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事件発生〜翠

◇登場人物◇


ギルド”永遠の風”メンバー

一条風斗~ウインド ギルドマスター。男子高校生

三好月代~ムーン  女子高校生

佐竹咲華~ブロッサム 女子中学生

六角右京~ライト  社会人(営業職)

細川翠 ~グリーン 臨時女将


ギルド”幻の兔”メンバー

尼子夕凪~イブニング ギルドマスター。女子高校生

津軽真琴~トゥルース 宰相。女子高校生

佐竹綾音~サウンド。女子高校生

尼子大輔~ザ・ビック 風の将軍。男子大学生

「くっ!」

杖を持つ手が離れそうになる程、強烈な一撃を受けた。

何?このパワー!?

「グリーン!」

横から剣が伸び、青髪の棍棒を受け流す。

ライトだ。


「後ろに引いて、魔法攻撃を!」

「うん!」

私の前に入ったライトの背中に回り、バックステップにて距離を取る。


その間にライトが青髪に炎属性を纏わせた剣を振り下ろした。

「よしっ」

ダメージを与えた感触を得たのだろう。

ライトは確認するかのように言葉を発した。

どうやら相手だけが他のプレイヤーに攻撃を与える事が出来るって訳じゃなさそうね。


それなら…戦える。


ドンッ!


「え?何?」

右側からダメージを受けた?

って、誰も居ない!?


いや…黒い…影?


影じゃない!

「炎撃弾!」


何処から伸びてきているのか、何なのかを確認している暇は無い。

攻撃を受けたと思われる方向にあった薄く平な影のような物に私は火属性の攻撃を放った。


「コレは…何だったの?」

火攻撃によって、黒い物体は弾け飛んだ。


「面白いんだけどー。」

声が聞こえた方向を見るとファントムナイツの子供の姿をしたプレイヤーがニヤニヤと笑っている。


その両肩からは何本もの黒い腕が枝分かれするように伸びていた。


「何?それ何の職業なの?」

見た事もないスキルに思わず聞いてしまった。

もしかしたら…私が居ない間に職業が増えた?


「えーと?職業?…何それ?分かんないやー。」

しょ…職業不詳!?

もう、意味が分からないわ。


これはもうモンスターと同じ扱いでいいわね。

「雷鳴轟撃」

職業:賢者の雷スキルを発動!天空から雷魔法が降り落ちる。


ドドドーン!

「よし、ヒット!」


子供の姿をしたプレイヤーは、黒い触手のような物体を頭の上に集めている。

まさか…触手?は電撃を通さない…とか?


「いいよ〜、お姉さん、いいよ〜。」

余裕の顔を見せる子供型のプレイヤー。

まったく…効いていないですって…


モンスターと違いHPゲージが見えないので、ダメージを少しでも与えているのかも知れない。

けど…とても大きなダメージを与えているようには見えない。


「反則だわ。」

どうしたものかと考えながら子供型のプレイヤーを見つめる。


「グリーンさん、ごめん!一匹、そっちに行った!」

これは、ウィンドさんの声?

今度は何なの!?


子供から目を離し、声がした方を見ると…

「ちょっ!」


突然、目の前に入ったのは鎌を持った空飛ぶマント?


ドンッ


かろうじて振り下ろされた鎌を杖で防いだけど、吹き飛ばされて地面へと転がった。

「くっ。」


一体、何が飛んできたの?


「ちょっと!そのお姉さんはボクが相手してたんだけどー!」

仲間割れ?


一度、冷静になろう…深呼吸して、周りを見る。


私の正面、瓦礫の上で黒い触手を振り回して怒っているのは、子供型のプレイヤー。


左側ではライトが青髪の男と対峙している。


右側ではウィンドさんとブロッサ厶さん、ムーンさんが戦っている。

何?あの空飛ぶマントを着たヤツ達は…

その数は…3体?いや…4体?

縦横無尽に動き回り、ウィンドさん達を手玉に取っているように見えた。


「ちょっと、アラン!聞いてる!?」

アラン?あの空を飛んでるマント達の事?

