスさん、頼りにしてるっす!」
「ブロッサムさん、言うねぇ…」
「時間になりました…詠唱を開始します!」
「ムーンさん、頼んだ!死霊共を退ける…侍スキル発動!釈水舞刀」
魔導戦士職のムーンさんが呪文を唱え始めると同時に侍職であるウィンドさんがスキルを発動!二本の刀を合わせ持って舞う。
「お待たせっす…バーサクモード3!」
死霊5体はウィンドさんのスキルで吹き飛ばされ、空中を舞っている。
「ナイスっすよ!ウィンドさん!」
バーサクモードによってボクは速度3倍まで上げた。
アランを拘束して…あとは、ムーンさん!頼んだっすよ!
リアルの世界では、ボクなんて自分の居場所も無い単なる中学生。
だけど、ここでは違う!
このギルドを…この世界を守らないと。
知らないおっさんに抱きつくのは嫌だ…けど、このままタックルをかますっす!
「ガッ!」
急に目の前が…画面が暗くなった…
何!?
HPゲージが一気に激減している!?
何が起こったっていうんだ!?
徐々に画面に明るみが戻る…
「ドドドーン!」
すぐ横をムーンさんが放った魔導魔法が横切った。
標的だったアランが笑いながら避けているのが見える。
失敗だ…ボクがヤツを拘束出来なかったから…
「くっ」
ゆっくりとしている場合じゃない。
髪の毛を掴まれて、上を向かされるのが分かった。
青髪の男?
「何で?ライトさんと戦っていた筈じゃ?」
「あー、アレなら、向こうで雑巾のようになってるぞ。」
青髪が指を差す方向を見ると…ライトさんが倒れているのが見えた。
ピクリとも動かない…くそっ…コイツら…
「こっちも終わりー♫お姉さん、動かなくなっちゃったー、つまんないなー。」
声がした方を見ると、グリーンさんまで倒れている。
なんてこった…こんなの…無理ゲーだ。
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