違う…両手を広げて後に立つ男の姿が見えた。


「おぅタンジュ、悪いな…4つ使うとコントロールが効かなくってなー。」

あの子供型の名前がタンジュか。

相手は3人のプレイヤーだけど、空飛ぶマント達が厄介ね。


まずは…あのマントの男を倒せないかな。


「氷塊枝鞭撃!」

少し身を起こした状態で、水魔法を発動。

氷が鞭のようにしなりながら相手を襲う。


「ぬぉ!」

マントの男、アランに見事ヒットした。


「よしっ!クリーンヒット!」


が、アランは一度、膝をついたもののすぐに立ち上がった。

これでも倒れないか…


「ちょっと、お姉さん!お姉さんの相手はボクなんだからね!」

ジタンダを踏みながら叫ぶタンジュ。


あわよくば、アランを一撃で倒して…と思ったけど、やはり簡単には無理ね。


「おい、タンジュ…お前の獲物だって言うんなら、しっかり見とけ!」

「だって、アランの使い魔がー。」


「分かったから、ちゃんとヤレ。」

「もう、お姉さん!怒られちゃったじゃないか!このボクが!」


この子供…タンジュを放っておく訳にはいかないか…

ゆっくりと杖を前に向ける。 


「はいはい、お相手してあげますねぇ。」

とは言っても、あの黒い触手は厄介。

まるで伸びる手が何本もあるかのよう。


でも…この子の相手は遠距離戦闘が得意な賢者職である私が適任ね。

弱点は…あるのかしら?

この集団、ファントムナイツはハッカー達。

よく分かってないけど、自分達が都合の良いようにプログラムを書き換えるという…

本当だとしたら、弱点も無さそうね。

まったく…サウザントフェアリーの運営さん…こんなのを野放しにするなよ。


「じゃ、いっくよー!」

「炎撃弾!」

タンジュの攻撃、黒い触手と私の放った火魔法がぶつかり合う。


ドドドーン!


って、向こうのが多いのよ!

急いで回避行動を取るも触手の一つが私の左足にダメージを与えた。


「あー、もう!触手、多すぎ!」


「へへへ…ボクの方が強いね!ね、強いね!」


ムカつくわー、楽しそうにして。

こっちはブランクがあって本調子じゃないのよ。


「まだよ、その黒いのが、ちょっと多いだけよ。」


「ふふーん、強がっちゃって…謝っちゃいなよ。そしたら…許してあげないから。なーんてね。へへへへへ。」


くー、イライラするわ。

でも…こういう時こそ、冷静にならないと…

さっき、相手の触手は、私の炎であっさりと消せたわ。 

触手一つ一つは弱いから手数を増やせば…何とか。


「じゃ、もう一回いくよー!」


「ファイア!ファイア!ファイア!」

魔法使い職の時に使った初期魔法ファイア。

火力も工夫も無い、ただの火魔法。

だけど…これなら連発出来る!


ボンボンボンッ


よし、打ち勝った。


「ふーん、やるねぇ…でも、これはどうかな?」


ドーン!!


「え?」

突然、身体が宙に浮いた。

しまった…地面から…


気がついた時には遅い…地面から現れた触手によって、右足が貫かれる。


「くっ」

宙を舞った私の身体は地面へと叩きつけられた。

まったく…このゲーム、臨場感がありすぎよ。


HPゲージ、もう少ししか残ってないじゃないの。

はぁ、負けるのかな…


あ、そうだった…賢者職なんだから回復出来る筈。

しばらく振りだから忘れてたわ。


半身を起こすと、私は回復魔法を唱えた。

「光の巫女よ…どうか救いの導きを…」


頭の上から光が降り注ぎ…HPゲージが半分以上に回復した。


「何ソレ、ズルいーズルいー!」

「賢者職なんだから回復出来るに決まっているでしょ。」


「賢者職?そんなの知らなーい。」

このハッカー集団って、もしかして初心者か…

初心者に負けるって…プライドが許さないわ。


と言っても…どうするかな…

触手を相手にしててもキリが無いし…相手が攻めた時に同時に本体を狙うか。

こっちの防御も手薄になっちゃうけど…やるしか無いわね。


「もう、怒ったからね!」

タンジュが叫ぶ。


回復したおかげで何とか立ち上がれた。

賢者職で良かったわぁ。


タンジュが何本もの触手を繰り出した。

「よし…このタイミングで…雷鳴轟撃」


強烈な雷魔法をタンジュの頭上から、落下させる!

さっきは、触手によって阻まれたけど…今は触手はこっちに向かって来てる!

「黒焦げになりなさい!」


「え?そんな…」

タンジュは攻撃に出した触手に加え、さらに触手を出現させた。

雷魔法が触手によって阻まれる。


「ぐはっ!」

対して、タンジュの触手は私の身体を鞭打つかのように攻撃を加えた。

その軌道は複雑で回避不能。


ふたたび、私の身体は地面へと転がり落ちる。


「へへへへへ…触手、全部出したと思った?ねぇ、そんなに貧弱に思った?このボクが?」


タンジュの笑い声を聞きながら…行動不能へと陥った。

~~~~~~~


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